終末期14日間の化学療法、5%未満に減少/JCO 最終更新:2019/06/24 医療一般 終末期(end of life、以下EOL)がん患者の積極的治療について、わが国でも高齢者においては中止を支持する機運が醸成されつつあるのではないだろうか。米国ではEOL化学療法は、最も広く行われている、不経済で、不必要な診療行為として、ベンチマーキングで医師のEOL14日間の化学療法使用を減らす取り組みが行われている。その結果、同施行は2007年の6.7%から2013年は4.9%に減少したことが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのPenny Fang氏らによる調査の結果、明らかになった。著者は、「首尾よく5%未満に減少した。この結果を現行のEOLオンコロジー戦略に反映することで、さらに高レベルのEOLの実践が期待できるだろう」と述べている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年5月29日号の掲載報告。
局所進行子宮内膜がん、術後化学放射線療法vs.化学療法/NEJM 最終更新:2019/06/21 ジャーナル四天王 StageIIIまたはIVAの子宮内膜がん患者において、化学療法と放射線療法の併用は化学療法単独と比較し、無再発生存期間を延長しないことが示された。米国・ノースウェスタン大学のDaniela Matei氏らが、第III相多施設共同無作為化試験「Gynecologic Oncology Group 258:GOG 258試験」の結果を報告した。StageIII/IVAの子宮内膜がんは全身または局所再発の重大なリスクがあり、これまで化学療法と放射線療法の併用について検証されてきたが、化学療法単独と比較した有効性については確認されていなかった。NEJM誌2019年6月13日号掲載の報告。
経口セマグルチドの心血管安全性を確認/NEJM 最終更新:2019/06/21 ジャーナル四天王 心血管リスクが高い2型糖尿病患者を対象とした、標準治療への経口セマグルチド追加投与の安全性を評価した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「Peptide Innovation for Early Diabetes Treatment 6:PIONEER 6試験」の結果が報告された。カナダ・トロント大学のMansoor Husain氏らによる検討で、心血管安全性について、経口セマグルチドのプラセボに対する非劣性が示された。GLP-1受容体作動薬セマグルチドは、現在国内外で承認・発売されているのは皮下注射剤のみで、経口剤の心血管安全性を確立することが望まれていた。NEJM誌オンライン版2019年6月11日号掲載の報告。
会員医師の最多年収帯は1,600~1,800万円 最終更新:2019/06/21 医療一般 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その結果、81%の医師が1,000万円以上の年収額を回答し、その中で最も多い年収帯は1,600~1,800万円であった(全体の13%)。また、全体の63%の医師が1,000~2,000万円に分布し、2,000~3,000万円は16%、3,000万円以上は4%であった。
サルコペニアは肺がん患者の約半数に合併し、OSを短縮する/Chest 最終更新:2019/06/21 医療一般 健康寿命を延ばすキーワードの1つとして注目されるようになったサルコペニア(骨格筋減少)だが、疾患予後との関連も注目されている。中国・四川大学のMing Yang氏らは、さまざまな報告がある肺がん患者の予後との関連について、コホート研究のメタ解析を行い、サルコペニアは、肺がん患者の約2人に1人と非常に多く認められること、小細胞肺がん(SCLC)患者および種々のStageの非小細胞肺がん(NSCLC)患者で全生存期間(OS)不良の重要な予測因子であることを明らかにした。Chest誌オンライン版2019年5月22日号の掲載報告。
