日本語でわかる最新の海外医学論文|page:595

前立腺全摘除術で知っておきたい合併症

 2018年6月13日、ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社は、「男性の尿漏れに対する先進的な治療法 尿漏れ手術『人工尿道括約筋植込術』~前立腺がん治療後の尿漏れ患者約10,000人のQOLに貢献~」をテーマに、3名の演者(国立がん研究センター 増田 均氏/東北医科薬科大学 海法 康裕氏/原三信病院 武井 実根雄氏)を迎え、都内でセミナーを開催した。本稿では、その概要を紹介する。

アルコール使用障害患者の認知症発症予防のためのチアミン療法

 アルコール使用障害は、認知症に寄与する最も重要な因子の1つである。台湾・高雄医学大学のWei-Po Chou氏らは、台湾の全国データベースを用いて、アルコール使用障害患者に対するチアミン療法の認知症発症予防効果について調査を行った。Clinical nutrition誌オンライン版2018年5月21日号の報告。

医薬教育倫理協会(AMEE)が提案する新時代の医師継続教育

 医薬教育倫理協会(AMEE: Association of Medical Education and Ethics)が「AMEE医学継続教育プログラム」と銘打ったネット番組の配信を開始した。AMEEは2016年7月に設立された一般社団法人で、設立の目的は、医療倫理に基づき、高度な医学・薬学の継続教育を医師・薬剤師に提供することを通じて、医療の向上と国民の健康増進に寄与すること。AMEEの代表理事を務める、帝京大学臨床研究センター センター長 寺本 民生氏に、AMEEが推進する新しい医師継続教育について話を聞いた。

新たな点眼薬、アデノウイルス結膜炎に効果

 急性アデノウイルス結膜炎に対する、ポビドンヨード(PVP-I)0.6%/デキサメタゾン0.1%懸濁性点眼液の有効性および安全性を評価する多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験(第II相臨床試験)が行われ、米国・セントルイス・ワシントン大学のJay S. Pepose氏らが結果を報告した。PVP-I/デキサメタゾンは安全性および忍容性が良好で、プラセボと比較し臨床的寛解率およびアデノウイルス除去率を有意に改善することが認められたという。American Journal of Ophthalmology誌2018年オンライン版5月19日号掲載の報告。

受胎期の父親の抗うつ薬使用、子供への影響は?/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のAlexander Viktorin氏らによる前向きコホート研究で、受胎前後での父親の抗うつ薬使用は、生まれてくる子供の4つの主要有害アウトカム(未熟児出産、先天異常、自閉症、知的障害)に関して安全であることが示された。これまで、妊娠中の母親の抗うつ薬使用については大規模に調査が行われている。その結果、抗うつ薬治療が精子に悪影響を及ぼす可能性を示唆する研究があったが、受胎時の父親の抗うつ薬治療についてはほとんど注目されていなかった。BMJ誌2018年6月8日号掲載の報告。

JAK1阻害薬upadacitinibが関節リウマチ再発例の症状改善/Lancet

 疾患活動性が中等度~重度の関節リウマチ再発例の治療において、選択的JAK1阻害薬upadacitinibの12週、1日1回経口投与により、症状が著明に改善することが、米国・スタンフォード大学のMark C. Genovese氏らが行った「SELECT-BEYOND試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2018年6月13日号に掲載された。upadacitinibは、他のJAKファミリーのメンバーに比べJAK1に高い選択性を持つように遺伝子改変されたJAK阻害薬であり、第II相試験でメトトレキサートやTNF阻害薬の効果が不十分な患者の関節リウマチ徴候や症状を改善することが報告されている。

PBCに対するベザフィブラートの有用性がフランスで証明された(解説:上村直実氏)-876

原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、原因不明の胆管に対する自己免疫疾患で国の特定疾患に指定されており、現在、日本における患者数は5〜6万人で軽症の症例が増加している。男女比は約1:7であり、50~60歳の中年以降の女性に最も多くみられる疾患である。

抗精神病薬治療6週間以上の統合失調症患者における灰白質の変化と臨床的改善との関係

 横断的および縦断的研究により、統合失調症における、広範な灰白質量(GMV)の減少(とくに前頭葉)が報告されている。中国・北京大学第6病院のXiao Zhang氏らは、統合失調症患者における灰白質の変化と臨床的改善との関連について検討を行った。Neuroscience bulletin誌オンライン版2018年5月19日号の報告。

全年齢で注意!「熱中症」の怖さ…死亡や後遺症も高率

 2000~16年に発表された熱中症関連文献のレビューによると、熱中症90例のうち、約2割が死亡、約2割が長期の神経学的後遺症を患っていたことが、オーストラリア・Royal Adelaide HospitalのEmily M. Lawton氏らによる調査で明らかになった。また、神経学的障害のある患者の7割以上が長期の小脳機能障害を有しており、小脳構造が熱に弱いことが示唆された。さらに、永久的神経学的障害を認めた症例の多くが若くて健康だったことから、著者らは、「年齢や合併症に関係なく、熱中症の予防および治療に積極的な介入が必要である」と強調した。Emergency medicine Australasia誌オンライン版2018年5月31日号の報告。

医療従事者へのインフル予防接種の効果は

 インフルエンザ予防接種は、医療従事者におけるインフルエンザ感染予防、スタッフや患者へ伝染防止のための一般的な介入である。長崎大学の今井 智里氏らは、医療従事者間の季節性インフルエンザ予防接種の疫学的および経済的な有効性の最新のエビデンスを統合するため、系統的レビューとプール解析を行った。その結果、インフルエンザワクチンが感染症発症減少と欠勤期間短縮に効果があることが示された。PLOS ONE誌2018年6月7日号に掲載。

