日本語でわかる最新の海外医学論文|page:512

ADHDと食事パターンとの関連~メタ解析

 注意欠如・多動症(ADHD)は、不注意、衝動性、多動の持続的な症状を特徴とする神経生物学的障害である。これまでも、小児期の食事と潜在的なADHDの病因との関連について調査されている。ブラジル・ペロタス連邦大学のBianca Del-Ponte氏らは、ADHDと食事パターンとの関連についてのエビデンスをシステマティックにレビューした。Journal of Affective Disorders誌2019年6月1日号の報告。  PubMed、LILACS、PsycINFOのデータベースより、独立した2人のレビューアーが文献検索を行った。対象は、小児および青年における食事パターンとADHDについて評価した研究とした。研究間の異質性は、推定値をプールしたランダム効果モデルを用いて評価した。

非扁平上皮NSCLCへの維持療法、Bev対Pem対Bev+Pem(ECOG-ACRIN 5508)/ASCO2019

 進行非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)患者における維持療法として、ベバシズマブ、ペメトレキセド、およびその併用の3群を比較した第III相ECOG-ACRIN 5508試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で、米国・Winship Cancer Institute of Emory UniversityのSuresh Ramalingam氏が発表した。  これらの結果を受けてRamalingam氏は、併用群では、Bev群と比較してPFS中央値を延長したものの、OS中央値は有意な差が認められなかったと結論付けている。

狭心症の冠動脈血行再建の適応判定、MRIはFFRに非劣性/NEJM

 冠動脈疾患のリスク因子を有する安定狭心症患者における冠動脈血行再建の適応の判定法として、心筋灌流心血管磁気共鳴画像(MRI)は冠血流予備量比(FFR)と比較して血行再建の施行率が低く、1年後の主要有害心イベント(MACE)に関して心血管MRIはFFRに対し非劣性であることが、ドイツ・フランクフルト大学病院のEike Nagel氏らが実施した「MR-INFORM試験」で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2019年6月20日号に掲載された。安定狭心症患者では、血行再建の適応の判定にこれら2つの戦略が用いられることが多いが、MACEとの関連におけるこれらの非劣性は確立されていないという。

中間~高リスク前立腺がんの放射線治療、超寡分割照射は有効か/Lancet

 中間~高リスクの前立腺がんの治療において、超寡分割放射線治療は通常分割放射線治療に対し、治療奏効維持生存(failure-free survival:FFS)率に関して非劣性であり、早期の副作用の頻度は高いものの晩期の副作用の割合は同等であることが、スウェーデン・ウメオ大学のAnders Widmark氏らが行ったHYPO-RT-PC試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年6月18日号に掲載された。中程度寡分割照射は、従来の通常分割照射に比べ臨床アウトカムが良好であることが示されているが、超寡分割照射に関する無作為化試験の報告はなかったという。

脳卒中治療の進歩により死亡率はどこまで減少したか?(解説:有馬久富氏)-1067

イングランド全域における脳卒中による死亡率の推移がBMJに掲載された。その結果によると、2001~10年までの10年間に脳卒中による年齢調整死亡率は半減した。その多く(7割程度)は致死率の低下によりもたらされており、神経画像診断の進歩・脳梗塞に対する血栓溶解療法の適応拡大・血管内治療の出現など脳卒中治療の改善が大きく寄与したものと考えられる。一方、脳卒中発症率の推移をみると、10年間に約2割程度しか減少していない。さらに悪いことに、55歳未満では脳卒中発症率が増加していた。INTERSTROKE研究2)で示唆されたように脳卒中発症の9割が予防できるにもかかわらず、十分に予防できていないのは非常に残念である。

日本における認知障害から認知症までの診断経路

 米国・メルクアンドカンパニーのChristopher M. Black氏らは、日本における認知障害から認知症までの診断経路を定量化するため、検討を行った。Alzheimer Disease and Associated Disorders誌オンライン版2019年5月22日号の報告。  認知障害患者とその担当医を対象とした、実臨床の横断的調査を実施した。  主な結果は以下のとおり。 ・医師106人より1,107例の患者データが提供された。 ・最初の症状発現から診察に訪れるまでの平均期間は、7.4±6.9ヵ月であり、診察時に中等度または重度の認知障害が認められた患者の割合は、42%であった。

会員医師の約60%が現在の年収に満足

 ケアネットでは、5月30日(木)~6月3日(月)に会員医師1,000人(各年代200人ずつ)を対象に、インターネットによる「年収に関するアンケート」を行った。その中で、ご自身の年収額が妥当と思うかと尋ねたところ、25%が「そう思う」、34%が「ややそう思う」と回答し、約6割の医師が、現在の年収におおむね満足していることがわかった。  年収額の妥当性について年収帯別にみると、600万円未満のうち50%が、600~800万円のうち33%が、800~1,000万円の51%が「そう思う」または「ややそう思う」と回答していた。同様に、1,000~1,200万円の年収帯でも50%、800~1,000万円で51%と大きく変わることがなく、1,600~1,800万円でようやく60%を超えるなど、満足感の差はフラット化している傾向だった。

