PIK3CA変異乳がんは抗HER2療法の効果低い

提供元:ケアネット

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公開日:2014/09/17

 

 乳がんではホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K) / AKT経路の異常はよくみられ、PIK3CAの変異が最も多い。ドイツ乳がんグループのSibylle Loibl氏らは、術前補助化学療法に加えてdualもしくはsingle 抗HER2療法を行ったHER2陽性乳がんにおいて、PIK3CA遺伝子型と病理学的完全寛解(pCR)率との関連を調査した。その結果、PIK3CA変異のあるHER2陽性乳がんでは、アントラサイクリン・タキサンの化学療法と抗HER2療法(dual抗HER2療法であっても)による術前補助化学療法後に、pCRを達成する可能性は低いことが示唆された。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2014年9月8日号に掲載。

 著者らは、術前補助化学療法の研究(GeparQuattro、GeparQuinto、GeparSixto)の参加者から得られた504の腫瘍サンプルのPIK3CA変異を評価した。すべてのHER2陽性患者はトラスツズマブかラパチニブもしくはその併用のいずれかと、アントラサイクリン・タキサンの化学療法の治療を受けた。PIK3CA変異は、20%以上の腫瘍細胞含有量のコア生検によるホルマリン固定パラフィン包埋組織で、エクソン9とエクソン20のサンガー法による配列決定を用いて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・患者の21.4%にPIK3CA変異がみられた。
PIK3CA変異型では有意にpCR率が低かった(変異型19.4% vs 野生型32.8%、オッズ比[OR]:0.49、95%CI:0.29~0.83、p=0.008)。
・ホルモン感受性(HR)陽性の291例において、pCR率はPIK3CA変異型で11.3%、野生型で27.5%であった(OR:0.34、95%CI:0.15~0.78、p=0.011)。
・HR陰性の213例では、pCR率はPIK3CA変異型で30.4%、野生型で40.1%であった(OR:0.65、95%CI:0.32~1.32、p=0.233、相互作用検定p=0.292)。
・多変量解析では、HR状況とPIK3CA状況は独立した予測因子であった。
PIK3CA変異のある患者において、ラパチニブ、トラスツズマブ、その併用によるpCR率はそれぞれ16.0%、24.3%、17.4%であった(p=0.654)。野生型の患者では、それぞれ、18.2%、33.0%、37.1%であった(p=0.017)。
・無病生存期間および全生存期間は、PIK3CA変異型と野生型との間に統計学的有意差は認められなかった。

(ケアネット 金沢 浩子)