日本語でわかる最新の海外医学論文|page:895

揚げ物は肥満遺伝子を活性化する?/BMJ

 肥満遺伝子と肥満の関連は、揚げ物の摂取頻度が増えることで増強されることが判明した。10リスクアレル当たりの肥満に関するオッズ比は、揚げ物摂取頻度が週1回未満だと1.61に対し、4回以上だと2.72に上ることが示されたという。米国・ハーバード公衆衛生大学院のQibin Qi氏らが、看護師健康調査(Nurses’ Health Study)や医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-up Study)などのデータを基に行った検討で明らかにした。著者は「今回の所見は、遺伝的に肥満体質の人は、とくに揚げ物の摂取量を減らすことが重要であることを強調するものである」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年3月19日号掲載の報告より。

膠芽腫の新規診断例に対する治療、ベバシズマブの上乗せ効果得られず(コメンテーター:中川原 譲二 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(191)より-

 血管内皮増殖因子Aに対するヒト化モノクロナール抗体:ベバシズマブ(商品名:アバスチン)は、わが国では昨年6月に初発および再発の悪性神経膠腫(膠芽腫)の治療薬として製造販売承認されたばかりであるが、膠芽腫の新規診断例の治療においてベバシズマブの上乗せ効果が得られないことがNEJMの2月20日号に相次いで報告され、ベバシズマブに対する過度の期待を戒めている。

抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学

 抗精神病薬に誘発される代謝異常の管理はしばしば困難であり、これらを軽減するうえで薬剤の併用は理にかなっているとされている。慶應義塾大学の水野 裕也氏らは、統合失調症患者における抗精神病薬誘発性の代謝異常に対する薬物療法の有効性を明らかにすることを目的とした、システマティックレビューとメタ解析を行った。その結果、各種薬剤の併用により体重増加およびその他の代謝異常の軽減が図られることが示され、なかでもメトホルミンは体重増加の軽減、インスリン抵抗性の改善、血清脂質の低下など代謝異常の是正に好ましい多彩な作用を示すことを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2014年3月17日号の掲載報告。

敗血症性ショックへのEGDTプロトコル、死亡率は通常ケアと変わらず/NEJM

 敗血症性ショックにおける早期目標指向型治療(early goal-directed therapy:EGDT)プロトコルに基づく蘇生治療の有効性を検討した多施設共同無作為化試験の結果、同治療はアウトカムを改善しないことが示された。米国・ピッツバーグ大学のDerek C. Angus氏ら「ProCESS(Protocolized Care for Early Septic Shock)」共同研究グループが報告した。EGDTは、10年以上前に発表された単施設試験の結果に基づくプロトコルである。同試験では、救急部門(ER)に搬送されてきた重症敗血症および敗血症性ショックの患者について、6時間で血行動態目標値を達成するよう輸液管理、昇圧薬、強心薬投与および輸血を行う処置が、通常ケアよりも顕著に死亡率を低下したとの結果が示された。ProCESS試験は、この所見が一般化できるのか、またプロトコルのすべてを必要とするのか確認することを目的に行われた。NEJM誌オンライン版2014年3月18日号掲載の報告より。

中大脳動脈領域梗塞の減圧開頭術、高齢者でも有益/NEJM

 悪性中大脳動脈領域梗塞を起こした61歳以上の高齢患者に対する減圧開頭術は、重度の障害を伴わない生存者を増大することが、ドイツ・ハイデルベルク大学のEric Juttler氏ら「DESTINY II」共同研究グループによる検討の結果、示された。大部分の生存者は介助を必要としたが、その大半は身体的ニーズだった。先行研究により、中大脳動脈領域全体、またはほぼ全体に梗塞を起こした60歳以下の患者において、早期の減圧開頭術は死亡率を低下し重度障害リスクも増大しないことが示されていた。しかし高齢患者において同様のベネフィットがあるのかは不明であった。NEJM誌2014年3月20日号掲載の報告より。

スタイルを気にしすぎる女性はうつに注意を

 加齢に伴う体型の変化は、女性のボディーイメージの認識に影響を与えるが、中年女性におけるボディーイメージについてはほとんど知られていない。米国・ノースウェスタン大学のKathryn L Jackson氏らは、白人およびアフリカ系アメリカ人の中年女性を対象に、ボディーイメージと抑うつ症状との関連を検討した。Archives of women's mental health誌オンライン版2014年3月13日号の報告。

