日本語でわかる最新の海外医学論文|page:828

膝軟骨欠損への自家骨移植、長期予後は?

 軟骨欠損に対しては異なる治療が提案されている。イタリア・Rizzoli Orthopaedic InstituteのGiuseppe Filardoらは、その中でも数少ない自家骨軟骨移植術(小~中程度の軟骨欠損例に適用される1個の自己骨由来の骨軟骨プラグを移植する術)について長期予後を検討した。1個の骨軟骨プラグを移植した患者を16年以上追跡した結果、若年者では治療選択肢として適していることを確認した。Orthopedics誌2014年9月号の掲載報告。

牛乳1日3杯以上で全死亡リスクが2倍/BMJ

 男女ともに牛乳摂取量が多い人ほど死亡率、骨折率が高く、酸化ストレスや炎症性バイオマーカーの値が高いことが、スウェーデン・ウプサラ大学のKarl Michaelsson氏らによる全国追跡コホート研究の結果、明らかにされた。骨粗鬆症予防のために牛乳を飲むことが推奨されているが、これまでの検討では、牛乳を多く飲むことの骨折・死亡予防への影響について相反する結果が報告されていた。なお今回の結果についても著者は、観察研究デザインのため残余交絡因子や逆作用現象などを有している可能性があり、解釈は慎重にすることが推奨されるとしている。BMJ誌オンライン版2014年10月28日号掲載の報告より。

臍帯血移植1単位vs. 2単位/NEJM

 小児・青少年の造血器腫瘍患者に対する臍帯血移植について、1単位vs. 2単位移植後の生存率は同等であったことが、米国・ミネソタ大学のJohn E. Wagner氏らによる第III相の非盲検無作為化試験の結果、示された。また1単位移植群のほうが、血小板回復が良好で、移植片対宿主病(GVHD)のリスクも低かったという。本検討は、移植時の造血細胞数が1単位よりも2単位のほうが多くなることから転帰が改善するとの仮説に基づき行われたものであった。NEJM誌2014年10月30日号掲載の報告。

強迫症状に注意が必要な第二世代抗精神病薬は

 これまで、第二世代抗精神病薬(SGA)誘発の強迫症状(obsessive-compulsive symptoms:OCS)に関するレビューの大半は、記述的な症例報告に焦点が当てられ、実験的な所見への注目が限定的であった。カナダ・Center for Addiction and Mental Health(CAMH)のTrehani M. Fonseka氏らは、統合失調症患者の強迫症状の新規発症および増悪に関係している第二世代抗精神病薬について、実験に基づく文献のレビューを行った。その結果、とくにクロザピンまたはオランザピンを用いた治療中は強迫症状についてルーチンのモニタリングが必要である所見が得られたことを報告した。Current Psychiatry Reports誌2014年11月号の掲載報告。

日本男性の勃起硬度はアレと関連していた

 日本人男性7,710人を対象としたWEBベースの断面全国調査において、1日2箱以上の喫煙、メタボリックシンドローム、高血圧、糖尿病の既往は、勃起の硬さスケール(EHS: Erection Hardness Score)※の低さと有意な関連を認めることが、東邦大学の木村 将貴氏らによる研究で明らかになった。EHSは、加齢、性行為、性的自信、勃起不全(ED)関連のリスク因子などさまざまな要素と相関が認められた。また、EHSは、EDのモニタリングや治療において有益であり、男性とそのパートナーの性生活の質を改善するための貴重なツールとなりうると考えられる。Sexual medicine誌2013年12月号の報告。

脳動脈瘤、コイルvs. クリッピング、10年転帰/Lancet

 脳動脈瘤破裂クモ膜下出血に対する血管内コイル塞栓術vs. 開頭クリッピング手術について検討した、国際共同研究ISATのうち英国コホート1,644例を長期18年追跡した結果が、オックスフォード大学のAndrew J Molyneux氏らにより報告された。要介護増大のみの比較では両群に違いはみられなかったが、死亡または要介護率でみると、クリッピング群がコイル群より有意に高率だったという。また10年時点の、再出血率はコイル群のほうが高いと思われたが、そのリスクは小さく、無障害生存率はコイル群のほうが有意に高率だったという。Lancet誌オンライン版2014年10月28日号掲載の報告。

遅発型統合失調症、脳の変化に違い:産業医大

 統合失調症は、早期発症例と遅発例とでは臨床的特徴に違いがあることが明らかとなっている。しかし、これらの相違の根底にある神経メカニズムに関してはほとんどわかっていない。産業医科大学の江頭 一輝氏らは、早期発症例と遅発例の統合失調症患者における形態学的異常を比較した。その結果、今回得られた知見は統合失調症の病態生理学的な理解を改善し、早期発症例と遅発例の神経生物学的な基盤の相違や共通点を明らかにするものである、としている。Neuropsychobiology誌オンライン版2014年10月24日号の報告。

医薬品企業、医療機器企業が共同で糖尿病啓発

 2014年11月6日、田辺三菱製薬株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役社長:三津家 正之)とジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニー(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:日色 保)は、共同で日本の糖尿病患者の良好な血糖コントロールを支援する啓発活動を推進すると発表した。

