持効性注射剤の歴史を振り返る 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/02/19 フランス・ロウファッハ総合病院のM. A. Crocq氏は、抗精神病薬の持効性注射剤(LAI)による統合失調症治療について歴史的観点からまとめた。L'Encephale誌オンライン版2015年1月15日号の掲載報告。 報告の概要は次のとおり。 ・1952年、クロルプロマジン(フェノチアジン誘導体)が統合失調症の治療薬として導入された。 ・その後、間もなく抗精神病薬LAIが開発され、1966年には最初のLAIとしてエナント酸フルフェナジンが誕生し、1968年にはデカン酸フルフェナジンも登場した。他の第1世代抗精神病薬のLAIも1960~1970年代に相次いで開発された。 ・第1世代抗精神病薬のLAIは、地域精神医学の発展に貢献した。潜在的なノンコンプライアンスを予防し、患者への社会的・精神的支援がコンプライアンスをさらに高めた。 ・しかし、第2世代抗精神病薬が登場すると、LAIへの関心は失われていった。 ・2003年、第2世代抗精神病薬LAIが誕生した。これをきっかけに再びLAIへの関心が高まり、2003〜2013年の10年間で4つの第2世代抗精神病薬LAIが承認された。 ・第2世代抗精神病薬LAIは、第1世代抗精神病薬LAIとはデポ技術(薬剤を貯留し徐々に放出する技術)が異なるだけではなく、治療の目的も異なっている。 ・第2世代抗精神病薬LAIを用いることによって、治療の自己中断による再発を予防できるだけではなく、一定した血中濃度が得られるため血中濃度上昇による副作用や血中濃度低下による効果減弱を低減できる。さらに、急性症状のコントロールに限らず、予後の鍵を握る陰性症状や認知障害の軽減を目指すことができる。 関連医療ニュース アリピプラゾール持効性注射薬の安全性は 抗精神病薬の種類や剤形はアドヒアランスに影響するのか 抗精神病薬注射剤を患者は望んでいるのか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Crocq MA. Encephale. 2015 Jan 15. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 初発統合失調症患者が抗精神病薬を服薬中断した理由 医療一般(2023/02/27) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 肥満手術、SADI-SはRYGBを凌駕するか/Lancet(2025/09/09) 9月20日・21日、産業保健の最新動向を学ぶ!日本産業保健法学会【ご案内】(2025/09/09) 心房細動と動脈硬化、MRIで異なる脳血管病変示す/ESC2025(2025/09/09) うつ病治療において有酸素運動と組み合わせるべき最適な治療は(2025/09/09) DPP-4阻害薬でコントロール不十分な2型糖尿病にイメグリミン追加が有効~FAMILIAR試験(2025/09/09) 高齢者への不適切処方で全死亡リスク1.3倍、処方漏れで1.8倍(2025/09/09) オメガ3脂肪酸が小児の近視抑制に有効?(2025/09/09) 厳格な血圧コントロールは心臓の健康だけでなく費用対効果も改善(2025/09/09) [ あわせて読みたい ] 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11)