日本語でわかる最新の海外医学論文|page:679

アトピー性皮膚炎での入院患者は健康な人より短命?

 アトピー性皮膚炎と乾癬はいずれも慢性炎症性皮膚疾患で、乾癬では死亡リスクが高まることが知られている。アトピー性皮膚炎については死亡率に関する研究がほとんどなかったが、デンマーク・コペンハーゲン大学のAlexander Egeberg氏らは、デンマークの全国登録を用いて調査を行い、アトピー性皮膚炎による入院後の死亡率を調べた。

1型糖尿病のHbA1c改善に持続血糖測定が有用/JAMA

 頻回インスリン注射(MDI)で血糖コントロールが不良な1型糖尿病患者では、持続血糖測定(CGM)を用いた治療は通常治療よりも6ヵ月後のヘモグロビンA1c(HbA1c)の抑制効果が良好であることが、米国・Jaeb Center for Health ResearchのRoy W Beck氏らが実施したDIAMOND試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年1月24・31日号に掲載された。米国の1型糖尿病患者について、米国糖尿病学会(ADA)のHbA1cの目標値(18歳未満:7.5%[58mmol/mol]、18歳以上:7.0%[53mmol/mol])の達成率は約30%にすぎず、糖尿病管理の改善が求められている。CGMは、5分ごとにグルコースを測定し、低血糖および高血糖の警告機能を備え、グルコースの傾向を示す情報を提供するため、1日に数回の血糖値の測定よりも有用な糖尿病管理情報をもたらす可能性があるという。

非喫煙者では飲酒量と肺がんリスクが逆相関

 飲酒量と肺がんリスクとの関連は、喫煙による交絡の可能性があり研究の解釈を複雑にしている。カナダのルーネンフェルト・タネンバウム研究所のGordon Fehringer氏らは、プールされた大規模なサンプルで、生涯非喫煙者のみの解析によって喫煙による潜在的な交絡を最小限に抑え、飲酒量と肺がんリスクとの関連を調査したところ、とくに飲酒量が低~中等度の人では、飲酒量と肺がんに負の相関を認めた。また、この関連はワインと蒸留酒において示され、ビールでは認められなかったという。International journal of cancer誌オンライン版2017年1月24日号に掲載。

ブルーリボンキャラバン ~もっと知ってほしい大腸がんのこと2017 in東京~【ご案内】

 東京医科歯科大学医学部附属病院 腫瘍化学療法外科、同院 大腸・肛門外科、同院 腫瘍センター、同大学院 応用腫瘍学講座は、認定NPO法人キャンサーネットジャパンと共催で、2017年3月5日(日)に大腸がん啓発イベント「ブルーリボンキャラバン」を開催する。

1型糖尿病の血糖コントロールに持続血糖測定が有効/JAMA

 頻回インスリン注射(MDI)で血糖コントロールが不良な1型糖尿病患者において、持続血糖測定(CGM)を用いた治療は従来の治療に比べ、良好なヘモグロビンA1c(HbA1c)の改善をもたらし、患者の満足度も高いことが、スウェーデン・ウッデバラ病院のMarcus Lind氏らが行ったGOLD試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年1月24・31日号に掲載された。MDIおよび持続皮下インスリン注入療法(CSII)による強化インスリン療法は、1型糖尿病の合併症を予防、抑制することが報告されている。一方、CGMシステムは、皮下に留置したセンサーで測定したデータを送信機で携帯モニタに送り、患者はグルコースの値を連続的に知ることができるため、インスリン用量の最適化に資するという。

ALK陽性NSCLCの1次治療、セリチニブでPFS延長/Lancet

 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子転座を有する非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療において、セリチニブ(商品名:ジカディア)は従来の化学療法に比べ予後を改善することが、フランス・パリ第11大学のJean-Charles Soria氏らが行ったASCEND-4試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年1月23日号に掲載された。ALK遺伝子転座は、NSCLC患者の3~7%にみられるドライバー遺伝子変異で、比較的若年、非喫煙/軽度喫煙歴、肺腺がんの患者に多い。セリチニブは、次世代の選択的経口ALK阻害薬で、血液脳関門を通過するため脳転移への効果も期待できるという。

