今後の喘息治療では何が求められるのか

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/06

 

 2014年1月27日(月)、東京都千代田区でグラクソ・スミスクライン株式会社により、気管支喘息治療剤「レルベア エリプタ」(一般名:ビランテロールトリフェニル酢酸塩/フルチカゾンフランカルボン酸エステル)のメディアセミナーが開催された。本剤は昨年12月9日に発売された新規のICS/LABA製剤である。当日は3つの講演が行われた。
 
【なぜレルベアが患者にとって重要か】
 はじめに、同社呼吸器事業本部長であるエリック・デュベイ氏より、レルベアの患者さんへのベネフィットを中心とした講演が行われた。
 
 デュベイ氏は、レルベアは1日1回1吸入で喘息症状に対する有効性(FEV1改善、QOLの向上など)が期待できるICS/LABAであること、また吸入デバイス(エリプタ)についても、より使いやすいよう開発されているため服薬アドヒアランス向上が期待できることを述べた。さらに、安全性のプロファイルについても、同社よりすでに発売されている1日2回吸入のICS/LABA製剤であるアドエアと同等であるという。

【喘息患者の現状とガイドライン治療目標との間に大きな開き】
 続いて、国際医療福祉大学 臨床医学研究センター教授/山王病院アレルギー内科教授である足立 満氏により「喘息治療 最新の実態と課題」と題する講演が行われた。

 足立氏は、喘息の治療薬は、1990年代初頭を境に気道の狭窄に対する気管支拡張薬主体の治療薬から気道の慢性炎症に対する抗炎症薬主体の治療薬にシフトした、と述べた。これらを背景に喘息死は年々減少しているが、喘息治療の目標である「健常人と変わらない日常生活が送れるようにする」という点については十分といえないのが現状だという。事実、AIRJ(全国喘息患者電話実態調査)2011の結果から、喘息患者の実際のコントロール状態と治療目標との間には大きな開きがあることがわかっている1)
 さらに足立氏は、喘息治療における課題として治療継続率の低さを挙げた。この主な原因として「自己判断による中止」、「服薬を忘れる」、「服薬の手間」などがある。服薬については、喘息患者の多くが1日1回の吸入が治療を望んでいる現状がある。また、高齢化の進む今、より簡便なデバイスが求められるようになっているため、「レルベア」は1日1回1吸入、より使いやすい吸入デバイスであるという点で、治療継続率の向上が期待できるという。

【レルベアの登場で今後の喘息治療はどう変わるのか】
 最後に、広島アレルギー呼吸器クリニックの保澤 総一郎氏により「治験・患者アンケートからみる今後の喘息治療への期待」として講演が行われた。

 保澤氏によると、喘息悪化の原因はさまざまだが、喘息症状により気道収縮を繰り返すと気道のリモデリングが起こり、難治化するという。その点、ICS/LABAは気道リモデリング抑制効果が期待できると述べた。レルベアのICSであるフルチカゾンフランカルボン酸エステル(FF)は吸入ステロイド薬のなかで、最もグルココルチコイド受容体親和性を示し、強い抗炎症効果がある。加えて、グルココルチコイド受容体の核内移行作用も長時間持続することから、持続的な抗炎症効果が期待できるという。
 保澤氏は足立氏同様、服薬アドヒアランスを喘息治療における課題としている。実際、保澤氏のクリニックで行われた調査では、1日1回1吸入を支持する患者は8割以上に上っている。
   
 保澤氏は、レルベアが1日1回1吸入であることに加え、朝・夜いずれの服用においても呼吸機能改善効果が24時間維持され、安全性にも影響が認められなかったことから、喘息の服薬アドヒアランス向上への期待感を示した。そのうえで、より良い喘息治療の実現を目指すにあたってレルベアは有用な選択肢となりうると締めくくっている。

1)足立満ほか. アレルギー・免疫. 2012; 19: 1562-1570.

(ケアネット 鎌滝真次)