新規作用機序のimeglimin、インスリン併用下の有効性・安全性 最終更新:2019/11/29 医療一般 2型糖尿病の新規治療薬候補として期待されるimegliminは、ミトコンドリアの機能障害改善という新しいメカニズムを持つ。現在、本剤の開発を手掛けるフランスのバイオ医薬品企業Poxel SA(以下、Poxel社)は、大日本住友製薬と共同で、日本人1,100例以上を対象とした3つの第III相臨床試験で構成される「TIMES試験」(Trials of IMeglimin for Efficacy and Safety)を実施中だ。 2019年11月26日、Poxel社は、2型糖尿病を対象とし、わが国で実施されたimegliminとインスリンの併用療法を評価するTIMES3試験の、非盲検下36週間継続投与試験における結果を公表した。
切除不能肝細胞がんへのアテゾリズマブ+ベバシズマブ、全死亡リスクが42%低下(IMbrave150)/ESMO Asia 2019 最終更新:2019/11/29 医療一般 全身薬物療法を受けていない切除不能の肝細胞がん(HCC)患者に対して、アテゾリズマブ(商品名:テセントリク)とベバシズマブ(同:アバスチン)の併用をソラフェニブ単剤と比較した第III相IMbrave150試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)のいずれにおいても統計学的に有意な改善が示された。11月23日、欧州臨床腫瘍学会アジア大会(ESMO Asia)2019にて発表された。 IMbrave150試験は、全身薬物療法を受けていない切除不能なHCC患者を対象とした多施設共同オープンラベル無作為化第III相試験。501例をアテゾリズマブ(1日目に1,200mg静脈内投与、3週ごと)とベバシズマブ(1日目に15mg/kg静脈内投与、3週ごと)の併用群、ソラフェニブ(1〜21日目に400mg/回を1日2回経口投与、3週ごと)単剤群に2:1で割り付け、両群とも主治医判定で病勢進行もしくは忍容できない毒性出現のいずれかまで継続した。主要評価項目は OSとRECIST v1.1 に基づく中央判定によるPFSで、副次評価項目は、RECIST v1.1および HCCmRECISTに基づく主治医判定による奏効率、無増悪期間、奏効期間、患者報告アウトカム、安全性、薬物動態であった。
赤肉摂取減らしても心血管代謝・がん死亡に効果なし? 最終更新:2019/11/29 医療一般 赤肉の摂取量を減らした場合、臨床的に重篤なアウトカムに効果があるかどうかを検討した無作為化研究はほとんどない。今回、カナダ・McMaster大学のDena Zeraatkar氏らの無作為化研究の系統的レビューから、エビデンスの確実性は低いが、赤肉を制限した食事が主な心血管代謝アウトカムとがん死亡および発症に対して、ほとんどまたはまったく影響しない可能性が示唆された。Annals of Internal Medicine誌オンライン版2019年10月1日号に掲載。
プライマリケアにおけるセルトラリンの臨床的有効性~PANDA研究 最終更新:2019/11/29 医療一般 うつ病のケアは、プライマリケアで行われることが多い。しかし、ほとんどの抗うつ薬の試験では、うつ症状の診断と重症度に基づいた適格基準を有する2次医療圏の精神保健サービスの患者を対象としている。抗うつ薬は、これまでの臨床試験の対象患者よりもはるかに幅広い患者に用いられている。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのGemma Lewis氏らは、軽度~重度のうつ症状を伴うプライマリケア患者を対象に、セルトラリンの臨床効果を調査し、治療反応に対する重症度と期間との関連について検討を行った。The Lancet. Psychiatry誌2019年11月号の報告。
EGFR変異NSCLC、ゲフィチニブ+化学療法併用(NEJ-009)/JCO 最終更新:2019/11/29 医療一般 EGFR遺伝子変異陽性の進行非小細胞肺がん(NSCLC)の1次治療について、標準療法のEGFR-TKI単独療法 vs.EGFR-TKI+化学療法を比較した、日本発の検討結果が発表された。がん・感染症センター東京都立駒込病院の細見幸生氏らによる、未治療のEGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者を対象とした第III相臨床試験「NEJ009試験」の結果で、ゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド併用療法はゲフィチニブ単独療法群と比較して、毒性プロファイルは許容でき、無増悪生存期間(PFS)および全生存(OS)期間が延長することが示されたという。ただし、著者は、「OSの有益性についてはさらなる検証が必要である」とまとめている。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2019年11月4日掲載の報告。