高感度トロポニンT、アブレーション後のAF再発予測に有用か 最終更新:2019/06/21 医療一般 高感度トロポニンT(hs-TnT)が、心房細動(AF)アブレーション後のAF再発および主要心血管イベント(MACE)の予測に有用である可能性を、大阪市立大学の田村 尚大氏らが報告した。Journal of Cardiovascular Electrophysiology誌オンライン版2019年6月13日号に掲載。 初期アブレーションを受けたAF患者227例(平均年齢66±10歳、持続性AF 98例)を連続して登録した。AFアブレーションの前に測定したhs-TnT値により、低レベル(0.005μg/L以下)54例、中程度レベル(0.006~0.013μg/L)127例、高レベル(0.014μg/L以上)46例の3群に分けた。アブレーション後のAF再発またはMACE(死亡、脳卒中、急性冠症候群、心不全入院を含む)の複合エンドポイントを評価した。
抗うつ薬の治療効果に影響を及ぼす因子~メタ解析 最終更新:2019/06/21 医療一般 抗うつ薬への治療反応を事前に知ることは、臨床的に重要である。しかし、有意義なeffect modification(異なる治療反応に関連する変数)はわかっていない。統計数理研究所の野間 久史氏らは、effect modificationを明らかにするため、これまで日本で実施された抗うつ薬のプラセボ対照試験における被験者個人データ(IPD)を用いてメタ解析を行った。Journal of Affective Disorders誌2019年5月1日号の報告。 うつ病の急性期治療におけるbupropion、デュロキセチン、エスシタロプラム、ミルタザピン、パロキセチン、ベンラファキシンのプラセボ対照試験7件より、2,803例のIPDを取得した。
冠動脈疾患疑い患者にCTAが有用な臨床的指標は?/BMJ 最終更新:2019/06/20 ジャーナル四天王 安定胸痛があり冠動脈疾患が疑われる患者に対して、冠動脈CT血管造影(冠動脈CTA)による恩恵があるのは、臨床的な検査前確率が7~67%の範囲の患者であることが明らかにされた。また、冠動脈CTAの診断精度は、経験的に64列超の検出器を用いたほうが感度・特異度ともに高いことや、狭心症がある患者でも低下しないこと、男性で高く、高齢者では低いことなども示された。ドイツ・シャリテ大学病院ベルリンのRobert Haase氏らが、65試験についてメタ解析を行い明らかにしたもので、BMJ誌2019年6月12日号で発表した。冠動脈CTAは、正確かつ非侵襲的に閉塞性冠動脈疾患(CAD)をルールアウトすることができる。しかし英国NICEや欧州心臓病学会の現行ガイドラインでは、典型的・非典型的狭心症のすべての患者についてのCTAは推奨されておらず、臨床的情報(性別、年齢、胸痛タイプなど)で推定されたCADの検査前確率が15~50%の患者にのみ実施されているという。
2型DMへのGLP-1、経口薬vs.皮下注/Lancet 最終更新:2019/06/20 ジャーナル四天王 2型糖尿病の患者に対するGLP-1受容体作動薬は、現在、皮下注製剤のみが承認されている。米国・AdventHealth Translational Research Institute for Metabolism and DiabetesのRichard Pratley氏らは、開発中のセマグルチドの経口製剤について、リラグルチド皮下注(商品名:ビクトーザ)またはプラセボと比較した第IIIa相無作為化ダブルダミー二重盲検試験「PIONEER 4」の結果を発表した。経口セマグルチドはリラグルチド皮下注に対して、HbA1c値の低下について非劣性であり、体重減少については優越性が示された。安全性と忍容性は同等であった。また、プラセボに対しては、HbA1c値の低下、体重減少ともに優越性が示された。結果を踏まえて著者は、「経口セマグルチドによって、一連の糖尿病治療におけるGLP-1受容体作動薬治療の導入を早めることが可能になるだろう」と述べている。Lancet誌オンライン版2019年6月8日号掲載の報告。
肝細胞がん、ソラフェニブ治療後のラムシルマブの有効性(REACH、REACH-2)/ASCO2019 最終更新:2019/06/20 医療一般 ソラフェニブは現在、転移を有する肝細胞がんの標準治療であるものの、ソラフェニブに不耐症例のための新たな薬剤が必要とされている。また、αフェトプロテイン(AFP)が上昇した進行期肝細胞がんは予後不良である。マウントサイナイ医科大学のJosep M Llovet氏らは、ソラフェニブ治療後の進行期肝細胞がん患者の2次治療としてラムシルマブを投与した第III相臨床試験であるREACHとREACH-2のプール解析結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で報告。AFP400ng/mL以上の進行期肝細胞がんでのラムシルマブの忍容性は高く、有害事象による治療中断は低率であった。
