日本語でわかる最新の海外医学論文|page:593

経済レベルの異なる国々における脳卒中診療パターンと転帰(中川原譲二氏)-883

低・中所得国では脳卒中が人々にもたらす影響にはばらつきがある。高所得国では、脳卒中の診療と転帰における改善が報告されているが、低・中所得国での診療の状況と転帰についてはほとんど知られていない。著者ら(英国・グラスゴー大学のPeter Langhorne氏ら)は、経済レベルの異なる国々における実施可能な診療のパターンと患者転帰との関係を比較検討した。

オラパリブ、BRCA変異陽性乳がんに国内適応拡大

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年7月2日、オラパリブ(商品名:リムパーザ)が、「がん化学療法治療歴のあるBRCA遺伝子変異陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳癌」を適応症とする製造販売承認事項一部変更の承認を取得したと発表。

膵がんアジュバントにおけるmFOLFIRINOXの可能性(PRODIGE 24/CCTG PA.6)/ASCO2018

 切除後の膵臓がんでは、術後補助化学療法を行ったにもかかわらず、7割の患者が2年以内に再発するとされる。そのため、より良好な成績の術後補助化学療法が求められている。この術後化学療法として、フルオロウラシルのボーラス投与を省いたmodified FOLFIRINOX(mFOLFIRINOX)療法とゲムシタビン単剤療法を比較した第III相試験PRODIGE 24/CCTG PA.6が行われ、その結果をフランス・Institut de Cancérologie de LorraineのThierry Conroy氏が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。

糖尿病での心理的負担が全死亡に影響~日本人男性

 2型糖尿病の日本人男性において、糖尿病に特異的な心理的負担感が全死因死亡と有意に関連することがわかった。天理よろづ相談所病院(奈良県)に通院する糖尿病患者を対象とした大規模レジストリ(Diabetes Distress and Care Registry in Tenri:DDCRT18)を用いた前向きコホート研究の結果を、天理よろづ相談所病院内分泌内科の林野 泰明氏らが報告した。Diabetologia誌オンライン版2018年6月8日号に掲載。

小児から18歳までのうつ病と自閉症気質との関連

 小児から成人期初期までの自閉スペクトラム症(ASD)において、うつ病の軌跡をフォローした人口ベースの研究は、あまり行われていない。そのため、遺伝的あるいは、いじめなどの環境的要因の役割は、いずれの集団においてもよくわかっていない。英国・ブリストル大学のDheeraj Rai氏らは、ASDや自閉症気質の有無にかかわらず、10~18歳の小児におけるうつ症状の軌跡を比較し、ASDと18歳時のICD-10うつ病診断との関連を評価し、遺伝的交絡およびいじめの重要性について検討を行った。JAMA psychiatry誌オンライン版2018年6月13日号の報告。

膵がん患者の5%に素因遺伝子変異/JAMA

 膵がんの素因遺伝子や、その変異と関連する膵がんのリスクはよく知られていない。米国・メイヨー・クリニックのChunling Hu氏らは、膵がんと関連のある6つの遺伝子変異を同定し、これらの変異は全膵がん患者の5.5%にみられ、そのうち膵がんの家族歴のある例が7.9%、ない例は5.2%であることを示した。研究の成果は、JAMA誌2018年6月19日号に掲載された。遺伝学的に膵がんの素因を有する集団は、遺伝子検査を用いた早期発見により、ベネフィットを得る可能性があるという。

不撓不屈の(?)橈骨動脈(解説:今中和人氏)-882

橈骨動脈のCABGでの使用は長らく廃れていたが、1990年代になってオーストラリアのBuxton先生らを中心にリバイバルが起きた。その後、多くの外科医が著した雨後のたけのこのような論文の結論はひどく食い違い、内胸動脈に匹敵すると高く評価する論文もあれば、静脈と同等以下とする論文もある。グラフト開存への影響が大きい、冠動脈の狭窄度や灌流域の広さなどに関するバイアスを感じる論文も少なくないが、唱道者のBuxton先生らがRAは静脈と同等と結論した後もRA擁護論は根強く、RAが優れているのか大して違わないのか判断しかねる状態が続く中で発表されたメタ解析である。

細胞接着分子CADM1は菌状息肉症の診断に有効

 菌状息肉症(MF)は、最も頻度の高い皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)であるが、早期MFの紅斑(Patch)と局面(Plaque)は、乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患(ISD)によく似ている。ヒトの非小細胞肺がんのがん抑制遺伝子として同定された細胞接着分子のCADM1は、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)の診断マーカーとして報告されており、今回、新潟大学大学院医歯学総合研究科の結城 明彦氏らは、「CADM1陽性細胞は浸潤が少ない早期症例で確認され、早期MFの診断マーカーとして有用かもしれない」とまとめている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2018年6月18日号掲載の報告。

ベンゾジアゼピン依存に対するラメルテオンの影響

 一般的に、ベンゾジアゼピン(BZ)系睡眠薬の減量が困難な患者では、長期間BZ系睡眠薬が処方される。ラメルテオンは、BZ受容体を介する睡眠薬とは異なる作用機序を有しており、生理的な睡眠を促す睡眠薬である。宮崎大学の長友 慶子氏らは、不眠症患者におけるラメルテオンとBZ依存について調査を行った。Asian journal of psychiatry誌オンライン版2018年6月7日号の報告。

