震災による被害で認知症リスク増加

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 これまで、震災前後における認知症リスク因子を考慮し、関連を調べた研究はなかった。米国・ハーバード大学公衆衛生大学院のHiroyuki Hikichi氏らは、将来を見据えて、2011年の東日本大震災と津波の影響による災害の経験が認知機能低下と関連しているかどうかを調査した。Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America誌オンライン版2016年10月24日号の報告。

 地震と津波の7ヵ月前に震源地から80km西に住んでいた成人を対象に調査を行った。震災後約2.5年のフォローアップ調査により、3,594人(フォローアップ率:82.1%)の生存者から認知症の発症率だけでなく、個人的経験についての情報を収集した。主要アウトカムは、フォローアップ期間中の家庭内における認知症診断とした。

 主な結果は以下のとおり。

・分析対象者3,566人のうち、38.0%は災害により親戚や友人を失い、58.9%は物的損害があったと報告した。
・Fixed-effects回帰では、重大な住宅ダメージ(認知症状レベルの回帰係数:0.12、95%CI:0.01~0.23)や家屋の崩壊(認知症状レベルの回帰係数:0.29、95%CI:0.17~0.40)は認知機能低下との関連が認められた。
・家屋の崩壊のエフェクトサイズは、脳卒中発症の影響に匹敵していた(認知症状レベルの回帰係数:0.24、95%CI:0.11~0.36)。
・住宅の損傷と認知機能低下との関連は、操作変数解析において統計学的に有意であった。
・住宅被害は、自然災害による高齢者の認知機能低下の重要な危険因子であることが示唆された。

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