双極性障害とうつ病の鑑別診断への試み:奈良県立医大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/09/15 躁状態歴が明確にわからない患者では、双極性障害とうつ病を区別することが困難である。鑑別診断のために、客観的なバイオマーカーが必要とされている。奈良県立医科大学の松岡 究氏らは、拡散テンソル画像を用いて、双極性障害患者とうつ病患者の脳白質の微細構造の違いを検討した。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2016年8月30日号の報告。 対象は、DSM-IV-TR基準に基づき抑うつまたは躁うつ寛解状態の双極性障害患者16例、大うつ病患者23例および健常対照者23例。双極性障害とうつ病患者における異方性比率の有意差を検出するために、全脳ボクセルベース・モルフォメトリー解析を用いた。本研究は、2011年8月~2015年7月に実施された。 主な結果は以下のとおり。 ・双極性障害患者では、うつ病患者と比較し、脳梁前部の異方性比率値の有意な減少が認められ(p<0.001)、これは患者の感情状態に依存しなかった。 ・この減少は、放射拡散係数値の増加と関連が認められた(p<0.05)。また、健常対象者と比較した場合も有意な減少が認められた(p<0.05)。 ・異方性比率値を用いて双極性障害とうつ病のすべての患者を予測したところ、正確な分類率は76.9%であった。 著者らは「抑うつまたは躁うつ寛解状態の双極性障害患者は、脳梁における微細構造の異常が明らかであり、これは大脳半球間の感情的な情報交換を悪化させ、感情調節不全を来すと考えられる。そして、分類診断ツールとして、拡散テンソル画像使用の可能性が示唆された」としている。 関連医療ニュース うつ病と双極性障害、脳の感情調節メカニズムが異なる うつ病と双極性障害を見分けるポイントは 双極性障害I型とII型、その違いを分析 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Matsuoka K, et al. J Clin Psychiatry. 2016 Aug 30. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 術後VTEの予防、REGN7508Catがエノキサパリンを上回る/Lancet(2025/12/08) 宅配DASH食+カウンセリングで血圧は改善するか/JAMA(2025/12/08) 成人期発症の再発型ネフローゼ症候群に対する抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/12/08) 10人に1人が糖尿病疑い、男性は3割が肥満/国民健康・栄養調査2024(2025/12/08) HR+/HER2-進行乳がん1~2次治療、パルボシクリブvs.ribociclib vs.アベマシクリブ(2025/12/08) 若年女性の4人に1人が低体重:運動習慣が与える影響はBMIで異なる(2025/12/08) 多くの若者がAIチャットボットにメンタルヘルスの問題を相談(2025/12/08) 代謝異常を伴う脂肪肝「MASLD」、慢性腎臓病の独立リスクに(2025/12/08) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)