ABCP療法、肺がん肝転移例に良好な結果(IMpower150)/ASCO2019 最終更新:2019/06/20 医療一般 非小細胞肺がん(NSCLC)のうち化学療法未治療の肝転移を有する非扁平上皮がんでは、ベバシズマブ・化学療法併用にアテゾリズマブを追加することで、ベバシズマブ・化学療法併用に比べ、無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)を有意に延長することがわかった。NSCLCを対象に行った無作為化オープンラベル第III相試験IMpower150の試験開始時に規定した探索的解析に基づき、米AdventHealth Cancer InstituteのMark A. Socinski氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。
メトホルミン、軽度~中等度腎機能障害にも処方可-使用上の注意改訂 最終更新:2019/06/20 医療一般 2型糖尿病治療薬のメトホルミン含有製剤の添付文書について、2019年6月18日、厚生労働省より使用上の注意改訂指示が発出された。 これまで、メトホルミン含有製剤は軽度~中等度腎機能障害の患者も禁忌とされてきたが、今回の改訂でeGFR(推算糸球体濾過量)30未満の重度の腎機能障害患者のみを禁忌とすることになった。これに伴い、腎機能障害患者に対する1日最高用量については、eGFRに基づいた目安が記載される。
高齢者のてんかん治療とADLとの関連 最終更新:2019/06/20 医療一般 高齢者におけるてんかん発作の抑制は、比較的容易であると広く考えられている。これは、高齢者の生活様式がてんかんの治療結果に影響を及ぼしている可能性があるとも考えられる。聖隷浜松病院てんかんセンターの藤本 礼尚氏らは、高齢てんかん患者のADLを調査し、てんかんの治療結果との比較を行った。Psychogeriatrics誌オンライン版2019年5月6日号の報告。 てんかんセンターに紹介された65歳以上の患者177例中、84例がてんかんと診断された。その後ADLレベルに応じて3群(ADL 1群:ADLに支障なし、ADL 2群:一部の手段的日常生活動作のみ支障あり、ADL 3群:一部の基本的なADLに支障あり)に分類し、ADLと治療アウトカムについて検討を行った。てんかん症候群および抗てんかん薬の使用も評価した。
PPI服用、心血管疾患・CKD・上部消化管がんの過剰死亡と関連か/BMJ 最終更新:2019/06/19 ジャーナル四天王 プロトンポンプ阻害薬(PPI)の服用は、心血管疾患・CKD・上部消化管がんに起因する過剰死亡と少なからず関連することが明らかにされた。米国・セントルイス退役軍人ヘルスケアシステムのYan Xie氏らによる長期観察コホート研究の結果で、BMJ誌2019年5月29日号で発表した。著者は「結果はPPI服用への警戒感を高めることを支持するものだった」とまとめている。これまでに、PPI服用は重篤な有害事象と関連しており、全死因死亡リスクを増大することが報告されていた。
NSCLC1次治療、ペムブロリズマブ+化学療法のOS、PFS2(KEYNOTE-189)/ASCO2019 最終更新:2019/06/19 医療一般 未治療の転移を有する非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)での1次治療としてのペムブロリズマブとプラチナベースの化学療法の併用は、化学療法のみと比べ、PD-L1発現レベルにかかわらず、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、2次治療までの無増悪生存期間(PFS2)を約2倍に有意に改善することがプラセボ対照無作為化二重盲検第III相試験KEYNOTE-189の解析結果から明らかになった。米Karmanos Cancer InstituteのShirish M. Gadgee氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。 同試験の対象は、再発・転移のある無治療のStageIV扁平上皮NSCLC患者616例。
