食事が喫煙者の肺機能保護に関わる可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2016/12/07

 

 禁煙だけでなく、食事が喫煙者の肺機能保護に関わる可能性が、スペインのSorli-Aguilar M氏らによる研究で明らかになった。BMC Pulmonary Medicine誌2016年11月25日号掲載の報告。

 食事が肺機能に対して与える影響はあまり知られていない。肺機能低下の主な原因は喫煙だが、食習慣との関連も示唆されている。野菜や果物に含まれる抗酸化ビタミン(C、D、E、β-カロテン)や各種ミネラル、食物繊維、フィトケミカル、そして魚介類に含まれるオメガ-3脂肪酸の摂取が呼吸器の健康と関連するとされる一方で、加工肉や過度のアルコール摂取は肺機能低下と関連するという報告も存在する。

 本研究では、呼吸器疾患を持たない喫煙者(n=207、35~70歳)を対象に、食事パターンと肺機能の関連が検討された。対象者の食事パターンは、食物摂取頻度調査の結果を主成分分析(PCA)にかけることで決定された。肺機能の低下はFVC<80%、FEV1<80%、FEV1/FVC<0.7のいずれかまたは複数該当する場合とされ、 ロジスティック回帰分析によって解析が行われた。

 主な結果は以下のとおり。

・肺機能低下は47名(22.7%)の対象者でみられ、男性の対象者でより多くみられた(男性30.8%、女性16.4%)。

・対象者の食事パターンは、主にアルコール摂取型、西洋型、地中海型の3つのパターンに区分された。
 ◆アルコール摂取型:
  ワイン、ビール、蒸留酒などアルコール飲料の摂取が多い群
 ◆西洋型:
  肉類、乳製品、甘い飲料、菓子類の摂取が多く、果物、野菜、魚の摂取が少ない群
 ◆地中海型:
  鶏肉、卵、魚、野菜、芋類、果物、ナッツ、ドライフルーツの摂取が多い群

・アルコール摂取型の食事パターンで肺機能低下との関連がみられ(オッズ比[OR]:4.56、95%信頼区間[CI]:1.58~13.18)、とくに女性においてその影響が大きかった(OR:11.47、95%CI:2.25~58.47)。

・西洋型の食事パターンは、女性においてのみ肺機能低下との関連がみられた(OR:5.62、95%CI:1.17~27.02)。

・地中海型の食事パターンと肺機能低下には関連がみられなかった(OR:0.71、95%CI:0.28~1.79)。

・禁煙に加えて、食事パターンの見直しが肺機能保護に役立つ可能性がある。

(ケアネット 細川 千鶴)