テストステロン補充療法により死亡・心筋梗塞・脳卒中のリスクが増加/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/11/15

 

 テストステロン補充療法による心血管転帰や死亡率への影響は明らかになっていない。米国テキサス大学のRebecca Vigen氏らは、テストステロン補充療法が退役軍人男性における全死因死亡や心筋梗塞、脳卒中と関連するか、またその関連性が、基礎疾患の冠動脈疾患により変化するかどうかを検討した。その結果、冠動脈造影を受け血清テストステロンが低値であった男性コホートにおいて、テストステロン補充療法が有害転帰リスク増加と関連していたことが示された。JAMA誌2013年11月6日号に掲載。

 本研究は、2005年から2011年の間の退役軍人省のヘルスケアシステムのデータを基にしたレトロスペクティブな全国コホート研究である。対象は、冠動脈造影を受けた、テストステロン低値(300ng/dL未満)の男性、主要アウトカムは、全死因死亡、心筋梗塞、虚血性脳卒中の複合アウトカムである。

 主な結果は以下のとおり。

・総テストステロン値が300ng/dL未満の男性8,709人のうち、1,223人が冠動脈造影後531日(中央値)後にテストステロン補充療法を開始した。
・アウトカムの1,710イベントの内訳は、死亡748人、心筋梗塞443人、脳卒中519人であった。テストステロン補充療法を受けていない7,486人において、死亡681人、心筋梗塞420人、脳卒中486人、テストステロン補充療法を受けた1,223人において、死亡67人、心筋梗塞23人、脳卒中33人であった。
・絶対的イベント発生率は、テストステロン補充療法なし群19.9% 対テストステロン補充療法あり群25.7%で、冠動脈造影後3年時点の絶対リスクの差は5.8%(95%CI:-1.4%~13.1%)であった。
・冠動脈疾患の存在を補正したCox比例ハザードモデルにおいて、時間変動型共変量として評価したテストステロン補充療法使用は有害転帰リスク増加と関連していた(ハザード比:1.29、95%CI:1.04~1.58)。
・テストステロン補充療法の効果の大きさについて、冠動脈疾患の有無による有意な差は認められなかった(交互作用の検定、p=0.41)。

(ケアネット 金沢 浩子)