日本語でわかる最新の海外医学論文|page:866

TAVRは外科手術より死亡リスクが低い可能性がある?(コメンテーター:許 俊鋭 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(199)より-

昨年までの高リスク大動脈弁狭窄症(AS)に対するTAVI(TAVR)と外科的AVR(SAVR)の比較検討では、早期成績(30日死亡および入院死亡率)および中期成績(3ヵ月~3年死亡率)に差はないとされてきた1)~4)。また、無作為化割り付け試験において、TAVIはSAVRに比較してstrokeや血管合併症、永久的ペースメーカー装着率、中等度以上の人工弁周囲逆流発生率が高い結果1)が出ている一方、出血の合併症はSAVRに比較してTAVIでは少ない結果が報告されている1),4)。

小児ADHD、食事パターンで予防可能か

 これまで子供の行動における食事の役割は議論されてきたが、小児期の行動障害と複数の栄養因子との関連が絶えず示唆されている。韓国・国立がんセンターのHae Dong Woo氏らは、注意欠陥・多動性障害(ADHD)に関連する食事パターンを明らかにするため、症例対照研究を行った。その結果、伝統的かつ健康的な食事を摂取することで、ADHDリスクが低下する可能性があることが示唆された。Nutrients誌オンライン版2014年4月14日号の報告。

特発性頭蓋内圧亢進症、アセタゾラミド投与のエビデンス/JAMA

 軽度視力低下を有する特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)患者への、減量目的の減塩食療法+アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)治療は、減塩減量食単独療法と比較して、わずかだが視野の改善に結びついたことが示された。米国・アイオワ大学のMichael Wall氏らNORDIC Idiopathic Intracranial Hypertension研究グループが、165例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IIHは主に妊娠可能年齢の肥満女性にみられる。治療薬として一般にアセタゾラミドが用いられているが、使用の根拠を裏付ける情報は十分とは言えなかった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

急性虚血性脳卒中へのt-PA開始、全国的取り組みで有意に改善/JAMA

 急性虚血性脳卒中への組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)投与の適時開始を推進するため、米国では2010年1月から全国的な質的改善の取り組み「Get With The Guidelines-Stroke」が始められた。その成果についてカリフォルニア大学のGregg C. Fonarow氏らが調べた結果、60分未満で開始するというdoor-to-needle time(DTN時間)内での実施率は、取り組み開始直前四半期の29.6%から開始後最終四半期には53.3%まで増え、それに伴い院内死亡、頭蓋内出血の発生は低下し自宅に退院する患者の割合は増加していたことが明らかになった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

このstudyはnegative studyであり、また説明不足である(コメンテーター:野間 重孝 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(198)より-

本稿は論文評であってreviewではないが、多くの専門外の先生方にとってheart failure and preserved ejection fraction (HFpEF)という概念自体が大変にわかりにくいのではないかと考えるので、まずHFpEFとはどのような病態概念なのかを簡単に説明することから始めたい。

トラスツズマブ抵抗性進行乳がんへのエベロリムスの追加(BOLERO-3)

 トラスツズマブ抵抗性の乳がんにおいては、細胞内PI3K/Akt/mTOR経路のシグナル活性化の関与が示唆されている。本研究は、パリ第11大学腫瘍内科のFabrice Andre氏らにより、mTOR阻害薬エベロリムス(商品名:アフィニトール)の追加投与によるトラスツズマブ(商品名:ハーセプチン)感受性回復を評価することを目的に行われた。Lancet Oncology誌オンライン版 2014年4月14日号の報告。

分化型甲状腺がんに新たな治療オプション/Lancet

 進行性放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんに対するソラフェニブ(商品名:ネクサバール)治療は、無増悪生存期間を有意に改善することが明らかにされた。米国・ペンシルベニア大学アブラムソンがんセンターのMarcia S Brose氏らによる第III相の多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験「DECISION」の結果で、有害事象はソラフェニブの既知の安全性プロファイルと一致していた。放射性ヨウ素131治療抵抗性の局所進行または転移性の分化型甲状腺がんを有する患者には、現時点では効果的な治療オプションがなく予後は不良とされる。著者は、「今回の結果は、ソラフェニブが同患者への新たな治療選択肢であることを支持するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。

パルスオキシメーター+臨床的評価、先天性心疾患発見に有用/Lancet

 新生児の先天性心疾患の発見に、パルスオキシメーター+臨床的評価のスクリーニングは実質的で信頼性が高いことを、中国・復旦大学附属小児病院・Qu-ming Zhao氏らが前向き試験の結果、報告した。著者は、「この簡便で精度の高い複合的手法を、産科病院では先天性心疾患のスクリーニング法として活用すべきである」と提言している。これまでにいくつかの先駆的な試験において、クリティカルな先天性心疾患検出にパルスオキシメータースクリーニングを広く導入することに関するエビデンスは示されていた。著者は、「しかし、それらの報告は、高所得国で検討されたもので、低所得国でも同様に導入メリットがもたらされるかは不明であった」と、本検討を実施した理由を述べている。Lancet誌オンライン版2014年4月23日号掲載の報告より。

抗精神病薬誘発性持続勃起症への対処は

 持続勃起症(プリアピスム)は、性的刺激とは関係なく陰茎の勃起状態が、3時間以上続く状態であり、痛みを伴うことが多い。持続勃起症は泌尿器科的な緊急事態で重篤な合併症を引き起こす可能性がある。持続勃起症の発症の25~40%は薬物が原因で、抗うつ薬、降圧薬、抗凝固薬、交感神経α受容体遮断薬ほか精神を活性化する物質(アルコール、コカイン、大麻など)などが含まれるが、薬物関連の持続勃起症の約50%は抗精神病薬に起因するという。モロッコ・Ar-Razi大学精神科病院のJ. Doufik氏らは、抗精神病薬により誘発された持続勃起症とその対処について、症例報告を行った。Encephale誌オンライン版2014年4月4日号の掲載報告。  研究グループは、とくに非安定性の精神疾患患者において、臨床医はこのまれな副作用とその処置の困難さを認知しておくべきであるとして本症例報告を行った。

脳血管性認知症患者に非定型抗精神病薬を使用すべきか

 脳血管性認知症(VaD)患者ではBPSD(認知症の行動・心理症状)の発現により頻繁に非定型抗精神病薬が使用されているが、VaDにおける有効性や安全性に関するエビデンスは不十分である。英国・ロンドン大学のJ Sultana氏らは、VaD患者における非定型抗精神病薬と死亡リスクとの関係を検討した。International journal of geriatric psychiatry誌オンライン版2014年3月14日号の報告。

de novo B型肝炎の心配は?HBV感染既往RA患者への生物学的製剤投与

 B型肝炎ウイルス(HBV)の感染既往があり、生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)を投与している慢性関節リウマチ(RA)患者のHBV再活性化率を検討したところ、5.3%に再活性化を認めたものの、重症肝炎に至った症例はなかったことが、自治医科大学の中村 潤氏らによる研究で明らかになった。このことから、生物学的DMARDsは、HBV感染既往のあるRA患者にとって、安全に使用可能な薬剤であると考えられる。International journal of rheumatic diseases誌オンライン版2014年4月4日号の報告。