認知症ドライバーの運転停止を促すためには

 認知症ドライバーの数は、今後十数年にわたって増加すると予測される。認知症は事故の高リスクと関連しているため、疾患の進行に伴い運転停止が必然となるが、認知症を抱える多くの人々は運転を停止することに抵抗を感じる。カナダ・サニーブルック研究所のNicolette Baines氏らは、認知症ドライバーの運転停止の普及率と発生率に性差があるかどうか、認知症の有無による性差パターンを比較するため、メタ解析を行った。The journals of gerontology誌オンライン版2016年12月26日号の報告。

エボロクマブ FOURIER試験のエンドポイント達成か

 アムジェン社(THOUSAND OAKS, カリフォルニア)は2017年2月2日、アテローム硬化性心血管疾患(ASCVD)に対するエボロクマブ(商品名:レパーサ)のイベントリスク抑制を評価するFOURIER(Further Cardiovascular OUtcomes Research with PCSK9 Inhibition in Subjects with Elevated Risk)試験において、複合主要評価項目(心血管死、非致死心筋梗塞、非致死的脳卒中、不安定狭心症または冠動脈再建術の入院)および副次的評価項目(心血管死、非致死心筋梗塞または非致死的脳卒中)を達成し、新たな安全性の問題も認められなかった、と発表した。

OAの痛みは「炎症性の痛み」+「痛みのブレーキ機能の減弱」

 2017年1月26日(木)、塩野義製薬株式会社/日本イーライリリー株式会社主催のプレスセミナー「変形性関節症に伴う痛みの治療戦略―今までとこれから―」が開催された。まず、島根大学医学部整形外科学教室 教授の内尾 祐司氏より、変形性関節症(OA)に伴う痛みが患者の日常生活に与える実態について、医師と患者を対象に実施された全国意識調査の結果を中心に語られた。続いて、日本イーライリリー株式会社 臨床開発医師 榎本 宏之氏より、デュロキセチン(商品名:サインバルタ)の「変形性関節症に伴う疼痛」への適応症追加について語られた。

血管止血デバイスの安全性評価に有用な監視システム/NEJM

 DELTA(Data Extraction and Longitudinal Trend Analysis)と呼ばれる前向き臨床登録データサーベイランスシステムを用いた検証により、血管止血デバイスの1つであるMynxデバイスが、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の有害事象増加と関連しており、最初の1年以内で他の血管止血デバイスと有意差がみられることが明らかとなった。米国・Lahey Hospital and Medical CenterのFrederic S. Resnic氏らが、PCI後の有害事象増加が懸念されているデバイスの安全性モニタリングについて、DELTAシステムを用いた戦略が実現可能かを評価したCathPCI DELTA試験の結果、報告した。これまで、医療機器の市販後の安全性を保証する過程は、有害事象の自主報告に依存しており、安全性の評価と確認が不完全であった。NEJM誌オンライン版2017年1月25日号掲載の報告。

禁煙支援サービス、個別の疾患リスク提示で利用者倍増/Lancet

 英国国民保健サービス(NHS)の禁煙支援サービス(Stop Smoking Services:SSS)において、入門セッションへの案内状と一緒に個別のリスク情報(個人が喫煙を継続した場合に起こりうる重篤な疾患の危険度)を提供することによって、標準の一般的な案内状と比較してSSSへの参加率が2倍以上になったという。ロンドン大学のHazel Gilbert氏らが、SSSの利用に関して2つの要素から成る個別化介入の有効性を評価したStart2quit試験の結果、報告した。SSSは禁煙を希望する喫煙者を支援するものだが、利用率は低く、最近はさらに低下傾向にあった。今回の結果を踏まえて著者は、「地域のサービスを体験する機会と組み合わせ、より積極的にアプローチすることで、サービスを受けることに対する患者の障壁を減らすことができ、利用者が増加する可能性がある」と述べている。Lancet誌オンライン版2017年1月24日号掲載の報告。

