SGLT2阻害薬のCVイベント抑制効果、リアルワールドで示される:ACC.17

提供元:ケアネット

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公開日:2017/04/05

 

 アストラゼネカ(本社:英国ロンドン、最高経営責任者(CEO):パスカル・ソリオ)は、SGLT2阻害薬の治療を受けた2型糖尿病患者の、心不全による入院ならびに総死亡のリスクを評価した、初の大規模リアルワールドエビデンス試験CVD-REALの結果を、2017年3月19日、第66回米国心臓病学会年次学術集会(ACC.17 )で発表した。

 成人糖尿病患者は、世界中で4億1,500万人にのぼり、2040年までには6億4,200万人(成人の10人に1人)に増加すると推定されている。2型糖尿病患者の心不全のリスクは通常人より2~3倍高く、また、心臓発作および脳卒中の高いリスクにさらされており、死因の約50%が心血管疾患である。

 CVD-REAL試験は、世界6ヵ国30万例超の2型糖尿病患者を対象として行われた(患者の87%は心血管系疾患の既往歴なし)。同試験では、広範な2型糖尿病患者集団全体において、SGLT2阻害薬であるダパグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジンは、他の糖尿病治療薬と比較して、心不全による入院率を39%(p<0.001)、総死亡率を51%(p<0.001)減少したことが示された。また、心不全による入院と総死亡の複合評価項目の減少率は46%(p<0.001)であった。

 心不全による入院率の解析は、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者の匿名データを用いたもので、データの内訳は、ダパグリフロジン投与が全患者の41.8%、カナグリフロジン投与が52.7%、エンパグリフロジン投与が5.5%であった。一方、総死亡率の解析は、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、英国および米国の患者の匿名データを用い、データの内訳は、ダパグリフロジン投与が全患者の51.0%、カナグリフロジン投与が42.3%、エンパグリフロジン投与が6.7%であった。

 今回の解析結果は、CVD-REAL試験の最初の比較解析結果。データの収集は継続しており、今後は今回の対象国だけでなく、他国のデータを加え、複数の解析が実施される予定である。本試験に用いられる解析データは、診療記録、苦情データベースおよび国内登録など、実臨床の情報源から入手された非特定化データ。本解析は、St. Luke’s Mid America Heart Institute(米国、カンザスシティ)の独立研究機関の統計グループにより検証された。

■参考
アストラゼネカ株式会社プレスリリース
CVD-REAL試験(Clinical Trials.gov)

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(ケアネット 細田 雅之)