日本語でわかる最新の海外医学論文|page:594

米国成人の肥満率、非都市圏で高率/JAMA

 2013~16年における米国成人の肥満および重症肥満の年齢調整有病率が、米国大都市統計地域(metropolitan statistical area:MSA)で示される都市化のレベルで異なっていること、また、MSAの都市圏に比べ非MSA地域で有意に高いことを、米国疾病予防管理センターのCraig M. Hales氏らが報告した。米国成人における肥満の有病率については、これまで性別、年齢層別、人種/ヒスパニック系別の報告はあったが、都市化のレベル別ではほとんど研究されていなかった。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。

チオ硫酸Na、シスプラチン誘発難聴予防に有効/NEJM

 標準リスク肝芽腫の小児において、チオ硫酸ナトリウムをシスプラチンによる化学療法終了後に追加投与することで、全生存と無イベント生存に影響することなく、シスプラチン誘発難聴の発生率が低下した。英・Great Ormond Street HospitalのPenelope R. Brock氏らが、シスプラチンによる聴覚障害に対するチオ硫酸ナトリウムの予防効果を検討した評価者盲検無作為化第III相臨床試験(SIOPEL6試験)の結果を報告した。標準リスク肝芽腫の小児に対するシスプラチンと外科手術は有効な治療法であるが、多くの患者に不可逆的な聴覚障害を引き起こすことが知られていた。NEJM誌2018年6月21日号掲載の報告。

高血圧・高脂血症の治療は認知症を予防するか

 アルツハイマー病(AD)と血管リスク因子(VRF)の関連について疫学的エビデンスはあるが、VRFの治療が認知症やADの発症率を低下させるのか不明である。今回、スウェーデン・カロリンスカ研究所のSusanna C. Larsson氏らが、認知症およびADの発症におけるVRFの治療の影響について系統的レビューとメタ分析で検討した結果、降圧薬とスタチンが認知症やADの発症率を低下させる可能性が示唆された。Journal of Alzheimer's disease誌オンライン版2018年6月9日号に掲載。

抗精神病薬使用と乳がんリスク

 一部の抗精神病薬は、プロラクチンレベルを上昇させ、乳がんリスクを高める可能性がある。これまでのエビデンスは、矛盾しており、とくに第2世代抗精神病薬の使用に関するデータは不十分である。デンマーク・南デンマーク大学のAnton Pottegard氏らは、抗精神病薬使用と乳がん発症との関連についての全国規模のケースコントロール研究を実施した。British journal of clinical pharmacology誌オンライン版2018年6月1日号の報告。

EGFR変異肺がんにおけるエルロチニブ・ベバシズマブ併用第III相試験(NEJ026)/ASCO2018

 StageIVのEGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)では、一次治療としてEGFR-TKIが標準療法であるが、PFS中央値は1年程度である。サバイバルのため、さまざまな併用療法が試みられている。そのようななか、エルロチニブとベバシズマブの併用は、第II相試験JO25569試験において、EGFR変異陽性NSCLCのPFS中央値を16.0ヵ月と有意に改善した。このエルロチニブ・ベバシズマブ併用をエルロチニブ単剤と比較した第III相試験NEJ026の結果を、聖マリアンナ医科大学呼吸器内科の古谷直樹氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。

閉経乳がんアジュバントに対するデノスマブの生存ベネフィット(ABCSG-18)/ASCO2018

 閉経後乳がんのアジュバントでは、ビスホスフォネートの補助療法が再発率減少や生存率の改善に寄与するとの報告がある。一方、抗RANKLヒト化モノクローナル抗体のデノスマブの補助療法(60mg、半年ごと年2回皮下注投与)は、アロマターゼ阻害薬治療中の閉経後ホルモン受容体陽性早期乳がん患者で、プラセボと比較した無作為化二重盲検試験ABCSG-18が実施されている。2015年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2015)での初回報告において、デノスマブ群はプラセボ群に比べて臨床骨折を減少させることが明らかになっている(HR:0.5、p<0.0001)。このABCSG-18の副次評価項目である無病生存期間(DFS)を評価した結果を、オーストリア・ウィーン医科大学のMichael Gnant氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表した。