抗てんかん薬、皮膚がんリスクと関連? 最終更新:2019/06/19 医療一般 抗てんかん薬と皮膚がんリスクとの関連を検討した、デンマーク・南デンマーク大学のKasper Bruun Kristensen氏らの報告によると、大半の抗てんかん薬では、皮膚がんとの関連は認められなかったが、カルバマゼピンとラモトリギンで有棘細胞がん(SCC)との関連が認められたという。抗てんかん薬には光感作性のものがあるが、これまで、それらが皮膚がんリスクを増大するかは不明であった。なお、本検討では皮膚がんの重要なリスク因子に関するデータ(日光曝露など)が入手できず、結果は限定的であった。著者は、「所見が再現性のあるものか、また、さらにほかの設定で特性付けられるかを調べる必要があり、直接的な臨床的意味のあるものではない」と述べている。
うつ病に対するアリピプラゾール増強療法と血漿ホモバニリン酸レベル 最終更新:2019/06/19 医療一般 福島県立医科大学の堀越 翔氏らは、うつ病に対する低用量(LD)および高用量(HD)のアリピプラゾール増強療法の有効性を評価するため、ランダム化比較試験を行った。さらに、アリピプラゾール増強療法中の臨床反応と血漿ホモバニリン酸(pHVA)レベルの変化との関係を調査した。Human Psychopharmacology誌2019年5月号の報告。 抗うつ薬に対し治療反応不十分なうつ病患者31例を対象として、LD(3mg/日)群17例またはHD(最大12mg/日)群14例にランダムに割り付け、6週間にわたるアリピプラゾール増強療法を行った。ベースライン、2週目、試験終了時に、Montgomery-Asbergうつ病評価尺度(MADRS)による評価およびpHVAの測定を行った。
TNBCへのアテゾリズマブ+nab-PTX、PD-L1陽性でより良好な生存ベネフィット(IMpassion130)/ASCO2019 最終更新:2019/06/19 医療一般 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)1次治療における抗PD-L1抗体アテゾリズマブ+nab-パクリタキセル(PTX)併用療法についての試験結果の第1報は、すでに2018年のNEJM誌にてPFSの改善が報告されている。この試験は二重盲検プラセボ対照の第III相試験である。今回はその2回目の中間解析結果が、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、英国・Barts Cancer InstituteのPeter Schmid氏より発表された。 試験デザイン ・対象:未治療の進行・再発TNBCで、PD-L1検査可能な患者
ダラツムマブ併用で、多発性骨髄腫の厳格な完全奏効が改善/Lancet 最終更新:2019/06/18 ジャーナル四天王 初発多発性骨髄腫の治療において、自家造血幹細胞移植の前後に、ボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン(VTd)にダラツムマブ(商品名:ダラザレックス)を併用した薬物療法(D-VTd)を行うと、VTd単独と比較して、厳格な完全奏効(sCR)の割合が有意に改善し、毒性は許容範囲内であることが、フランス・University Hospital Hotel-DieuのPhilippe Moreau氏らが実施したCASSIOPEIA試験で示された。研究の成果はLancet誌オンライン版2019年6月3日号に掲載された。ダラツムマブは、CD38を標的とするIgG1κモノクローナル抗体。多発性骨髄腫の第III相試験において、ボルテゾミブ+デキサメタゾン、レナリドミド+デキサメタゾン、ボルテゾミブ+メルファラン+プレドニゾンに、それぞれダラツムマブを併用すると、病勢進行または死亡のリスクが、少なくとも50%低減し、微小残存病変陰性の割合が3倍になることが確認されている。
ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブ、国内承認/中外 最終更新:2019/06/18 医療一般 中外製薬は、2019年6月18日、ROS1/TRK阻害薬エヌトレクチニブ(商品名:ロズリートレク)について、「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌」を効能・効果とした製造販売承認を厚生労働省より取得したと発表。エヌトレクチニブは、先駆け審査指定制度対象品目、希少疾病用医薬品の指定を受けていた。