肛門症状は言いづらい

提供元:ケアネット

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公開日:2014/12/11

 

 約6分の5の患者が肛門症状を隠しており、肛門医の役割が非常に重要であることが、フランス・ビシャ=クロード・ベルナール病院のLaurent Abramowitz 氏らによって明らかとなった。

 また著者らは、肛門に症状を持っているが未診断の患者の多くには、おそらくさまざまな要因が含まれているのだろう、として、それらの因子を明らかにし、肛門疾患の診断・治療の環境改善を図るためにもさらなる研究が必要だと述べている。The European journal of general practice誌2014年12月号掲載の報告。

背景

 患者は、なかなか肛門症状について話さないため、肛門機能障害の診断が遅れ、健康に悪影響を来す。また、診断の遅れに寄与する因子に関する疫学的な知見は乏しいため、一般医学における重大な問題になりつつある。

 そこで著者らは、肛門機能障害の患者が自然発生的に診断される数と患者にアンケートを取った後に診断される数を評価することによって、肛門機能障害における家庭医の役割を評価した。

方法

 39人の一般開業医が、前向きに2.5日間の間に診療したすべての患者に対してアンケートを実施した。

結果

●計1,079人が研究に参加した。
●621人(58%)が女性で、458人(42%)が男性であり、年齢中央値は54歳だった。
●22人(2%)の患者は、肛門症状を主訴に来院した。
●その後のアンケートによって、新たに肛門症状が認められたのは153人(14%)だった。
●症状は、出血(32%)、疼痛(31%)、肛門の痒み(22%)、腫脹(22%)、滲出(14%)および肛門分泌物(14%)として報告された。
●医師の診断は、痔、裂肛、肛門分泌物、肛門皮膚疾患および肛門機能障害であった。
●患者の35%は、アンケートのみを用いて診断されていた。
●便失禁は、専門医への紹介に関連する唯一の因子であった(オッズ比=5、 95%信頼区間:1.4~17.8)。

(ケアネット 岸田有希子)