PARP阻害薬olaparib、BRCA変異乳がんの生存を42%改善/ASCO2017 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/06/13 BRCA変異陽性HER2陰性転移乳がん(mBC)に対し、PARP阻害薬olaparibの有効性および安全性を単剤化学療法と比較評価する無作為化オープンラベル第III相試験 OlympiAD試験の結果を、米国Memorial Sloan Kettering Cancer CenterのMark Robson氏が米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で発表した。 OlympiAD試験では、HER2陰性(HR陽性またはトリプルネガティブ)で2ライン以上の化学療法を受けたBRCA変異陽性mBC患者を、olaparib群と医師が選択した標準的な単剤化学療法(TPC)群に、2:1に無作為に割り付けた(単剤化学療法はカペシタビンあるいはエリブリン)。治療は病勢進行するか毒性が忍容できなくなるまで継続した。主要評価項目は、独立第3者評価機関(BICR) 評価の無増悪生存(PFS)。副次的評価項目は2回目のPDまたは死亡までの期間(PFS2)、客観的奏効率(ORR)、安全性と忍容性、健康関連QOLであった。 結果、302例の患者が登録され、205例がolaparib群に、97例がTPC群に割り付けられた。BICR評価のPFSは、olaparib群7.0ヵ月、TPC群4.2ヵ月と、olaparib群で有意に長かった(HR:0.58、95%CI:0.43~0.80、p=0.0009)。 また、PFS2はolaparib群13.2ヵ月、TPC群で9.3ヵ月と、olaparib群で有意に長かった(HR:0.57、95%CI:0.40~0.83、p=0.0033) 。ORRは、 olaparib群60%、TPC群29%であった。OSはolaparib群19.3ヵ月、TPC群19.6ヵ月と、同等であった。全般的健康関連QOL(EORTC-QLQ-C30)のベースラインからの変化は、olaparib群3.9、TPC群−3.6、とolaparib群が優れていた (差異7.5、95% CI:2.5~12.4、p=0.0035)。Grade3以上の有害事象(AE)は、olaparib群の36.6%、TPC群の50.5%で発現し、olaparib群で頻度の高い項目は、貧血16%、好中球減少症9%などであった。 Discussantであるスタンフォード大学のAllison Kurian氏は、PARP阻害薬と免疫チェックポイント薬の併用への期待、また、今後のPARP阻害薬の役割、効果と耐性のバイオマーカーの特定を研究していくべきであると述べた。 この試験の結果は、学会での発表と同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。 ■参考 ASCO2017 Abstract Robson M, et al. N Engl J Med. 2017. June 4. [Epub ahead of print] OlympiAD試験(Cinical Trials.gov) (ケアネット 細田 雅之) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 PARP阻害薬olaparib、既治療のBRCA乳がんの予後を改善/NEJM ジャーナル四天王(2017/06/27) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 既治療CLDN18.2陽性胃がん、CAR-T療法satri-celがPFS改善(CT041-ST-01)/Lancet(2025/06/10) エビナクマブに続けるか?抗ANGPTL4抗体薬の可能性(解説:興梠貴英氏)-1971(2025/06/10) III期dMMR大腸がん、術後補助療法にアテゾリズマブ上乗せでDFS改善(ATOMIC)/ASCO2025(2025/06/10) 進行腎細胞がん1次治療としてのニボルマブ+イピリムマブ、9年長期追跡結果(CheckMate 214)/ASCO2025(2025/06/10) 思春期うつ病に最も効果的な抗うつ薬は?(2025/06/10) 糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1薬とSGLT2阻害薬に違いは?(2025/06/10) 既治療のEGFR exon20挿入変異NSCLCへのzipalertinib(REZILIENT1)/ASCO2025(2025/06/10) CDK4/6+AI治療後に進行したHR+/HER2-転移乳がん、ipatasertib+フルベストラントがPFS改善(CCTG/BCT MA.40/FINER)/ASCO2025(2025/06/10) コロナワクチン、デマ対策より「接種開始時期」が死亡者数に大きく影響か/東大(2025/06/10) [ あわせて読みたい ] がん診断時から発現、抗がん剤が効かない。シリーズがん悪液質(2)【Oncologyインタビュー】第6回(2019/04/25) 食べられない、食べても痩せる…シリーズがん悪液質(1)【Oncologyインタビュー】第5回(2019/04/18) 第107回 日本泌尿器科学会総会 会長インタビュー【Oncologyインタビュー】第4回(2019/04/11) “医療者ではできない”がん患者支援…がん経験者コミュニティ「5years」【Oncologyインタビュー】第3回(2019/03/04) 膀胱がん、BCG投与後のPD-L1発現誘導【Oncologyインタビュー】第2回 (2019/02/18) 高齢者HER2陽性乳がんに、安全かつ有効な化学療法を…JCOG1607(HERB TEA)【Oncologyインタビュー】第1回(2019/02/15) 消化器がん特集(2018/06/21) 肺がん治療、患者と医療者の“スキマ”とは? 第15回【肺がんインタビュー】(2018/05/09) 肺がん特集まとめインデックス(2017/06/20) 肺がん特集(2017/06/20)
CDK4/6+AI治療後に進行したHR+/HER2-転移乳がん、ipatasertib+フルベストラントがPFS改善(CCTG/BCT MA.40/FINER)/ASCO2025(2025/06/10)