局所進行非小細胞肺がん、予防的全脳照射のメリットは?/JAMA Oncol

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者への予防的全脳照射(PCI)は有益か無益か。カナダ・プリンセスマーガレットがんセンターのAlexander Sun氏らは、RTOG 0214試験の最新の長期追跡結果より、治療後の病勢進行を認めないStageIIIの局所進行NSCLC(LA-NSCLC)患者において、PCIは5年および10年脳転移率を低下し、5年および10年無病生存期間(DFS)を改善したが、全生存期間(OS)は改善しなかったことを報告した。ただし、結果を踏まえて著者は、「主要評価項目を達成できなかったが、今回の長期結果は将来の研究に役立つ多くの重要な知見をもたらした。PCIが適切な患者集団と安全な介入を特定することが重要である」とまとめている。

薬剤コーティングバルーンが高出血リスク患者へのPCIに有効/Lancet

 出血リスクが高い患者に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において、薬剤コーティングバルーンはベアメタルステントに比べ優れていることが示された。フィンランド・North Karelia Central HospitalのTuomas T. Rissanen氏らが、同国内5施設で実施した単盲検無作為化非劣性試験「Drug-Eluting Balloon in stable and Unstable angina Trial:DEBUT試験」の結果を報告した。抗血小板療法や抗凝固療法の進歩、あるいは新世代薬剤溶出ステント(DES)の導入にもかかわらず、現状では、高出血リスク患者におけるPCIの最適な技術はわかっていない。Lancet誌オンライン版2019年6月13日号掲載の報告。

軽症脳卒中/TIA患者への血小板反応性が低い薬物療法は?/BMJ

 チカグレロル+アスピリン併用療法を受けた軽症脳卒中または一過性脳虚血発作(TIA)患者、とくにCYP2C19機能喪失型変異保有者では、クロピドグレル+アスピリン併用療法を受けた患者と比較して、高い血小板反応性を示す患者の割合が低いことが示された。中国・首都医科大学のYilong Wang氏らが、軽症脳卒中/TIA患者を対象にチカグレロル+アスピリンのクロピドグレル+アスピリンに対する優越性を検証する第II相非盲検(評価者盲検)無作為化比較試験「Platelet Reactivity in Acute Stroke or Transient Ischaemic Attack trial:PRINCE試験」の結果を報告した。急性冠症候群においては、チカグレロル+アスピリン併用はクロピドグレル+アスピリン併用と比較し、CYP2C19の変異の有無にかかわらず有効であることが示されているが、軽症脳卒中/TIA患者では検証されていなかった。BMJ誌2019年6月6日号掲載の報告。

メタゲノム解析による中枢神経感染症の原因診断(解説:吉田敦氏)-1068

髄膜炎・脳炎といった中枢神経感染症では、速やかな原因微生物の決定と、適切な治療の開始が予後に大きな影響を及ぼす。ただし現実として、原因微生物が決定できない例のみならず、感染症と判断することに迷う例にも遭遇する。抗菌薬の前投与があれば、脳脊髄液(CSF)の培養は高率に偽陰性となるし、CSFから核酸ないし抗原検査で決定できる微生物の種類も限られている。このような例について、病原微生物の種類によらず遺伝子を検出できる次世代シークエンサー(NGS)によるメタゲノム解析を用いれば、原因微生物を決定でき、マネジメントも向上するのではないか―という疑問と期待はかねてから存在していた。

終末期患者における口腔ケアの必要性

 「最期まで口から食べたい」の思いに応えようと、終末期の口腔ケアは最近のトピックの1つになっている。イタリア・Antea Palliative Care UnitのCaterina Magnani氏らは、ホスピスの入院患者を対象に口腔ケアの影響を調査し、患者は口腔内の変化が多く、その機能が部分的に障害され生活の質が低下していること、そして標準的な口腔ケアは手短に実施可能で、口腔の状態、症状および患者の快適さが改善したことを明らかにした。検討が行われた背景には、「緩和ケアでは口腔の問題がしばしばみられ、口腔顔面痛、味覚障害および口内乾燥など日常生活に支障を来す症状が引き起こされており、口腔ケアが不可欠だが、さまざまな複雑な患者のニーズを管理しなければならないときは優先事項と見なされないことが少なくない」との問題意識があったという。

骨粗鬆症治療薬が筋力を左右する?

