精神疾患患者に対するECT後の転帰を予測することは可能か

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/02/04

 

 発作後における見当識障害の回復速度から電気ショック療法(ECT)の結果が予測可能かどうか、これまで検討されたことはなかった。ノルウェー・Diakonhjemmet病院のTor Magne Bjolseth氏らは、見当識障害の回復速度から高齢うつ病患者におけるECT治療の効果を予測できるかを検討した。Journal of affective disorders誌2016年1月15日号の報告。

 formula-based ECTで治療を行った単極性または双極性うつ病高齢患者57例(60~85歳)を含む長期コホート研究。治療結果は、ECT実施期間中、17項目版ハミルトンうつ病評価尺度(HRSD17)により毎週評価した。発作後の再配向時間(PRT)は、第1回および第3回治療で評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・第1および第3回治療のより長いPRTは、連続HRSD17の急速な低下(p=0.002)とより低いエンドポイント(p=0.019)を予測した。
・寛解基準(HRSD17スコアが7以下)を満たし、5分未満で見当識障害から回復した患者はいなかった。
・第1~3回のECTセッション刺激量の増加は、PRTのより小さな相対的低下を来した。

 結果を踏まえ、著者らは「少なくともうつ病高齢者において、第1および第3セッションにおける見当識障害からの回復速度は、formula-based ECTの治療転帰の予測因子であると考えられる。PRTが刺激量の目安として利用できることを明らかにすべきである」とまとめている。

関連医療ニュース
うつ病へのECT、ケタミン併用の検討が進行
統合失調症へのECT、アジア諸国での実態調査
電気けいれん療法での麻酔薬使用、残された課題は?

(鷹野 敦夫)