日本語でわかる最新の海外医学論文|page:831

今すぐやめられない喫煙者にもバレニクリン有効/JAMA

 1ヵ月以内にすぐにとはいかないが、3ヵ月以内に減煙・禁煙をしたいという意思のある喫煙者に対し、バレニクリン(商品名:チャンピックス)を24週間投与することで、長期の禁煙効果があることが示された。禁煙率は治療終了時、および1年後も介入群で有意に高率であった。米国・メイヨークリニックのJon O. Ebbert氏らが、1,510例の喫煙者を対象に行った多施設共同無作為化プラセボ対照試験の結果、報告した。JAMA誌2015年2月17日号で発表した。

腰椎穿刺によるクモ膜下出血の除外基準/BMJ

 急性非外傷性頭痛の患者について腰椎穿刺を実施し、その結果、赤血球数が2,000×106/L未満で脳脊髄液の黄変化が認められない場合には、動脈瘤性クモ膜下出血を除外できることが明らかにされた。カナダ・オタワ大学のJeffrey J Perry氏らが、同国内12ヵ所の救急部門を訪れた急性非外傷性頭痛の患者1,739例について行った、前向きコホート試験の結果、明らかにした。BMJ誌オンライン版2015年2月18日号掲載の報告より。

成人の季節性インフルエンザに対するオセルタミビルの効果:ランダム化比較試験のメタ解析(解説:吉田 敦 氏)-319

 ノイラミニダーゼ阻害薬であるオセルタミビルは、現在世界で最も使用されている抗インフルエンザ薬であり、パンデミックに対する備えとしてもその位置付けは大きい。その効果についてはこれまで多くの臨床試験と経験が蓄積されてきたが、今回あらためてランダム化比較試験のメタ解析が行われ、成人例におけるオセルタミビルの効果と副作用が検証された。Lancet誌オンライン版2015年1月30日号の発表。

統合失調症のカフェイン依存、喫煙との関連に注意

 スペイン・Gallegan Health SystemのManuel Arrojo-Romero氏らは、長期間にわたる精神科病院でのカフェイン消費について調べた。結果、統合失調症とカフェイン使用との明らかな関連性は、その大半を喫煙で説明しうることが明らかになったと報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2015年2月20日号の掲載報告。

フォンダパリヌクス、NSTEMIの日常診療に有効/JAMA

 フォンダパリヌクス(商品名:アリクストラ)は、非ST上昇心筋梗塞(NSTEMI)の日常診療において、低分子量ヘパリン(LMWH)に比べ院内および180日後の大出血イベントや死亡の抑制効果が優れることが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のKarolina Szummer氏らの検討で示された。フォンダパリヌクスは第Xa因子を選択的に阻害する抗凝固薬。同国では、欧州心臓病学会(ESC)と保健福祉庁が第1選択薬として本薬を推奨して以降、NSTEMIの日常診療においてLMWHからの転換が急速に進んだが、臨床試験以外の非選択的な患者集団における評価は行われていなかった。JAMA誌2015年2月17日号掲載の報告。

「朝食多め・夕食軽く」が糖尿病患者に有益

 イスラエル・テルアビブ大学のDaniela Jakubowics氏らは、2型糖尿病患者において、朝食が高エネルギーで夕食は低エネルギーの食事(B食)が、夕食が高エネルギーで朝食は低エネルギーの食事(D食)と比べ、インクレチンとインスリンの増加によって食後高血糖を抑えるかどうかを、オープンラベル無作為化クロスオーバー試験により検討した。その結果、総エネルギーが同じであっても朝食で高エネルギーを摂取するほうが、1日の総食後高血糖が有意に低下することが認められた。著者らは「このような食事の調節が、最適な代謝コントロール達成において治療上有効であると思われ、2型糖尿病における心血管などの合併症を予防する可能性がある」とまとめている。Diabetologia誌オンライン版2015年2月24日号に掲載。

抗精神病薬の切り替えエビデンス、どう評価すべきか

 統合失調症や双極性障害に対する抗精神病薬治療では、効果不十分や持続的な副作用が問題となることが少なくない。そのため、忍容性を改善し安全な長期治療を行う目的で、副作用プロファイルが異なる他の薬剤への切り替えが推奨されている。非定型抗精神病薬のアリピプラゾールは、統合失調症および双極性障害に対する有効性が証明されており、他の非定型抗精神病薬とは異なる薬理学的ならびに副作用プロファイルを持つ。そこで、イタリア・シエナ大学のAndrea Fagiolini氏らイタリア精神科医委員会は、アリピプラゾールへの切り替えに関する現在の戦略について討議し、専門家の意見をまとめた。Expert Opinion on Pharmacotherapy誌オンライン版2015年2月12日号の掲載報告。

