日本人未成年者のぶどう膜炎の臨床的特徴

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/07/08

 

 若年者のぶどう膜炎の多くは、両眼性であり、全身性疾患との関連はないことが、東京の3次医療施設における調査で示された。杏林大学の慶野 博氏らが、杏林アイセンターを受診した20歳未満のぶどう膜炎若年患者の臨床的特徴、全身疾患との関連、治療および視力予後を分析したもの。眼炎症のコントロールに全身療法を要した患者は5分の1のみで、視力予後はほとんどの患者で良好であった。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2016年6月22日号の掲載報告。

 研究グループは、2001~13年に杏林アイセンターを受診した20歳未満のぶどう膜炎患者のカルテを後ろ向きに調査した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は64例で、受診時の平均年齢は12.9歳(4~19歳)、女性(70%)ならびに両眼性(81%)が多数を占めた。
・平均追跡調査は、46ヵ月(3~144ヵ月)であった。
・前部ぶどう膜炎が56.3%、汎ぶどう膜炎が28.1%、後部ぶどう膜炎15.6%で、中間部ぶどう膜炎の患者はいなかった。
・最も頻度が高い病型は、分類不能ぶどう膜炎(57.8%)であった。
・全身疾患との関連は10.9%で観察されたが、若年性特発性関節炎と診断された患者はいなかった。
・眼合併症は71.9%で観察された:視神経乳頭充血/浮腫40.6%、硝子体混濁23.4%、虹彩後癒着18.7%、眼圧上昇17.1%、白内障14.1%。
・6例は眼手術を受けた:水晶体摘出5例、緑内障手術2例。
・12例(18.7%)は、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤または生物学的製剤のいずれかの全身投与を受けた。
・視力が1.0以上の患者の割合は、ベースライン時87.1%、6ヵ月後91.3%、12ヵ月後89.6%、36ヵ月後87.5%であった。

(ケアネット)