JAK1阻害薬upadacitinibが難治性リウマチに有効/Lancet

 従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬(csDMARD)で効果不十分の中等度~重度活動性関節リウマチ患者において、JAK1阻害薬upadacitinibの15mgまたは30mgの併用投与により、12週時の臨床的改善が認められた。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のGerd R. Burmester氏らが、35ヵ国150施設で実施された無作為化二重盲検第III相臨床試験「SELECT-NEXT試験」の結果を報告した。upadacitinibは、中等度~重度関節リウマチ患者を対象とした第II相臨床試験において、即放性製剤1日2回投与の有効性が確認され、第III相試験のために1日1回投与の徐放性製剤が開発された。Lancet誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。

軽症COPD患者への電話コーチングの効果は?/BMJ

 かかりつけ医を受診した軽症の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者において、行動変容を促すための電話でのコーチングによる介入は、自己管理行動の変化にはつながったものの健康関連QOLの改善には至らなかった。英国・バーミンガム大学のKate Jolly氏らが、軽症COPD患者の自己管理の支援を目的とした社会的認知理論(Social Cognitive Theory)に基づく電話によるコーチングの有効性を評価した多施設共同無作為化比較試験の結果を報告した。システマティックレビューでは、COPD患者の自己管理支援が健康関連QOLを改善し入院の減少に有用であることが示されていたが、このエビデンスは主に2次医療における中等症または重症患者を対象としたものであった。BMJ誌2018年6月13日号掲載の報告。

ProACT試験-プロカルシトニン値を指標とした抗菌薬使用(解説:小金丸博氏)-877

抗菌薬の過剰な使用は、医療費の増加や薬剤耐性菌の出現に関連する公衆衛生上の問題である。プロカルシトニンは、ウイルス感染よりも細菌感染で上昇しやすいペプチドであり、上昇の程度は感染の重症度と相関し、感染の改善とともに経時的に低下する。いくつかの欧州の試験において、抗菌薬を投与するかどうかをプロカルシトニンの結果に基づいて決定することで抗菌薬の使用を抑制できることが示されており、2017年、米国食品医薬品局(FDA)は下気道感染症が疑われる場合に抗菌薬の開始または中止の指標としてプロカルシトニンを測定することを承認した。しかしながら、プロカルシトニン値を日常臨床へ適用できるかは明らかでなかった。

50歳での収縮期血圧が認知症リスクと関連

 50歳での収縮期血圧(SBP)が130 mmHg以上だと認知症リスクが高く、この過剰リスクは心血管疾患(CVD)に関わらないことが、フランス国立保健医学研究機構(INSERM)のJessica G. Abell氏らによるコホート研究で示唆された。なお、60歳や70歳でのSBPとの関連はみられなかった。European Heart Journal誌オンライン版2018年6月12日号に掲載。

dacomitinib、EGFR変異肺がん1次治療でOS延長(ARCHER1050)/ASCO2018

 EGFR変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療で、第2世代EGFR-TKI dacomitinibとゲフィチニブを比較した、第III相無作為化オープンラベル試験ARCHER1050最終成績を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で、香港中文大学のTony Mok氏が発表した。ASCO2017で発表された同試験の無増悪生存期間(PFS)解析では、dacomitinnib群14.7ヵ月に対し、ゲフィチニブ群9.2ヵ月と、dacomitinnib群で有意に良好な結果を示した(HR=0.59、p<0.0001)。ASCO2018では、全生存期間(OS)結果の発表で、追跡期間中央値は31.3ヵ月。

うつ病や身体活動と精液の質との関連

 行動および心理社会的要因は、精液の質の低下と関連している。しかし、うつ病や身体活動と精液の質との関連については、よくわかっていない。中国・第3軍医大学のPeng Zou氏らは、中国人大学生におけるうつ病および身体活動と精液の質との関連について検討を行った。Psychosomatic medicine誌オンライン版2018年5月24日号の報告。

デング熱ワクチンの有効性・リスクが明らかに/NEJM

 四価デング熱ワクチン(CYD-TDV)の有効性について、ワクチン接種前のウイルス曝露者には5年の間、重症型デング熱の発症(virologically confirmed dengue:VCD)やデング熱での入院に対する保護効果が認められたが、非曝露者では、反対に重症型VCDやデング熱による入院のリスクをより高めるとのエビデンスが確認されたという。フランス・サノフィ社サノフィパスツール(ワクチン部門)のSaranya Sridhar氏らが、有効性に関する3試験のデータを再解析し報告した。CYD-TDVの有効性試験では、ワクチン接種を受けた2~5歳児においてデング熱による過剰な入院が観察されていた。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。

地中海食は心血管イベントを抑制する/NEJM

 心血管リスクが高い集団を対象とした試験で、低脂肪食事療法に割り付けた群よりも、エキストラヴァージンオリーブオイル(EVOO)またはナッツを一緒に補充する地中海式食事療法に割り付けた群のほうが、主要心血管イベントの発生率は低いことが、スペイン・バルセロナ大学のRamon Estruch氏らによる多施設共同無作為化試験「PREDIMED試験」の結果、示された。これまで行われた観察コホート研究や2次予防試験では、地中海式食事療法の順守状況と心血管リスクについて負の相関が示されている。PREDIMED(Prevencion con Dieta Mediterranea)試験の結果は2013年にジャーナル発表されたが、無作為化割り付けに関する分析方法の不備から著者らが同論文を取り下げ、今回あらためて修正解析の結果を発表した。NEJM誌オンライン版2018年6月13日号掲載の報告。