ストレス関連障害は、自己免疫疾患のリスク/JAMA

 ストレス関連の障害は、自己免疫疾患発症リスクを有意に増大することが、アイスランド大学のHuan Song氏らによる、スウェーデンの集団・兄弟姉妹適合コホートを対象とした後ろ向き研究の結果、明らかにされた。生活をするうえでのストレッサーに対する精神医学的な影響は誰にでもみられる。その影響が免疫機能不全をもたらす可能性が示唆されているが、自己免疫疾患のリスクに関与しているかは不明であった。今回の結果を受けて著者は、「さらなる研究を行い、根源的メカニズムを解明することが必要だ」とまとめている。JAMA誌2018年6月19日号掲載の報告。

腹部大動脈瘤スクリーニングは有益か/Lancet

 腹部大動脈瘤(AAA)スクリーニングは、AAA死亡の減少に寄与していないことが、スウェーデン・イエーテボリ大学のMinna Johansson氏らによる、スウェーデン人を対象としたレジストベースのコホート研究で明らかにされた。AAA発症およびAAA関連死亡にみられる大幅な減少を、スクリーニングに関する無作為化試験の結果で評価するのは時代遅れではないかとの指摘があったが、今回の検討で、減少した要因の大半は他の因子によるもので、おそらくは喫煙の減少によることが示唆されたという。著者は、「ベネフィットは小さく、有益性と有害性のバランスは非常に悪く、スクリーニングの正当性に対する疑念を深める結果であった」とまとめている。Lancet誌2018年6月16日号掲載の報告。

過去の“心房細動に対するリズムコントロールは予後を改善しない”という呪縛を解くことはできるのか?(解説:矢崎義直 氏)-880

心不全症例に心房細動の合併が多いことが知られているが、心不全の病態が心房細動を引き起こし、また心房細動自体が心不全の誘因となりうる。両者は密接に関係しており、心房細動のマネージメントは心不全治療のうえで重要となる。

気管切開の事故防止に向け提言 医療安全調査機構

 気管切開チューブ挿入患者のケアには常に注意を要するが、とくに気管切開術後早期*のチューブ交換時に、再挿入が困難になるリスクが高いことから、日本医療安全調査機構(医療事故調査・支援センター)では、この時期のチューブ逸脱・迷入による事故防止のための提言(医療事故の再発防止に向けた提言 第4号)を公表している(6月5日)。逸脱を防ぐための移動・体位変換時の注意事項や、逸脱・迷入が生じてしまったときの具体的対応などについて、以下の6つの提言が示された。

不眠症へのスボレキサント切り替えと追加併用を比較したレトロスペクティブ研究

 スボレキサントは、従来のGABA(γ-アミノ酪酸)-A受容体を介さない新規作用機序の睡眠薬である。藤田保健衛生大学の波多野 正和氏らは、ベンゾジアゼピン受容体アゴニスト(BzRA)を服用している不眠症患者に対するスボレキサント導入方法の検討を行った。Clinical psychopharmacology and neuroscience誌2018年5月31日号の報告。

ダビガトランが非心臓手術後心筋障害の合併症リスク抑制/Lancet

 非心臓手術後心筋障害(MINS:myocardial injury after non-cardiac surgery)を呈した患者に対し、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)110mgの1日2回投与が、重大出血の有意な増大を認めることなく主要血管合併症(血管死、非致死的心筋梗塞など)のリスクを抑制することが、カナダ・マックマスター大学のP J Devereaux氏らによる国際無作為化プラセボ対照試験「MANAGE試験」の結果、明らかにされた。ダビガトランは周術期静脈血栓塞栓症を予防するが、MINS患者の血管合併症に有用であるかはこれまで検討されていなかった。MINS患者は世界で年間800万人に上ると推計され、術後2年間に心血管合併症や死亡リスクの増大が認められている。著者は今回の結果を受けて、「ダビガトラン110mgの1日2回投与により、それら患者の多くを助ける可能性が示された」とまとめている。Lancet誌2018年6月9日号掲載の報告。

