COPD患者の鉄欠乏症治療 呼吸困難改善の可能性

提供元:ケアネット

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公開日:2014/03/07

 

 COPD患者の鉄欠乏症を赤血球造血刺激因子製剤(ESA製剤)と鉄静注で治療をすることで、貧血が改善するだけでなく、呼吸困難も改善する可能性があることを、イスラエル・テルアビブソラスキー医療センターのDonald S Silverberg氏らが報告した。COPD患者における鉄欠乏症は一般的だが、そのほとんどが見過ごされ、治療がなされていなかったことにも言及している。BMC pulmonary medicine誌オンライン版2014年2月24日の掲載報告。

 本研究の目的は、「(ⅰ)COPD増悪で入院した患者の鉄欠乏症・貧血の有病率とその治療について検討すること」、および「(ⅱ)外来を訪れたCOPDと慢性腎臓病を有する貧血患者に対して、ESA製剤や鉄静注による貧血治療の前後での、血液学的効果や呼吸困難の程度を検討すること」である。
 具体的には、「(ⅰ)鉄欠乏症や貧血の有病率とその治療を調べるため、COPDの急性増悪を起こしたすべての患者の病院記録を調べ」、「(ⅱ)貧血を来したCOPDの外来患者12例に対して、週1回、5週にわたり、ESA製剤と鉄静注の併用療法を実施した。1週間後、視覚的アナログスケールにより、血液学的効果と呼吸困難の重症度を検討する」といった方法で検討した。

 主な結果は以下のとおり。

(ⅰ)
・COPDの急性増悪で入院した107例のうち、入院中に貧血がみられたのは、47例(43.9%)であった。
・貧血がみられなかった60例のうちの2例(3.3%)、および貧血のあった患者(47例)のうち18例(38.3%)について血清鉄とトランスフェリン飽和度、血清フェリチンが測定されていた。
・18例すべての患者が鉄欠乏症であったが、入院前後および入院中も鉄剤の経口投与および静注は行われていなかった。

(ⅱ)
・外来患者の介入研究では、12例の外来貧血患者のうち、11例(91.7%)で、鉄欠乏症が認められた。
・ヘモグロビン、ヘマトクリット、視覚的アナログスケールの値は、ESA製剤と鉄静注の併用療法を行った患者で有意に増加していた。
・ヘモグロビン増加と視覚的アナログスケール改善、およびヘマトクリット増加と視覚的アナログスケール改善との間には、著明な相関関係がみられた(それぞれ、rs=0.71、p=0.009 / rs=0.8、p=0.0014)。

(ケアネット 鎌滝 真次)