日本語でわかる最新の海外医学論文|page:898

統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学

 統合失調症の再発予防プログラムとして開発されたITAREPS(Information Technology Aided Relapse Prevention Programme in Schizophrenia)は、非常に効果的であると報告されている。しかし、その効果は利用者のプログラムに対するアドヒアランスの影響を受けており、正確な効果やITAREPSの貢献度に関しては不明確な部分があった。千葉大学の小松 英樹氏らは、このような影響因子を排除したうえで、ITAREPSの有用性評価を行った。Schizophrenia research誌2013年10月号の報告。

またしてもACE阻害薬+ARBの併用、有効性示せず-糖尿病性腎症-/NEJM

 ACE阻害薬(ACEI)+ARB併用療法は、蛋白尿がみられる糖尿病性腎症患者の末期腎不全(ESRD)への病態進行のリスクを低減しないことが、米国・ピッツバーグ大学のLinda F. Fried氏らが行ったVA NEPHRON-D試験で確認された。糖尿病性腎症はESRDの主要原因であり、蛋白尿がみられる糖尿病患者はESRDのリスクが高い。観察試験では、レニン-アンジオテンシン系(RAS)の抑制により腎不全に起因する蛋白尿が低減し、腎機能が改善することが示されている。ACEIとARBの併用療法により蛋白尿が低下することが知られているが、腎不全の進行に及ぼす効果や安全性は確かめられていなかった。NEJM誌2013年11月14日号掲載の報告。

うつ病患者啓発ビデオ、うつ病患者以外に薬剤処方のリスク/JAMA

 プライマリ・ケアでうつ病との付き合い方を紹介する患者啓発ビデオ(depression engagement video:DEV)や、個別双方向マルチメディアコンピュータプログラム(tailored interactive multimedia computer program:IMCP)を用いることは、非うつ病患者への抗うつ薬処方増大の要因になっている可能性が排除できないことが、米国・カリフォルニア大学デービス校のRichard L. Kravitz氏らによる無作為化試験の結果、報告された。プライマリ・ケア患者にうつ病との付き合い方を示唆することは、アウトカムを改善する可能性があると同時に、不要な治療にも結びつく可能性が指摘されていた。JAMA誌2013年11月6日号掲載の報告より。

腎除神経術の降圧効果は3年間持続、しかし降圧薬使用量の減少はみられず(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(148)より-

 利尿薬を含む3剤以上の降圧薬を使用しているにも関わらず収縮期血圧が160mmHg以上の、いわゆる“治療抵抗性高血圧”に対する、腎除神経術(RND)3年間の追跡結果である。RNDの効果は一過性であるとの見方もあったが、結果的には降圧効果は3年後にも持続することが確認されたという点で意義のある論文といえる。

クローン病と歯周炎のカンケイ

 炎症性腸疾患(IBD)、とくにクローン病における肛門部病変は、歯周炎と関連があることがスイス・チューリッヒ大学病院のStephan R Vavricka氏らによる症例対照研究で明らかになった。IBDの治療においては、口腔の炎症にも焦点を当てた治療戦略を立てるべきであると考えられる。Inflammatory bowel diseases誌オンライン版2013年11月7日号の報告。

やはり女の子にとってアトピーは大問題:健康関連QOLに及ぼす影響

 アトピー性皮膚炎を有する思春期前(9~12歳)の女児では、主観的健康感が損なわれている一方、男児ではその影響が見られなかったことが、スウェーデン・カロリンスカ環境医学研究所のNatalia Ballardini氏らにより調査、報告された。Acta dermato-venereologica誌オンライン版2013年10月24日掲載の報告。

片頭痛の予防に抗てんかん薬、どの程度有用か

 片頭痛はしばしば慢性化・難治化する疾患である。海外では、重要の片頭痛患者に対し、抗てんかん薬が使用されている。インド・UP Rural Institute of Medical Sciences and ResearchのArchana Verma氏らは、成人の片頭痛予防に対する、抗てんかん薬レベチラセタム(商品名:イーケプラ、本疾患には国内未承認)の有効性および忍容性を評価した。Clinical neuropharmacology誌2013年11-12月号の報告。

変形性膝関節症による軟骨下骨の骨量減少は、高血圧症や糖尿病と関連

 変形性膝関節症における軟骨下骨の骨量減少が、高血圧症や2型糖尿病と関連している可能性があることが明らかとなった。中国・香港大学李嘉誠医学院のChun Yi Wen氏らが報告したもので、因果関係を確認するために大規模なコホート研究が必要であるとまとめている。Osteoarthritis and Cartilage誌2013年11月号(オンライン版2013年7月29日号)の掲載報告。