気持ちはわかるがもったいない臨床試験!(解説:後藤信哉氏)-878

世の中の活動には、税金を使うpublic sectorと個人の投資によるprivate sectorがある。特許が切れていない新薬、医療デバイスなどを用いた試験は、試験の結果により大儲けするスポンサーがあるのでprivate sectorである(日本のAMEDにはpublicとprivateの混同があると筆者は思う)。スポンサーは投資であるから、儲けにつながる結果を得たい。その気持ちはすごくわかる。ランダム化比較試験による仮説検証は、巨大なビジネスであるとともに大切な臨床科学でもある。本試験の仮説は臨床的にきわめて重要である。スポンサーの気持ちもわかるし、試験のルールもわかるけれども、本研究は仮説が魅力的であるだけに最後まで施行してほしかった。

こどもとおとなのワクチンサイトが完成

 2018年6月17日に乳児から高齢者まで、全年齢向けのワクチン・予防接種の総合情報サイト「こどもとおとなのワクチンサイト」(http://vaccine4all.jp/)が公開された。このサイトは、日本プライマリ・ケア連合学会の内部組織であるワクチンプロジェクトチーム(リーダー:中山 久仁子氏[マイファミリークニック蒲郡 理事長・院長 ]、担当理事:岡田 唯男氏[亀田ファミリークリニック館山 院長])に所属するワクチン・予防接種に関心が深い家庭医・総合診療家庭医が中心となり、執筆・編集したもの。

治療抵抗性うつ病の予測因子に関するコホート研究

 うつ病の治療では、しばしばその後の介入が必要となる。抗うつ薬治療により寛解が得られない患者は、治療抵抗性うつ病(TRD:treatment-resistant depression)といわれる。どのような患者がTRDを発症するか予測することは、医療従事者がより効果的な治療を決定するうえで重要である。米国・ヤンセン・リサーチ&ディベロップメントのM. Soledad Cepeda氏らは、医療保険データベースを用いて、実臨床におけるTRDの予測因子の特定を試みた。Depression and anxiety誌オンライン版2018年5月22日号の報告。

1日1回の牛乳摂取がサルコペニア予防に有効か~鳩山/草津コホート研究

 毎日普通乳を飲む習慣が、高齢者におけるサルコペニアの予防につながる可能性が示唆された。東京都健康長寿医療センター研究所の成田 美紀氏らが、日本の地域在宅高齢者を対象に、牛乳の摂取頻度とサルコペニアの有無との関連を検討したコホート研究により明らかにしたもの。第60回日本老年医学会学術集会(2018年6月14日~16日)において発表された。

オゼノキサシン1%クリーム、膿痂疹に有効

 オゼノキサシンは、グラム陽性菌への強い殺菌的な抗菌作用を示す新規局所抗菌薬で、接触感染で広まる皮膚の細菌感染症である膿痂疹に対する治療薬として、1%クリーム剤が開発された。米国・ベイラー医科大学のTheodore Rosen氏らは、無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験において、オゼノキサシン1%クリームが生後2ヵ月以上の膿痂疹患者に有効で、安全性と忍容性も良好であることを報告した。著者は、「オゼノキサシンクリームによる治療は、膿痂疹の新しい治療の選択肢となる」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。

禁煙開始4週前からのニコチンパッチ、長期的効果は?/BMJ

 英国では、喫煙を中止した日以降は禁煙を補助する薬物療法が推奨されるが、喫煙中止日前の薬物療法(preloading)の長期的なベネフィットのエビデンスは明確ではないという。英国・オックスフォード大学のPaul Aveyard氏らは、ルーチンの診療における禁煙開始前のニコチン投与について検討した。その結果、明らかな長期的有効性は認めなかったものの、ニコチン前投与により禁煙開始後のバレニクリンの使用が減少し、これによってニコチンの効果がマスクされた可能性があると報告した。研究の成果は、BMJ誌2018年6月13日号に掲載された。

CABG後もSAPTよりDAPTが優れている?(解説:上田恭敬氏)-879

SVGを用いた待機的CABG症例を対象とし、術後の抗血小板療法をチカグレロル+アスピリン併用(DAPT)、チカグレロル単独、アスピリン単独の3群に無作為に割り付け、1年後のSVG開存を主要評価項目としたRCTの結果が報告された。SVGの開存はCTあるいはCAGによって評価された。