ドナーの年齢や性別の不一致は予後に影響する?HCV感染/非感染者への肝移植

 C型肝炎ウイルス(HCV)感染者への肝移植は、50歳以上のドナーからの移植を回避することで、予後を向上させる可能性があることが、ポーランド・ワルシャワ医科大学のMichal Grat氏らの報告により明らかになった。一方、ドナーとレシピエントの性別の一致/不一致で予後が左右されることはなかった。Annals of transplantation誌2013年12月23日号の報告。

BPSD治療にベンゾジアゼピン系薬物治療は支持されるか

 米国・テキサス大学サンアントニオ校のRajesh R. Tampi氏らは、認知症の行動・心理症状(BPSD)に対するベンゾジアゼピン系薬物治療の有効性と忍容性に関する、無作為化試験のシステマティックレビューを行った。その結果、現状の入手できたデータは、限定的ではあるが、BPSDへのベンゾジアゼピン系薬物治療をルーチンに行うことを支持しないものであったことを報告した。ただし特定の状況では使用される可能性があることも示唆されている。American Journal of Alzheimer's Disease and Other Dementias誌オンライン版2014年3月6日号の掲載報告。

乳がん術後リンパ節転移への放射線療法、効果が明確に/Lancet

 乳房切除術および腋窩郭清後の放射線療法の効果について、1~3個のリンパ節転移があり全身治療が行われた場合でも、再発率、乳がん死亡率を低下することが明らかにされた。英国・オックスフォード大学のEarly Breast Cancer Trialists 共同研究グループ(EBCTCG)が22試験、8,135例の患者データをメタ解析し報告した。先行研究のメタ解析で、乳がん切除後の放射線療法は、リンパ節転移が認められる全女性について、再発および乳がん死亡の両リスクを低下することが示されていた。しかし、転移が1~3個と少ない患者におけるベネフィットは不明であり、本検討は、それらの患者の放射線治療の効果について評価することが目的であった。Lancet誌オンライン版2014年3月19日号掲載の報告より。

高齢者の肺塞栓症除外には年齢補正Dダイマー値が有用/JAMA

 血漿Dダイマー値を用いた急性肺塞栓症(PE)患者の除外診断について、固定指標値500μg/Lをカットオフ値として用いるよりも、年齢補正Dダイマー値を用いたほうが有用であることが、スイス・ジュネーヴ大学病院のMarc Righini氏らによる多施設共同前向き試験ADJUSTの結果、示された。Dダイマー測定は、PEが臨床的に疑われる患者において重要な診断戦略として位置づけられている。しかし、高齢者の診断ではその有用性が限定的で、年齢補正の必要性が提言されていた。JAMA誌2014年3月19日号掲載の報告より。

急性心筋梗塞後にも心房細動患者にはCKDのステージに関わらずワルファリンを投与すべき!でも、日本でも同じ?(コメンテーター:平山 篤志 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(190)より-

 ワルファリンは、心房細動患者で心原性脳梗塞や全身性塞栓症を予防するには有効な薬剤で、出血のリスクはあっても、Net Clinical Benefitの点からCHADS2 Scoreを考慮して使用すべきとされている。しかし、CKDのステージが進行するにつれ出血のリスクが増加することから、ワルファリン投与についてはControversialであった。

術後患者の生存率は看護師の人数と学歴で改善できる(コメンテーター:中澤 達 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(189)より-

 コストカット目的での看護師減員は患者アウトカムに悪影響をもたらす一方で、学士号取得の看護師配置を手厚くすると院内死亡は減少するという研究報告が発表された。本検討は、病院運営上最も大きなコスト要素の1つである、看護師に関する意思決定を目的としたRN4CAST研究である。RN4CASTには12ヵ国が参加しているが、今回の検討では、同様の患者退院データを有する9ヵ国(ベルギー、英国、フィンランド、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スペイン、スウェーデン、スイス)300病院における、2009~2010年のデータより解析が行われた。

抗うつ薬が奏効しないうつ病患者への抗精神病薬追加投与は本当に有効か

 抗うつ薬による治療後に症状が悪化した患者に対するうつ病治療(抗精神病薬による補助療法を含む)の有効性は十分に検討されていない。米国・カリフォルニア大学のJ Craig Nelson氏らは、抗うつ薬による治療で効果不十分であった大うつ病性障害患者に対するアリピプラゾール補助療法の有効性、安全性、忍容性を検討した。CNS spectrums誌オンライン版2014年3月18日号の報告。