日本語でわかる最新の海外医学論文|page:862

潰瘍性大腸炎の新たな抗体製剤、臨床的寛解率達成/Lancet

 抗α4β7/αEβ7インテグリン抗体エトロリズマブ(etrolizumab)は、潰瘍性大腸炎の治療において良好な臨床的寛解率をもたらし、忍容性も優れることが、ベルギー・ルーベン大学のSeverine Vermeire氏らの検討で明らかとなった。潰瘍性大腸炎は腸管内の微生物抗原に対する異常な免疫応答で特徴づけられる慢性炎症性疾患である。α4β7インテグリンとそのリガンドであるMAdCAM-1の相互作用を阻害することで、免疫細胞の腸への移動が阻止され、潰瘍性大腸炎やクローン病の治療法として有効であることが示されている。本薬は、α4β7およびαEβ7インテグリンのヘテロダイマーのβ7サブユニットに選択的に結合するヒト化モノクローナル抗体である。Lancet誌オンライン版2014年5月9日号掲載の報告。

高齢心不全患者に対する植込み型除細動器、バイアスの影響で過少適用に/BMJ

 高齢心不全患者に対する植込み型除細動器(ICD)の臨床効果の評価では、ベースライン時に評価が行われない健康状態の因子が影響を及ぼし、その適用が過少となっている実情が、アメリカ・ハーバード大学医学部のSoko Setoguchi氏らの調査で示された。ICDの臨床試験では、併発疾患を有する高齢患者は、病態が過度に不良と評価される傾向にある。また、観察試験では、測定が行われない背景因子が比較効果(comparative effectiveness)の評価に影響を及ぼしており、薬剤疫学におけるhealthy user biasや、職業性疾患疫学におけるhealthy worker effectに類似のバイアス(healthy candidate bias)を考慮する必要があるという。BMJ誌オンライン版2014年5月8日号掲載の報告より。

2種類のTAVIデバイス(バルーン拡張型と自己拡張型)、優れているのはどちらか?(コメンテーター:香坂 俊 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(205)より-

2013年10月、本邦でも重症大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁置換術(TAVI)が保険償還された。2014年5月現在、本邦で使用できるのは、バルーン拡張弁(エドワーズ社のSapien XT)のみであるが、自己拡張弁(メドトロニック社のCoreValve)に関しても治験が終了しており、近いうちに日常診療でも使用できるようになる見込みとなっている。

認知症への新規抗精神病薬、有害事象のモニタリングが不十分

 米国・アーカンソー大学のDinesh Mittal氏らは、新規抗精神病薬の服用を開始した高齢者認知症における代謝系有害事象を検討するため、米国退役軍人省のデータを用いて後ろ向きコホート解析を行った。その結果、精神障害のない認知症患者、認知症のない精神障害患者ともに、代謝系有害事象について十分なモニタリングが行われていない状況が明らかになったことを報告した。Psychiatric Services誌オンライン版2013年5月15日号の掲載報告。

トラスツズマブ・アントラサイクリン併用は乳がん患者の心機能に影響を及ぼすか 

 HER2陽性乳がんにおけるトラスツズマブとアントラサイクリンレジメン併用の有効性は明らかになっている。一方、トラスツズマブ、アントラサイクリンは双方とも心毒性を有するが、その併用による心毒性を抑える方法については依然明らかになっていない。姫路赤十字病院乳腺外科の渡辺 直樹氏は、トラスツズマブとアントラサイクリン併用による心臓への忍容性について検討した。Breast Care (Basel)誌 2014年2月9日号の掲載報告。

高血圧患者の妊娠における周産期リスク解析から学ぶこと(コメンテーター:三浦 伸一郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(204)より-

高血圧患者が妊娠した場合(慢性高血圧の妊婦)の周産期リスクには、妊娠高血圧症候群ガイドライン2009にも掲載されているように加重型妊娠高血圧腎症、常位胎盤早期剥離、small for gestational age、周産期乳児死亡率・早産率の増加が挙げられている。

双極性障害の症状把握へ、初の質問票が登場

 米国・ザッカーヒルサイド病院のChristoph U Correll氏らは、双極性障害(BD)の症状に対する初めての特異的質問票であるBipolar Prodrome Symptom Interview and Scale-Prospective (BPSS-P)の有用度を検討した。その結果、内部整合性、評価者間信頼性、診断群間の識別能などにおいて「良好~優」であることを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2014年5月8日号の掲載報告。

中~高強度スタチンへのPCSK9阻害薬上乗せ効果を確認/JAMA

 米国・アイオワ大学のJennifer G. Robinson氏らによる第III相無作為化試験LAPLACE-2の結果、中~高強度のスタチン治療を受けている高コレステロール血症患者に対し、PCSK9阻害薬エボロクマブ上乗せ効果は、プラセボおよびエゼチミブ(商品名:ゼチーア)追加よりも、LDL-C値を有意に低下したことが報告された。JAMA誌2014年5月14日号掲載の報告より。

帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ

 帯状疱疹リスクは、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、COPD、喘息などの疾患を有している人では増大し、概して年齢が若い人でリスクが大きいことが明らかにされた。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のHarriet J Forbes氏らが、2000~2011年の同国で帯状疱疹と診断された14万4,959例を対象とした症例対照研究を行い明らかにした。英国では2013年より新たに、高齢者のみを対象とした帯状疱疹ワクチンの接種キャンペーンが始められたが、これまで帯状疱疹リスクを定量化した大規模な検討は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告より。

認知症発症リスクと心臓疾患との関係

 複数の心血管リスク因子が、認知症やアルツハイマー型認知症(AD)のリスクを増大することが知られるが、心臓疾患が及ぼす影響については不明なままであった。東フィンランド大学のMinna Rusanen氏らによる住民ベースのコホート研究の結果、高齢期の心臓疾患は、その後の認知症やADリスクを増大することが明らかにされた。結果を受けて著者は、「心臓疾患の予防と効果的な治療は、脳の健康や認知機能維持の観点からも重要であると考えられる」とまとめている。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2014年5月13日号の掲載報告。