電気けいれん療法での麻酔薬使用、残された課題は?

提供元:ケアネット

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公開日:2014/04/28

 

 うつ病は主たる精神疾患で世界中の何百万人もが罹患しており、WHOでは障害の主要な一因としている。重度のうつ病において電気けいれん療法(ECT)は確立された治療であるが、不快感とECTに誘発される強直間代けいれんという有害な副作用を最小限に抑えるため、静脈麻酔が使用される。しかし、麻酔薬の種類によるうつ症状軽減効果や有害作用への影響は明らかになっていない。中国・重慶大学附属病院のPeng Lihua氏らは、うつ病に対するECTにあたって使用される静注麻酔薬について、うつ症状軽減効果や有害作用への影響を比較検討するためレビューを行った。Cochrane Database Systematix Reviewsオンライン版2014年4月11日号の掲載報告。
 
 研究グループは、ECT施行中の成人うつ病患者において、静注催眠・鎮静薬の相違が抗うつ効果、回復および発作期間に及ぼす影響を評価することを目的としたレビューを行った。Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(2012年の12号分)、MEDLINE via Ovid SP、およびEMBASE via Ovid SP(いずれも1966~2012年12月31日まで)を用いて検索した。関連記事は手作業で検索し、言語を制限することなく適用した。検索対象は、ECTに対して種類の異なる催眠・鎮静薬の有効性を評価している無作為化比較試験(RCTs)およびクロスオーバー試験とし、プラセボまたは吸入麻酔薬を使用している試験・研究および麻酔薬を使用していない試験は除外した。

 2名のレビュワーが試験の質を独立して評価し、データを抽出した。可能な場合はデータを蓄積し、Cochrane Review Manager statistical package(RevMan)を用いて、リスク比(RR)と平均差(MD)をそれぞれ95%信頼区間(CI)と共にコンピュータで算出した。

 主な結果は以下のとおり。

・1994~2012年に報告された18件のRCT(599例)がレビューの対象となった。
・大半がバイアスリスクの高い試験であった。
・6種類の静脈麻酔薬を比較検討した結果を解析したほか、プロポフォールとメトヘキシタール(国内未承認)を比較した4件の試験、プロポフォールとチオペンタールを比較した3件の試験を併合して解析を行った。
・プロポフォールとメトヘキシタールの比較において、うつスコアの軽減に差はみられなかった(エビデンスの質:低)。ただし分析に含んだ4件の試験では、うつスコアの差を検出するデザインとされていなかった。
・プロポフォール群はメトヘキシタール群と比較して、脳波(EEG)の発作持続時間ならびに運動発作の期間が短かった(エビデンスの質:低)。
・プロポフォールとチオペンタールの比較において、EEG発作期間に差はみられなかった(エビデンスの質:低)。
・チオペンタール麻酔後の被験者は、プロポフォールに比べて回復までの時間(命令に従う)が長かった(エビデンスの質:低)。
・その他の麻酔薬の比較に関しては、1件の試験または不十分なデータしかなかった。
・検討対象とした試験において有害事象に関する報告は不十分であったが、麻酔薬に関連する死亡の報告はなかった。
・今回、多くの試験でバイアスリスクが高く、エビデンスの質は概して低かったほか、臨床的に明らかなうつスコアの差を検出するようデザインされていなかった。著者は、「麻酔薬は有害事象プロファイル、すなわち発作の出現と発作期間に及ぼす影響に基づいて選択されるべきである」と指摘している。
・十分に長期の発作を導き出すのが困難だとすれば、メトヘキシタールはプロポフォールに比べ優れている可能性があった(エビデンスの質:低)。
・もし麻酔からの回復がゆっくりであれば、プロポフォールはチオペンタールに比べ命令に応じるまでの時間(回復までの時間)がより早い可能性があった(エビデンスの質:低)。
・エトミデード(国内未承認)による副腎抑制は、いずれの試験でも臨床的な懸念事項として示されていなかった。
・静脈催眠・鎮静薬の最適な用量はいまだ不明であった。有害事象を最小限に抑えつつ、うつスコアを最大限に改善する静注麻酔薬を明らかにするため、より大規模の十分にデザインされた無作為化試験が求められる。

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(ケアネット)