TAVR後、抗凝固療法不適患者へのリバーロキサバンは?/NEJM 最終更新:2019/11/28 ジャーナル四天王 経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)に成功した経口投与による抗凝固療法の適応のない患者に対し、直接作用型第Xa因子阻害経口抗凝固薬リバーロキサバン(10mg/日)を含む治療戦略は、アスピリンをベースとした抗血小板薬の治療戦略に比べ、死亡または血栓塞栓症の複合リスクが有意に高く、出血リスクも高いことが明らかにされた。米国・マウントサイナイ医科大学のGeorge D. Dangas氏らが、1,644例を対象に行った無作為化比較試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年11月16日号で発表した。リバーロキサバンがTAVR後の血栓塞栓症イベントを予防可能かどうかは明らかにされていなかった。
スマートウォッチの不整脈通知、心房細動の陽性適中率は84%/NEJM 最終更新:2019/11/28 ジャーナル四天王 スマートウォッチ(Apple Watch)とスマートフォン(Apple iPhone)のアプリケーションを活用したモニタリングで不整脈が検出通知されたのは約0.52%と低率であったが、検出者に心電図(ECG)パッチを郵送し遠隔モニタリング診療を行った結果、その後に34%で心房細動がみられた。スマートウォッチの不整脈通知とECGパッチによる心房細動が同時に観察された割合(陽性適中率)は84%だったという。米国・スタンフォード大学のMarco V. Perez氏らが、約42万人を対象に行った大規模試験で明らかにし、NEJM誌2019年11月14日号で発表した。装着可能な光学センサー機器は不整脈の検出を可能とするが、光学センサーを搭載したスマートウォッチとアプリケーションの組み合わせで心房細動を特定できるかは明らかにされていなかった。
メトホルミンとDPP-4阻害薬との早期併用療法の有効性は実証されたか?(解説:住谷哲氏)-1144 最終更新:2019/11/28 CLEAR!ジャーナル四天王 2型糖尿病患者には程度の差はあるがインスリン抵抗性とインスリン分泌不全の両者が存在する。したがって病態生理学的にはその両者に早期から介入する薬物療法が、その一方だけに介入する薬物療法よりも血糖管理においてより有効であることは理解しやすい。血糖降下薬の有効性を評価する指標はいくつもあるが、どれだけ長期間にわたってHbA1cを<7.0%に維持可能であるかを示すdurabilityもその1つである。インスリン抵抗性改善薬であるメトホルミンとインスリン分泌不全改善薬のDPP-4阻害薬であるビルダグリプチンを診断直後から併用することが(early combination therapy:早期併用療法)、メトホルミン単剤で治療を開始して血糖コントロールが維持できなければビルダグリプチンを併用する段階的治療(sequential metformin monotherapy:段階的治療群)に比較してdurabilityを延長できるか否かを検討したのが本試験である。
全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019、本邦で初めて発刊 最終更新:2019/11/28 医療一般 2019年10月、日本初の『全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019』が発刊された。全身性エリテマトーデス(SLE)はさまざまな全身性疾患を伴うため、治療の標準化が困難であったことからガイドラインの作成着手までに時間を要してきた。全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019は専門医を対象とし、SLEの臨床的多様性に対応する総合的なガイドラインとして作成されている。 サノフィ株式会社は2019年10月30日、メディアラウンドテーブル「本邦初の全身性エリテマトーデス(SLE)診療ガイドライン発行~SLE診療の現在 医師と患者の立場から~」を開催。全身性エリテマトーデス診療ガイドライン統括委員会の委員長を務めた渥美 達也氏(北海道大学大学院医学研究院免疫・代謝内科学教室 教授)が「SLE診療の標準化~全身性エリテマトーデス(SLE)診療ガイドライン~」について講演した。会の後半では患者代表の後藤 眞理子氏(全国膠原病友の会神奈川県支部 支部長)を交えてトークセッションが行われた。
