小児に対する抗精神病薬、心臓への影響は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/01/29 小児および青年に対する抗精神病薬の使用は、米国のみならず欧州においても大幅に増加している。しかし、小児に対する第2世代抗精神病薬(SGA)の心臓への安全性に関するエビデンスは限られている。スペイン・Sant Joan de Deu病院のJose A Alda氏らは、小児および青年に対するSGAの心臓への副作用を評価し、臨床、人口統計、治療因子による影響を検討した。Journal of child and adolescent psychopharmacology誌オンライン版2016年1月18日号の報告。 本研究は、抗精神病薬の治療を開始した未治療または準未治療の小児および青年216例を対象に、自然的縦断的多施設共同研究にて実施された。12ヵ月(ベースライン、3,6,12ヵ月)の補正QT(QTc)間隔や心拍数などの変数に対する抗精神病薬治療の影響を分析した。サンプルで使用された3種類の主要な処方薬(リスペリドン、クエチアピン、オランザピン)の違いを評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・211例がクエチアピン、リスペリドン、オランザピンのいずれかで治療を行った。 ・フォローアップ期間中に有意なQTcの変動は認められなかった(p = 0.54)。 ・SGA間のQTc率の差は認められなかった(リスペリドン vs.オランザピン:p=0.43、リスペリドンvs.クエチアピン:p=0.42、オランザピンvs.クエチアピン:p=0.23)。 ・人口統計、臨床、併用治療の変数を考慮すると、ベースラインの太り過ぎのみがQTc延長と相関していた(p=0.003)。 ・全サンプルの心拍数は、フォローアップ期間中に減少傾向にあった(p=0.054)。 ・しかし、クエチアピン治療患者は、リスペリドン治療患者と比較し、心拍数の増加が認められた(p=0.04)。 ・本サンプルにおいて、SGAは小児や青年に対し安全な心臓への副作用プロファイルを有し、QTc間隔や心拍数の平均的な増加は認められなかった。 関連医療ニュース 第2世代抗精神病薬、小児患者の至適治療域を模索 未治療小児患者への抗精神病薬投与、その影響は 統合失調症、心臓突然死と関連するプロファイルは (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Alda JA, et al. J Child Adolesc Psychopharmacol. 2016 Jan 18. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 統合失調症における抗精神病薬使用と心臓突然死リスク 医療一般 日本発エビデンス(2023/03/07) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 母体HIVウイルス量、母子感染に与える影響は?/Lancet(2025/07/25) ミトコンドリアDNA疾患女性、ミトコンドリア置換で8児が健康出生/NEJM(2025/07/25) “早期乳癌”の定義を変更、「乳癌取扱い規約 第19版」臨床編の改訂点/日本乳癌学会(2025/07/25) 臨床研究への患者・市民参画のいまとこれから/日本リンパ腫学会(2025/07/25) 抗精神病薬の早期処方選択が5年後の体重増加に及ぼす影響(2025/07/25) スタチンはくも膜下出血リスクを下げる?~日本のレセプトデータ(2025/07/25) 経尿道的高周波治療が間質性膀胱炎患者の骨盤痛を緩和(2025/07/25) [ あわせて読みたい ] 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)