治療抵抗性高血圧患者への腎アブレーション:施行3年後の成績/Lancet

 治療抵抗性高血圧患者に対するラジオ波アブレーション腎除神経術(RDN)は、3年時点でも十分な降圧効果が認められたことが報告された。オーストラリア・モナシュ大学のHenry Krum氏らが同施術患者を長期に追跡したSymplicity HTN-1試験の最終報告として発表した。すでに同試験における術後1ヵ月、12ヵ月時点の評価において、同施術は治療抵抗性高血圧患者の血圧を大幅に下げることが示されていた。Lancet誌オンライン版2013年11月6日号掲載の報告より。

新規TKIポナチニブ、治療抵抗性の慢性骨髄性白血病に効果/NEJM

 新規チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)ポナチニブ(国内未承認)は、既治療の慢性骨髄性白血病(CML)およびフィラデルフィア染色体陽性(Ph陽性)急性リンパ性白血病(ALL)の治療として、病期や遺伝子変異の有無にかかわらず有効であることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのJ.E. Cortes氏らが実施したPACE試験で示された。CMLの1次治療にはイマチニブ(商品名:グリベック)が頻用され、高い奏効率が示されているが、約40%の患者で治療抵抗性または耐用不能な有害事象が発現する。治療抵抗性の主な原因はBCR-ABLキナーゼの変異とされるが、ポナチニブはT315I変異により既存のTKIに抵抗性を示す変異型および野生型BCR-ABLに対し強力な作用を有する経口TKIだという。NEJM誌2013年11月7日号(オンライン版2013年11月1日号)掲載の報告より。

ステント留置患者における非心臓手術時の心事故リスク(コメンテーター:大野 貴之 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(147)より-

現行のガイドラインでは、冠動脈ステント留置術後の非心臓手術の実施時期について、薬剤溶出性ステント(DES)は1年後、ベアメタルステント(BMS)は6週間後に延期することを推奨しているが、その根拠となるエビデンスは限られていた。

出生後1年間の抗菌薬暴露が小児期~若年成人期の湿疹に影響

 出生後1年の間に抗菌薬に曝露された小児は、0~25歳時に湿疹を有するリスクが1.4倍高く、出生前の胎児期の曝露よりも湿疹を呈する頻度が高いことが明らかにされた。英国・Guy's and St Thomas' Hospital NHS財団トラストのT. Tsakok氏らがシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。これまで先行研究の多くで、誕生後間もない時期に抗菌薬に曝露されると、湿疹を呈するリスクが高まることが示唆されていた。British Journal of Dermatology誌2013年11月号の掲載報告。

StageIV大腸がんにおける原発巣切除は生存期間を延長-大規模コホート研究より

 StageIV大腸がん患者における原発巣切除のベネフィットに関して、現在報告されているエビデンスはきわめて質が低いものである。非ランダム化研究で原発巣切除のベネフィットが報告された場合、若年者で全身状態(PS)良好な患者を選択している可能性もある。カナダのShahid Ahmed氏らは、大規模な人口ベースのコホート研究において、進行大腸がんの原発巣切除による延命効果について、これまで報告されているバイアスを排除したうえで検討した。その結果、年齢、PS、合併症、化学療法などの予後変数に関係なく、原発巣切除がStageIV大腸がん患者の生存期間を延長することが示された。Cancer誌オンライン版2013年11月12日号に掲載。

薬剤溶出ステント:ステントによる差はあるか?/Lancet

 第三世代の薬剤溶出ステントである、ゾタロリムス溶出ステントとエベロリムス溶出ステントについて検討した非劣性試験の結果、両ステントの有効性および安全性は同程度であることが明らかにされた。オランダ・Medisch Spectrum TwenteのClemens von Birgelen氏らによる無作為化単盲検多施設共同非劣性試験「DUTCH PEERS」の結果、示されたもので、著者は「いずれも優れた臨床アウトカムをもたらすものである」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年10月31日号掲載の報告より。

精神症状を有するパーキンソン病にピマバンセリンは有用/Lancet

 精神症状を有するパーキンソン病患者に対し、セロトニン5-HT2A受容体選択的拮抗薬ピマバンセリンは陽性症状を改善することが、第3相臨床試験の結果、報告された。米国・Cleveland Clinic Lou Ruvo Center for Brain HealthのJeffrey Cummings氏らが発表した。パーキンソン病患者では精神症状(幻覚や妄想を含む)を有する頻度が半数以上と高く、同患者の衰弱の要因になっているが難治性である。今回の結果を受けて著者は「治療法がほとんどない精神症状を有するパーキンソン病患者に、ピマバンセリンは有用である可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2013年11月1日号掲載の報告より。

CKDでも、RA系阻害薬にBeyond Blood Pressure Lowering効果は認められない。(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(146)より-

 これまでの多くの基礎研究の成果から、RA系阻害薬には、他のクラスの降圧薬にはないextraordinaryな効果があるとされてきた。ARBを対象にしたKyoto Heart Studyや、Jikei Heart Studyなどの日本発臨床研究は、このような基礎研究の成果によって導かれたConceptを証明する、いわばProof Of Conceptとなる研究であり、その意味で画期的であったが、データ改ざんによる不正によって論文撤回という事態を招いてしまった。