Sepsis-3の予後予測に最適な指標について(解説:小林 英夫 氏)-638

本論文は、オセアニア地域の18万例以上のデータベースを用いた後方視的コホート研究で、結論は、感染症疑いで集中治療室(ICU)に入院した症例の院内死亡予測には「連続臓器不全評価(SOFA)スコア2点以上」が、全身性炎症反応症候群(SIRS)診断基準や迅速SOFA(qSOFA)スコアよりも有用、となっている。この研究背景は、集中治療以外の医師にとっては、ややなじみにくいかもしれないので概説する。

レンバチニブ 切除不能肝細胞がんでソラフェニブに非劣性示す

 エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫)は、自社創製の抗がん剤レンバチニブ(商品名: レンビマ)が、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がんにおけるソラフェニブを対照とした臨床第III相試験(304試験)において、主要評価項目を達成したと発表。

C.difficile感染症、bezlotoxumabで再発リスク低下/NEJM

 クロストリジウム・ディフィシル(C. difficile)に初感染または再発し経口抗菌薬を投与された成人患者に対し、bezlotoxumabを投与することで、12週以内の再発リスクが10%以上有意に低下したことが示された。英国・Leeds General InfirmaryのMark H. Wilcox氏らが、2,655例を対象に行った第III相臨床試験の結果で、NEJM誌2017年1月26日号で発表した。安全性プロファイルはプラセボと類似していたこと、bezlotoxumabにアクトクスマブを併用投与しても、その低減効果は変わらなかったことも報告されている。

安定冠動脈疾患にRAS阻害薬は他剤より有効か/BMJ

 心不全のない安定冠動脈疾患の患者に対するレニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬の投与は、プラセボとの比較では心血管イベント・死亡のリスクを低減するものの、Ca拮抗薬やサイアザイド系利尿薬などの実薬との比較では、同低減効果は認められなかった。また、対プラセボでも対照集団が低リスクの場合は、同低減効果は認められなかった。米国・ニューヨーク大学のSripal Bangalore氏らが、24の無作為化試験についてメタ解析を行い明らかにし、BMJ誌2017年1月19日号で発表した。心不全のない安定冠動脈疾患患者へのRAS阻害薬投与については、臨床ガイドラインでは強く推奨されているものの、最近の現行治療への上乗せを検討した試験結果では、対プラセボの有効性が示されなかった。

論文を読むときは最初に利益相反を確認する必要がありそうだ(解説:折笠 秀樹 氏)-637

コア臨床雑誌に掲載された195研究について、主任研究者と製薬企業との間にお金の関係(いわゆる利益相反[COI])がどのくらいあって、利益相反と研究結果との関連はどのくらいあるのかが調査された。2013年いっぱいの調査結果である。また、対象の研究はRCTであり、薬剤介入の臨床試験とした。製薬企業との利益相反があった割合は67.7%と、実に3分の2に及んでいた。

中国の糖尿病患者は全死亡率2倍~51万人7年間の前向き研究/JAMA

 ここ数十年で中国の糖尿病有病率が急激に上昇しているが、これまで糖尿病に関連する超過死亡の信頼し得る推定データはなかった。英国・オックスフォード大学のFiona Bragg氏らは、中国の都市部と地方から集めた成人約51.3万例を7年間前向きに追跡した研究で、糖尿病と超過死亡との関連を調査。その結果、中国において糖尿病が、心血管系に限らず幅広い疾患別死亡率増大と関連していること、また、有病者は都市部のほうが多いが、超過死亡との関連は地方のほうが強いことを明らかにした。JAMA誌2017年1月17日号掲載の報告。