MDMA誘発の高熱にメマンチンが有用?:自治医大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/01/09 自治医科大学精神医学教室教授・西嶋康一氏ら研究グループはラット試験の結果、違法ドラッグ3,4-Methylenedioxymethamphetamine (MDMA)が引き起こす可能性がある致命的ともなりうる高熱に対し、メマンチンが有用である可能性が示唆されたことを報告した。Neuroscience Letters誌2012年12月7日号(オンライン版2012年11月6日号)の掲載報告。 本研究は、効果的な薬物治療が確立されていないMDMA誘発の高熱に対する、メマンチン、非競合的N-methyl-d-aspartate(NMDA)型グルタミン酸受容体拮抗薬、α-7ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)拮抗薬の効果について、ラット試験により検討することを目的とした。 主な内容は以下のとおり。 ・MDMA(10mg/kg)の投与前あるいは投与後のメマンチン(10または20mg/kg)投与により、いずれの場合もラットの最高体温は有意に低下した。 ・マイクロダイアリシス法の結果、MDMA投与前のメマチン20mg/kg投与は、視床下部前部のMDMA誘発により増大したセロトニン(5-HT)およびドパミン(DA)への影響は認められなかった。 ・非競合的NMDA受容体拮抗薬のMK-801(0.5mg/kg)や、競合的NMDA拮抗薬のCGS 19755(5mg/kg)について、事前投与の場合、MDMA誘発の高熱は有意に低下した。一方、選択的α-7 nAChR拮抗薬のメチルリカコニチン(6または10mg/kg)では低下はみられなかった。 ・以上の結果は、MDMA誘発の高熱におけるメマンチンの抑制効果は、NMDA受容体拮抗薬そのものの活性によるものであり、5-HTやDAシステムへのメマンチンの効果によってもたらされるものではない可能性を示唆する。 ・本研究は、メマンチン中等量の投与が、ヒトにおけるMDMA誘発の高熱の治療薬として役立つ可能性を示唆する。 関連医療ニュース ・難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・NMDA拮抗薬メマンチンによる再発低血糖症の拮抗ホルモン減弱のメカニズム (ケアネット) 原著論文はこちら Nisijima K, et al. Neurosci Lett. 2012 Dec 7;531(2):198-203. Epub 2012 Nov 6. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] IgA腎症、sibeprenlimabは蛋白尿を有意に減少/NEJM(2025/12/11) BRAF変異陽性大腸がん、最適な分子標的療法レジメンは?/BMJ(2025/12/11) 日本の精神科外来における頭痛患者の特徴とそのマネジメントの現状(2025/12/11) 認知症リスク低減効果が高い糖尿病治療薬は?~メタ解析 (2025/12/11) 日常生活のルーティンの乱れが片頭痛を誘発か(2025/12/11) 膵管拡張は膵臓がんの警告サイン(2025/12/11) ビタミンDの個別化投与で心筋梗塞リスクが半減(2025/12/11)