ロフルミラストは重度増悪リスクが高いCOPDに有効/Lancet

 ロフルミラスト(roflumilast、 国内未承認)は、吸入ステロイド薬+長時間作用型β2遮断薬にチオトロピウムを併用しても高頻度の重度増悪発症リスクを有する重度慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、増悪を抑制し入院リスクを低減することが、米国・ワイルコーネル大学のFernando J Martinez氏らが行ったREACT試験で示された。ロフルミラストは、抗炎症作用を有する経口ホスホジエステラーゼ-4(PDE-4)阻害薬で、とくに重度~きわめて重度のCOPD、慢性気管支炎の症状、増悪のリスクを有する患者において、中等度~重度の増悪や肺機能の有意な改善効果が示されているが、標準治療を施行しても増悪のリスクが高い患者に関する検討は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2015年2月12日号掲載の報告。

画像診断から統合失調症の理解を深める:高知大

 海馬のサブフィールドを特定する画像診断戦略は、統合失調症の症状と構造的異常を結び付けたり、疾患初期の進行について理解を深めるのに有益な情報を提供しうることが、明らかにされた。統合失調症における海馬容量の低下は、再現性に優れる知見である。また、新たな画像診断技術の開発により、海馬サブフィールド容量の描出が可能となり、被験者の大半が慢性期統合失調症患者であった試験において、疾患感受性や臨床的特性との関連がサブフィールド間で異なることが示されていた。そこで高知大学の河野 充彦氏らは、初回エピソード、亜慢性期および慢性期の統合失調症患者を対象に、多様な海馬サブフィールドの評価を画像診断戦略で行う断面および追跡研究を行った。PLos One誌2015年2月6日号の掲載報告。

セリアック病とグルテンフリー食実践者の関連に人種差?

 米国・メイヨークリニックのRok Seon Choung氏らは、米国・国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いた横断研究を行い、セリアック病の有病率や人種差といった特色などを調べた。その結果、1988年から2012年の間で同罹患患者は増加しており、白人でより顕著であることを明らかにした。また、グルテンフリー食を実践し続けている人の多くは黒人で、セリアック病と診断されてはいないことも明らかにした。American Journal of Gastroenterology誌オンライン版2015年2月10日の掲載報告。

学会発表後になぜ論文化しない?

 米国ジョンズ・ホプキンス大学公衆衛生大学院のRoberta W. Scherer氏らは、学会での発表内容を論文として公表しない理由について、学会抄録の著者に問い合わせて調査した報告の系統的レビューを行った。その結果、医学専門分野において論文化しない主な理由は、ジャーナルよりも著者に関連する因子にあることが示唆された。Journal of clinical epidemiology誌オンライン版2015年2月12日号に掲載。

高CRPの重症市中肺炎、ステロイドで治療失敗減/JAMA

 重症市中感染性肺炎で高度炎症反応を示す患者に対し、メチルプレドニゾロンを5日投与することで、治療失敗リスクは18ポイントほど低下することが明らかにされた。スペインのバルセロナ・ホスピタル・クリニックのAntoni Torres氏らが多施設共同プラセボ対照二重盲検無作為化試験の結果、報告した。重症市中肺炎患者では、治療失敗と高度炎症反応とが関係しており、予後が不良となることが知られていた。こうした患者について、コルチコステロイドは炎症サイトカイン放出を調整するが、その治療の有益性については議論の的となっていた。JAMA誌2015年2月17日号掲載の報告より。

マンモ受診、過剰診断率を伝えると受診者減/Lancet

 乳がんスクリーニング(マンモグラフィ)の受診について、同検査で過剰診断の可能性があることをあらかじめ伝えておくと、伝えなかった女性と比較して、インフォームド・チョイスをする女性が有意に増えることが、オーストラリア・シドニー大学のJolyn Hersch氏らによる無作為化試験の結果、明らかにされた。また、知識を与えることにより、乳がんスクリーニングを受ける女性は減少する可能性があることも示された。マンモグラフィは、乳がんによる死亡を減らすが、過剰診断や過剰治療に結び付いている、取るに足らない疾患も検出する可能性があり、そのことを大半の女性が知識として有していない。Lancet誌オンライン版2015年2月17日号掲載の報告より。

ワーファリン治療中の頭蓋内血腫増大抑制は、早期のINRコントロールに加えて血圧管理が重要(解説:浦 信行 氏)-316

 Joji B. Kuramatsu氏らの研究グループは、ドイツの3次救急施設での多施設共同後ろ向き研究で、ワーファリン使用例での頭蓋内血腫増大抑制には、搬入後4時間以内のINRの1.3未満と収縮期血圧160 mmHg未満での管理が有効であると報告した。

アリピプラゾール持続性注射剤の評価は:東京女子医大

 東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、アリピプラゾール月1回投与持続性注射剤(AOM)の有効性および安全性を評価するため、アジア人統合失調症患者を対象にアリピプラゾール経口製剤との非劣性を検証する多施設二重盲検試験を行った。Schizophrenia research誌2015年2月号(オンライン版2014年12月31日号)の掲載報告。