子宮頸部上皮内腫瘍の切除、流産リスク増大/BMJ

 英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果、子宮頸部上皮内腫瘍における頸部切除が、妊孕性に悪影響を与えるとのエビデンスは示されなかったが、妊娠第2期の流産リスクの有意な増加と関係していたことが明らかにされた。著者は、さらなる検討を行い、この流産リスク増大のメカニズムを調べること、また妊孕性および妊娠早期のアウトカムへの治療の影響について、切除サイズや用いる治療法の層別化を行うべきであると提言した。BMJ誌オンライン版2014年10月28日号掲載の報告より。

BIOSCIENCE試験:成熟期に入った金属製薬物溶出性ステント、今後の注目点は超長期的な成績か(解説:中川 義久 氏)-275

BIOSCIENCE試験より、スイス、バイオトロニック社の「Orsiro」ステントを使用したPCIは、Xience Prime/Xpeditionステントと比較し、12ヵ月の安全性・有効性複合アウトカムは非劣性であることが、スイスのBern大学のPilgrim氏により、ESC Congress 2014のHot Lineセッションで発表されLancet誌に内容が掲載された。

抗炎症薬の抗うつ効果を検証

 これまでいくつかの試験で、抗炎症薬の抗うつ効果が報告されている。しかしながら、結果には一貫性がなく、使用を禁忌とする有害事象がある可能性もあった。デンマーク・オーフス大学のOle Kohler氏らは、抗炎症薬による治療の抗うつ効果と有害事象の系統的レビューを行った。その結果、抗炎症薬による治療(とくに選択的COX-2阻害薬セレコキシブ)は、有害事象を増大することなく抑うつ症状を低減することが示された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年10月15日号の掲載報告。

アトピー患者へのオンラインケア、対面治療と効果同等

 アトピー性皮膚炎患者への新たな皮膚科診療モデルとして、インターネット、パソコン、デジタルカメラを用いたダイレクトアクセス・オンラインケアの臨床アウトカムは、対面治療と同程度の改善を示したことが、米国・コロラド大学のApril W. Armstrong氏らによる無作為化試験の結果、示された。

LDL-C上昇と大動脈弁疾患の遺伝学的関連/JAMA

 LDLコレステロール(LDL-C)上昇の遺伝学的素因は、大動脈弁石灰化や大動脈弁狭窄症の発症と関連することが、スウェーデン・ルンド大学のJ Gustav Smith氏らCHARGEコンソーシアムの研究グループの検討で明らかとなった。この知見は、LDL-Cと大動脈弁疾患の因果関係を示すエビデンスだという。これまでに血漿LDL-C値と大動脈弁狭窄症の関連が観察研究で示されているが、弁疾患患者に対する脂質低下療法の無作為化試験では、疾患進行の抑制効果は確認されていない。JAMA誌2014年11月5日号(オンライン版2014年10月26日号)掲載の報告。

エボラ、初期データ解析からの知見/NEJM

 2014年5月にシエラレオネで起きたエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクの初期データから、潜伏期間や死亡率は同時期の他の地域や過去の事例と類似しており、出血はまれで発熱や下痢などの消化管症状が多いとの特徴があることが、同国ケネマ国立病院とWHOの研究チームの調査で明らかとなった。10月25日現在、EVD例はギニア、シエラレオネ、リベリア、セネガル、ナイジェリア、マリの6ヵ国で1万100例を超えたが、収集された患者データは限られたものだという。NEJM誌オンライン版2014年10月29日号掲載の報告。

転移性前立腺がんに対する新規ホルモン療法の威力は?(解説:勝俣 範之 氏)-274

転移性前立腺がんに対する第一選択は、去勢療法(男性ホルモンであるアンドロゲンをブロックする方法:除睾術やホルモン療法などが行われる)である。転移性がんでは、当初は去勢療法が奏効するが、ほとんどが治療抵抗性となる。治療抵抗性となった場合には、これまでは化学療法しか選択肢がなかった。  エンザルタミドは、アンドロゲン受容体を阻害する作用を持つ新規ホルモン療法の1つと考えてよい。化学療法のような強い副作用がないため、患者さんにとっては福音であるといえる。

コーヒーは悪性黒色腫リスクを減らす?

 これまでの研究報告から、コーヒーや紅茶の成分には抗腫瘍効果があることが示されている。また、疫学研究の中には、コーヒーおよび紅茶を摂取する女性は悪性黒色腫(メラノーマ)リスクが低いと報じているものもある。マサチューセッツ大学アマースト校のHaotian Wu氏らは、WHI(Women's Health Initiative)観察研究コホート(フォローアップ中央値 7.7年)に登録されている6万6,484人の閉経後女性を対象に、コーヒー・紅茶と悪性黒色腫リスクとの関連をプロスペクティブに検討した。その結果、長期的にコーヒーを飲む人の間で悪性黒色腫リスクが低いという観察結果は得られたが、著者らは「摂取の量やタイプによる一貫性が欠如していることから、本結果を過剰解釈することは適切ではない」との見解を示している。European journal of cancer prevention誌オンライン版2014年10月16日号に掲載報告。