震災と精神症状、求められる「レジリエンス」の改善 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2014/03/11 2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震の生存者は、仮設住宅への避難を余儀なくされた。活水女子大学の久木原 博子氏らは、避難住民の心的外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病の有病率や健康状態とレジリエンス(回復力)に関して、社会・人口統計学的要因を調査した。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2014年1月21日号の報告。 対象は福島県広野町の避難住民241人(男性:女性=125:116)。コナー・デビッドソン・レジリエンス尺度、Zungの自己評価式抑うつ尺度(SDS)、出来事インパクト・スケール改訂版(IES-R)、人口統計アンケートを実施した。 主な結果は以下のとおり。 ・すべての対象者のうち、53.5%はPTSDの関連症状を呈し、33.2%は臨床的なPTSD症状を示した。 ・さらに、66.8%はうつ病の症状が認められた。うつ症状の程度は軽症33.2%、中等症19.1%、重症14.5%であった。 ・レジリエンス(回復力)は、うつ病やPTSD、全体的な健康状態に対する有意な緩衝要因であった。 ・また、雇用状態、食生活・運動習慣や飲酒習慣はレジリエンスの予測要因であった。 本結果より、著者らは「避難住民はうつ病やPTSDの症状を呈することが多かった。しかし、このような事態に耐えることができた方も存在し、レジリエンスが重要な緩衝要因であると考えられる。そのため、レジリエンスの改善を目指し、雇用機会の提供や健康的なライフスタイルを奨励することが重要である」と述べている。 関連医療ニュース 少し歩くだけでもうつ病は予防できる 1日1杯のワインがうつ病を予防 東日本大震災から1年;新たな地域連携をめざして“第27回日本老年精神医学会” (ケアネット 鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Kukihara H, et al. Psychiatry Clin Neurosci. 2014 Jan 21. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 再発を伴わない二次性進行型多発性硬化症、tolebrutinibが障害進行リスク抑制/NEJM(2025/04/25) 米国出生率、中絶禁止導入州で上昇/JAMA(2025/04/25) 症状のない亜鉛欠乏症に注意、亜鉛欠乏症の診療指針改訂(2025/04/25) サブタイプ別転移乳がん患者の脳転移発生率、HER2低発現の影響は(2025/04/25) 2年間のフレマネズマブ治療の有効性および継続性〜国内単一施設観察研究(2025/04/25) 遺伝性アルツハイマーへのgantenerumab、発症リスク低下に有効か(2025/04/25) tenecteplase、脳梗塞治療でアルテプラーゼと同等の効果(2025/04/25) 低ホスファターゼ症の新たな歯科症状が明らかに―全国歯科調査(2025/04/25) [ あわせて読みたい ] 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01) カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<下巻>(2012/12/01)