喘息など難治化の仕組み解明/千葉大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/07/02 千葉大学大学院医学研究院の森本 侑樹特任助教、平原 潔准教授、中山 俊憲教授らのグループは、同大学医学研究院の耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学 岡本 美孝 教授のグループと共同で、重症アレルギー疾患における組織線維化を誘導する新たな細胞集団を同定し、組織線維化の新規メカニズムを明らかにした。 喘息などのアレルギー疾患の治療には、吸入ステロイドによる対症療法が一般的だが、一度起きてしまった組織の線維化にはステロイドは無効であり、新たな治療法が求められている。 本研究グループは、タンパク質Amphiregulinを特異的に産生する病原性記憶T細胞を同定した。Amphiregulinは、上皮成長因子(EGF)受容体を介して炎症性好酸球を誘導し、炎症性好酸球は、細胞外基質Osteopontinを多量に産生し、組織の線維化を直接誘導することを見出した。線維化を引き起こしたマウスへEGF受容体阻害薬を投与したところ、組織の線維化が改善することがわかった。 近年日本で増加しており、国の難病指定を受けている好酸球性慢性副鼻腔炎(ECRS)患者の鼻ポリープ中に、Amphiregulin産生病原性記憶T細胞およびOsteopontin産生好酸球が多数確認され、同記憶型病原性T細胞がヒト好酸球性疾患の線維化を誘導する可能性があることが示された。以上のことから、Amphiregulin-Osteopontin経路は重症アレルギー疾患の組織線維化において画期的な治療薬のターゲットになると期待される。 ■参考 千葉大学プレスリリース (ケアネット 細田 雅之) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 喘息診断で注目、タイプ2炎症バイオマーカーの手引き発刊/日本呼吸器学会 医療一般(2023/05/04) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] DES留置後1年以上の心房細動、NOAC単剤vs.NOAC+クロピドグレル併用/NEJM(2025/12/12) 妊娠中の体重増加と母体および新生児の臨床アウトカムの関連/BMJ(2025/12/12) ウォートンゼリー由来間葉系幹細胞の冠動脈内注入は心筋梗塞後の心不全を予防するかもしれない(解説:原田和昌氏)(2025/12/12) ER+/HER2-早期乳がん術後ホルモン療法、giredestrant vs.標準治療(lidERA)/SABCS2025(2025/12/12) ベンゾジアゼピンの使用は認知症リスクにどの程度影響するのか?(2025/12/12) 小児期の肥満は成人後に診療数が多くなる(2025/12/12) AIモデルが臓器ドナーの死亡タイミングを予測(2025/12/12) 脂肪由来の幹細胞が脊椎圧迫骨折の治癒を促進(2025/12/12) アトピー性皮膚炎患者に最適な入浴の頻度は?(2025/12/12) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24)