キウイ栽培地ではキウイアレルギーは多いのか

提供元:ケアネット

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公開日:2016/12/02

 

 キウイは食物アレルギーの一因としてよく知られているが、このアレルギーに関する有病率の研究はあまり報告されていない。

 そこで、本研究ではキウイが多く栽培されている地域(トルコ黒海地方、リゼ県)の児童(6~18歳)におけるIgE依存性キウイアレルギーの有病率と臨床的特徴を調査した。

 Pediatric Allergy and Immunology誌オンライン版2016年10月12日号の掲載の報告。

 試験対象は無作為に抽出した6~18歳の児童2万800人(トルコ、リゼ県在住)。試験期間は2013年の1年間とした。自己記入質問票に児童自身と両親が記入し、キウイアレルギーの疑いがあり、同意を得られた児童には皮膚プリックテスト(SPT)および経口負荷試験(OFC)を行った。

 キウイアレルギー疑いの児童には、キウイ(市販アレルゲンエキス、生のキウイを使用したプリック-プリックテスト)と事前に指定されていた関連アレルゲンのパネル(バナナ、アボカド、ラテックス、ゴマ、シラカバ、チモシー(牧草)、ハシバミ、ネコ、ヤケヒョウヒダニおよびコナヒョウヒダニ)のSPTを行った。SPTでキウイに陽性を示したすべての児童にOFCを行い、キウイアレルギーの有病率を決定した。

 主な結果は以下のとおり。

・アンケートの回答率は75.9%(1万5,783/2万800人)であった。

・親が推定した児童のキウイアレルギー有病率は0.5%(72/1万5,783人)(95%信頼区間[CI]:0.39~0.61%)であった。

・72人の児童のうち、52人(72.2%)がSPTを受けた。そのうちの17人(32.7%)が市販のキウイアレルゲンエキスと生のキウイ、両方に陽性を示した。

・キウイにSPT陽性を示した児童において多く報告されたのは、皮膚症状(n=10、58.8%)で、胃腸症状(n=6、35.3%)と気管支症状(n=4、23.5%)がそれに続いた。

・口腔症状は6人(35.3%)の児童に認められた。

・キウイにSPT陽性を示した児童全員がOFCでも陽性であった。

・リゼ県在住の児童におけるキウイアレルギーの有病率は、OFCの結果から0.10%(17/1万5,783)(95%CI:0.06~0.16)と確定した。

 以上の結果から、確認されたキウイアレルギーの有病率(0.10%)は親の認識(0.5%)とは一致しなかった。予想に反して、キウイ栽培が盛んで消費量も多い地域にもかかわらず、キウイアレルギー有病率は、低い値を示した。

(ケアネット 常盤 真央)