 骨粗鬆症治療を受けている患者は骨折リスクだけではなく、筋力の低下も問題である。そんな患者を抱える医師へ期待できる治療法の研究結果を紹介すべく、2019年6月14日、第19回日本抗加齢医学会総会にて宮腰 尚久氏(秋田大学大学院整形外科学講座 准教授)が「骨粗鬆症治療薬による筋力とバランスの変化」について講演した。

オンコマインは4つのドライバー遺伝子を同時測定するコンパニオン診断システム

 肺がん治療においては、現在、4つのドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)に対して分子標的薬が承認されている。6月1日、これら4つのドライバー遺伝子を少量の検体で同時に測定できるコンパニオン診断システム「オンコマイン Dx Target Test マルチCDxシステム」(以下オンコマイン)が保険収載された。6月10日に開催されたメディアセミナー(サーモフィッシャーサイエンティフィック/ノバルティス ファーマ共催)で、後藤 功一氏(国立がん研究センター東病院呼吸器内科長/サポーティブケアセンター長)が有効な治療薬を患者さんに届けることの重要性を強調した。

頭頸部扁平上皮がん1次治療にペムブロリズマブが新たなスタンダードに(KEYNOTE-048)/ASCO2019

 転移のある頭頸部がんでは従来から治療薬の選択肢が少ないことで知られ、免疫チェックポイント阻害薬の登場により全生存期間(OS)の延長効果が認められるようになったことが注目されている。  これまで頭頸部がん1次治療としてのペムブロリズマブ+化学療法はセツキシマブ+化学療法に比べて、PD-L1発現陽性およびすべての集団でOSを改善することがオープンラベル無作為化比較第III相臨床試験「KEYNOTE-048」の最終解析からわかった。同試験についてオーストラリアのPeter MacCallum Cancer Centreの Danny Rischin氏らが米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2019)で発表した。

メマンチン補助療法の精神疾患に対する有効性をメタ解析

 N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体拮抗薬であるメマンチンは、アルツハイマー型認知症に限らず、統合失調症、双極性障害、うつ病を含む主な精神疾患の治療に用いられることがある。中国・広州医科大学のWei Zheng氏らは、統合失調症、双極性障害、うつ病に対するメマンチン補助療法の有効性および忍容性に関するメタ解析を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年6月1日号の報告。

脳脊髄液のメタゲノムNGSで中枢神経系感染症の診断精度向上/NEJM

 特発性髄膜炎や脳炎、脊髄炎の患者において、脳脊髄液(CSF)のメタゲノム次世代シークエンシング(NGS)を行うことで、他の検査では診断されなかった中枢神経系感染症を検出でき、診断精度が上がることが明らかにされた。米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校の Michael R. Wilson氏らが、204例の患者を対象に行った多施設共同前向き試験の結果で、NEJM誌2019年6月13日号で発表した。CSFのメタゲノムNGSは、単回テストでさまざまな種類の病原体を特定できるとされている。

人工呼吸器離脱の成功率が高いのは?圧制御vs.Tピース/JAMA

 人工呼吸器で24時間以上管理された患者に対し、抜管のために自発呼吸トライアル(SBT)を行う際、圧制御換気SBTを30分実施するほうが、Tピース換気SBTの2時間実施に比べ、抜管成功率が有意に高いことが示された。スペイン・マンレザ大学のCarles Subira氏らが、1,153例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果で、JAMA誌2019年6月11日号で発表した。人工呼吸器の離脱の適切性を見極めるには、SBTが最も良い方法だと考えられているが、その際の換気モードや実施時間については明確にはなっていなかった。今回の結果を踏まえて著者は、「より短時間で負荷の少ない換気戦略をSBTに用いることを支持する所見が示された」とまとめている。

SCARLET試験:敗血症関連凝固障害に対する遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモジュリンの有効性(解説:小金丸博氏)-1066

敗血症関連凝固障害はINR延長や血小板数低下で定義され、28日死亡率と相関することが報告されている。遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモジュリン(rhsTM)製剤は、播種性血管内凝固(DIC)が疑われる敗血症患者を対象とした第IIb相ランダム化試験の事後解析において、死亡率を下げる可能性が示唆されていた。今回、敗血症関連凝固障害に対するrhsTM製剤の有効性を検討した第III相試験(SCARLET試験)の結果が発表された。本試験は、26ヵ国159施設が参加した二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験であり、集中治療室に入室した心血管あるいは呼吸器障害を伴う敗血症関連凝固障害患者を対象とした。

低リスク患者へのTAVR vs.SAVR、5年フォローアップの結果【Dr.河田pick up】

 NOTION(Nordic Aortic Valve Intervention:北欧大動脈弁インターベンション)trialは、70歳以上で孤立性の重症大動脈弁狭窄を持つ患者を対象に経皮カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)と外科的大動脈弁置換術(SAVR)を比較する目的で行われた試験である。このたび、5年間のフォローアップ後における臨床経過および心エコーの結果が示された。Hans Thyregod氏らの研究グループがCirculation誌6月号に発表(オンライン発表は2月)。  患者は北欧の3つの施設からリクルートされ、自己拡張型コアバルブ人工弁(145例)もしくは外科的ステント付き生体弁の植込み(135例)に、1:1の割合で無作為に割り付けられた。1次複合エンドポイントは、1年目における、Valve Academic Research Consortium-2 (VARC-2)基準に基づく全死亡率、脳卒中および心筋梗塞。