デュルバルマブ、切除不能StageIII非小細胞肺がんに国内承認/アストラゼネカ

 アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム)は2018年7月2日、「切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」を効能・効果としたデュルバルマブ(商品名:イミフィンジ)の国内における製造販売承認を取得したことを発表。

偶発腫の検出頻度が高い画像検査は?悪性の割合は?/BMJ

 偶発腫(incidentalomas)は、急速に現代の医療危機の1つになりつつあるという。英国・オックスフォード大学のJack W. O'Sullivan氏らは、偶発腫の検出頻度が高い画像検査は、胸部CT、大腸CT、心臓MRIであり、偶発腫が悪性腫瘍である可能性が高い臓器は乳房、卵巣、甲状腺であるとの研究結果を、BMJ誌2018年6月18日号で報告した。画像検査の需要が急速に増大するとともに、画像の解像度の改善が進み、偶発腫に遭遇する機会が急上昇しているが、その有病率やアウトカムの評価にはばらつきがあることが知られている。

ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響

 統合失調症に対する単独療法および大うつ病(MDD)に対する補助療法として、ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールを使用した際の体重への影響について、米国・大塚ファーマシューティカルD&C Inc.のCatherine Weiss氏らは、短期研究(4、6週)および長期研究(52週以下)により検討を行った。International clinical psychopharmacology誌オンライン版2018年6月6日号の報告。

小細胞肺がんへのペムブロリズマブ単独投与、PD-L1陽性例でより高い効果(KEYNOTE-158)/ASCO2018

 ペムブロリズマブは、PD-L1陽性固形がんに対するマルチコホート第Ib相試験KEYNOTE-028で、化学療法歴のある小細胞肺がん(SCLC)に対する有効性と高い忍容性が認められている。このKEYNOTE-028に続く試験として、SCLCを含む10種類とMSI-Hの固形がんを対象としたマルチコホート第II相試験KEYNOTE-158が行われた。そのSCLCの解析結果を、韓国・延世大学医学部延世がんセンターのHyun Cheol Chung氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。

ビタミンD値、妊娠高血圧や子癇前症に影響なし/BMJ

 妊娠高血圧や子癇前症に関して、ビタミンD値の影響を示唆する強力なエビデンスはないことが、英国・ブリストル大学のMaria C. Magnus氏らによるメンデル無作為化試験の結果、示された。これまでの観察研究において、25-ヒドロキシビタミンD値が低い女性で子癇前症のリスクが高いことが認められ、複数の試験で妊娠中のビタミンD補給は有益である可能性が示されていたが、有益性は小さく、投与のタイミングや用量は不均一でかなりのばらつきがあり、ビタミンDが子癇前症の起因となるのかは不明であった。BMJ誌2018年6月20日号掲載の報告。

重症代謝性アシドーシスに炭酸水素Naは有効か?/Lancet

 重症代謝性アシドーシスに対し、治療選択肢の1つと考えられている炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)投与の有効性について検討した結果が、フランス・Montpellier University HospitalのSamir Jaber氏らによる第III相多施設共同非盲検無作為化試験「BICAR-ICU試験」の結果、示された。主要複合アウトカム(28日以内の全死因死亡と7日以内の臓器不全)について、有意差は示されなかったが抑制効果がみられ、急性腎障害(AKI)を有した患者群では28日死亡率の有意な低下が認められたという。Lancet誌オンライン版2018年6月14日号掲載の報告。

大うつ病と自殺念慮に関する治療抵抗性うつ病研究グループの報告

 大うつ病性障害(MDD)の自殺念慮を解明するため、オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らが、欧州多施設共同研究を実施した。これまでの調査において、MDD患者の自殺念慮の有病率は、50%以上であることが示唆されているが、社会人口統計学的、心理社会的、臨床的な特徴と自殺念慮との関連については、あまり知られていなかった。The international journal of neuropsychopharmacology誌2018年6月1日号の報告。

喘息など難治化の仕組み解明/千葉大学

 千葉大学大学院医学研究院の森本 侑樹特任助教、平原 潔准教授、中山 俊憲教授らのグループは、同大学医学研究院の耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 岡本 美孝 教授のグループと共同で、重症アレルギー疾患における組織線維化を誘導する新たな細胞集団を同定し、組織線維化の新規メカニズムを明らかにした。

20歳前後のBMIで、乳がんリスク4倍以上の差

 BMIと乳がんリスクの間には、閉経前女性では逆相関、閉経後女性では正相関がみられる。今回、閉経前女性のBMIと乳がんリスクの逆相関がこれまで報告されていたよりも強く、成人初期(18~24歳)で最も強く関連することが、米国・国立がん研究所コホートコンソーシアムが推進するPremenopausal Breast Cancer Collaborative Groupの研究で示唆された。JAMA oncology誌オンライン版2018年6月21日号に掲載。