日本語でわかる最新の海外医学論文|page:865

「笑い」でうつ病診断が可能に

 「笑い(laughter)」は、うつ病および潜在的な精神疾患の発症および進展の診断ツールとして有用である可能性が、スペイン・Aragon Institute of Health ScienceのJ. Navarro氏らにより報告された。笑いは医学分野において、健康へのよい影響をもたらすことや重大疾患の予防や治療の手法としては研究されてきたが、疾患の予測指標となる可能性や診断ツールとしての可能性については検討されていなかった。Journal of Affective Disorders誌2014年5月号の掲載報告。

「歩行とバランスの乱れ」はアルツハイマーのサインかも

 バランスと歩行の障害は、アルツハイマー型認知症(AD)のごく初期のサインである可能性が、米国・イサカ・カレッジのLaura Z. Gras氏らによる検討の結果、示された。結果を踏まえて著者は、「これらの問題の認識が以降の理学療法介入を早め、バランスと歩行の障害のさらなる進行を遅らせることが可能になるだろう」と述べている。先行研究で、AD患者では歩行とバランスに障害が出ることが示されている。しかし、その障害を認知症の程度(軽度~重度)の区別なく一律に捉えていた。Journal of Geriatric Physical Therapy誌オンライン版2014年4月21日号の掲載報告。

出生前後のプロバイオティクス投与がアトピーの一次予防の可能性

 一般集団およびアレルギーリスクがある集団のいずれにおいても、生誕前後にプロバイオティクスを与えることが、アトピー性皮膚炎(AD)の発症予防に役立つ可能性が、ルーマニアのキャロル・デイビラ・ユニバーシティ・オブ・メディスン・アンド・ファーマシーのM. Panduru氏らにより報告された。

膵炎リスク、インクレチン関連薬vs. SU薬/BMJ

 2型糖尿病患者における急性膵炎リスクについて、インクレチン関連薬使用者はSU薬使用者と比較して、同リスク増大と関連していなかったことが、カナダ・ジューイッシュ総合病院のJean-Luc Faillie氏らによるコホート研究の結果、報告された。2型糖尿病患者における急性膵炎の発症とインクレチン関連薬の使用については、相反する報告が、前臨床の動物試験、臨床試験、有害イベントデータベース、そして観察試験において報告されている。研究グループは、同関連を明らかにするため観察試験を行った。BMJ誌オンライン版2014年4月24日号掲載の報告より。

英国で明らかになった外国人医師登録制度の改善点/BMJ

 英国・ダラム大学のPaul A Tiffin氏らは、PLAB(Professional and Linguistic Assessment Board)試験に合格した外国人医師(英国以外の医学校卒業生)と、ARCP(Annual Review of Competence Progression)による評価を受けた英国の医学卒業生を比較する検討を行った。PLABは、外国人医師が英国で医師登録(General Medical Council:GMCに登録)をして働くための第一関門となる試験で、言語力と臨床能力がチェックされる。ARCPは、2007年8月1日に導入された臨床研修制度の評価プログラム(英国では全医師が定期的に評価を受けることになっている)で、PLAB合格者は、臨床1年目のARCP評価をクリアしているとみなされる仕組みとなっていた。BMJ誌オンライン版2014年4月17日号掲載の報告より。

座りきりの生活は心にどのような影響を及ぼすか

 座りきりの生活(TV視聴、インターネット利用、読書)すべてが必ずしも、精神衛生に悪影響をもたらすわけではないことが、英国・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンのMark Hamer氏らによる調査の結果、報告された。また、TV視聴時間が長いと認知機能低下との関連がみられたが、ネット利用者では認知機能が高いこととの関連がみられたという。Medicine & Science in Sports & Exercise誌2014年4月号の掲載報告。

肝硬変なし未治療のC型肝炎に対するレディパスビル+ソホスブビル/NEJM

 肝硬変が認められない未治療のC型肝炎ウイルス(HCV)感染患者に対するレディパスビル+ソホスブビル治療について、8週間投与が、同12週間投与やリバビリン併用投与と比べ、有効性において非劣性であることが示された。米国・バージニア・メイソン・メディカル・センターのKris V. Kowdley氏らが行った治験(第III相)の結果、明らかにした。EJM誌オンライン版2014年4月11日号掲載の報告より。

脳卒中対応救急車の導入による効果/JAMA

 CT機器や遠隔医療接続装置などを備えた脳卒中対応救急車、通信指令係の段階でのスクリーニングなどの専門的システムの構築により、急性虚血性脳卒中に対する通報から血栓溶解療法開始までの所要時間は、有害イベントの増大なく15~25分短縮したことが報告された。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のMartin Ebinger氏らが、6,000例超について行った試験で明らかにした。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

TAVRは外科手術より死亡リスクが低い可能性がある?(コメンテーター:許 俊鋭 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(199)より-

昨年までの高リスク大動脈弁狭窄症(AS)に対するTAVI(TAVR)と外科的AVR(SAVR)の比較検討では、早期成績(30日死亡および入院死亡率)および中期成績(3ヵ月~3年死亡率)に差はないとされてきた1)~4)。また、無作為化割り付け試験において、TAVIはSAVRに比較してstrokeや血管合併症、永久的ペースメーカー装着率、中等度以上の人工弁周囲逆流発生率が高い結果1)が出ている一方、出血の合併症はSAVRに比較してTAVIでは少ない結果が報告されている1),4)。

小児ADHD、食事パターンで予防可能か

 これまで子供の行動における食事の役割は議論されてきたが、小児期の行動障害と複数の栄養因子との関連が絶えず示唆されている。韓国・国立がんセンターのHae Dong Woo氏らは、注意欠陥・多動性障害(ADHD)に関連する食事パターンを明らかにするため、症例対照研究を行った。その結果、伝統的かつ健康的な食事を摂取することで、ADHDリスクが低下する可能性があることが示唆された。Nutrients誌オンライン版2014年4月14日号の報告。

特発性頭蓋内圧亢進症、アセタゾラミド投与のエビデンス/JAMA

 軽度視力低下を有する特発性頭蓋内圧亢進症(IIH)患者への、減量目的の減塩食療法+アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス)治療は、減塩減量食単独療法と比較して、わずかだが視野の改善に結びついたことが示された。米国・アイオワ大学のMichael Wall氏らNORDIC Idiopathic Intracranial Hypertension研究グループが、165例を対象とした多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。IIHは主に妊娠可能年齢の肥満女性にみられる。治療薬として一般にアセタゾラミドが用いられているが、使用の根拠を裏付ける情報は十分とは言えなかった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

急性虚血性脳卒中へのt-PA開始、全国的取り組みで有意に改善/JAMA

 急性虚血性脳卒中への組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)投与の適時開始を推進するため、米国では2010年1月から全国的な質的改善の取り組み「Get With The Guidelines-Stroke」が始められた。その成果についてカリフォルニア大学のGregg C. Fonarow氏らが調べた結果、60分未満で開始するというdoor-to-needle time(DTN時間)内での実施率は、取り組み開始直前四半期の29.6%から開始後最終四半期には53.3%まで増え、それに伴い院内死亡、頭蓋内出血の発生は低下し自宅に退院する患者の割合は増加していたことが明らかになった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。