扁平上皮肺がんの抗EGFR抗体ネシツムマブ発売/日本化薬 最終更新:2019/11/28 医療一般 日本化薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長:涌元厚宏、以下「日本化薬」)は、2019年11月22日、抗悪性腫瘍剤ヒト型抗EGFRモノクローナル抗体ネシツムマブ(商品名:ポートラーザ)を発売した。ポートラーザは、進行・再発扁平上皮非小細胞肺がんの治療薬としてイーライリリー・アンド・カンパニーが2015年より欧米にて販売しているヒト型抗EGFRモノクローナル抗体である。2019年8月1日付で日本化薬が日本イーライリリー社より製造販売権を承継し、発売準備を行っていた。
統合失調症の残存症状による再発予測~PROACTIVE研究の再解析 最終更新:2019/11/28 医療一般 経口または長時間作用型持効性注射剤(LAI)の抗精神病薬で治療されている統合失調症患者の再発を予測するうえで、残存症状の影響はこれまであまり注目されていなかった。慶應義塾大学の齋藤 雄太氏らは、PROACTIVE(Preventing Relapse: Oral Antipsychotics Compared To Injectables: Evaluating Efficacy)研究のデータを用いて、統合失調症の残存症状による再発の予測について検討を行った。Schizophrenia Research誌オンライン版2019年10月28日号の報告。
NASHに有効? resmetiromが肝脂肪量を減少/Lancet 最終更新:2019/11/27 ジャーナル四天王 非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療において、resmetirom(MGL-3196)はプラセボに比べ、肝臓の脂肪量を相対的に減少させることが、米国・Pinnacle Clinical ResearchのStephen A. Harrison氏らが行ったMGL-3196-05試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年11月11日号に掲載された。NASHは、肝臓の脂肪化、炎症、肝細胞障害、進行性の肝線維化で特徴付けられる。resmetiromは、肝臓に直接作用し、経口投与で活性化する甲状腺ホルモン受容体β活性化薬であり、肝臓の脂肪代謝を促進し、脂肪毒性を低減することでNASHが改善するよう設計されているという。
STEMI症例ではXienceよりOrsiroが優れている?(解説:上田恭敬氏)-1143 最終更新:2019/11/27 CLEAR!ジャーナル四天王 PCIを施行するSTEMI患者1,300症例1,623病変を対象として、Orsiro stentとXience Xpedition/Alpine stentを比較した多施設無作為化比較試験(BIOSTEMI試験)の結果が報告された。主要エンドポイントは1年のTarget lesion failure(TLF)(心臓死、標的血管での心筋梗塞、 標的病変再血行再建術の複合エンドポイント)である。スイスの10病院が参加した医師主導型の臨床試験である。
初潮や出産年齢と乳がん患者の死亡リスク:日本人前向きコホート 最終更新:2019/11/27 医療一般 初潮、閉経、出産など女性の生殖要因は乳がんの発症だけでなく、進行や生存率とも関連する可能性があるが、そのエビデンスは限られている。東北大学の南 優子氏らは、日本人乳がん患者における生殖要因と、腫瘍特性や生存率の関連を前向きに検討した。Breast Cancer誌2019年11月号の報告より。 1997年から2013年の間に日本の単施設で乳がんと診断された患者1,468例を対象として、生殖要因と腫瘍特性、生存率の関連が分析された。2016年までの追跡期間中央値8.6年において、全死因死亡272例、乳がんによる死亡199例が報告されている。
不眠症状と心血管疾患リスク~50万人の10年間コホート研究 最終更新:2019/11/27 医療一般 中国・北京大学健康科学センターのBang Zheng氏らは、不眠症状と心・脳血管疾患(CVD)発症リスクとの関連を調査し、リスク軽減が可能な因子を特定するため検討を行った。Neurology誌オンライン版2019年11月6日号の報告。 中国全土の10地域から参加者を募集したプロスペクティブコホート研究であるChina Kadoorie Biobankとして実施した。ベースライン時に脳卒中、冠動脈精神疾患、がんのいずれもない30~79歳の成人48万7,200人を対象にデータ分析を行った。ベースライン時の3つの不眠症状(入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒)および3日/週以上の日中の機能障害を自己報告により評価した。CVD発症は、2016年までの疾病レジストリおよび健康保険データベースよりフォローした。
brigatinibのALK陽性肺がん1次治療の結果、ESMO Asiaで発表/武田 最終更新:2019/11/27 医療一般 武田薬品工業は、2019年11月25日、同社グローバルサイトにて、ALK阻害薬による治療歴のない進行ALK陽性の非小細胞肺がんの成人患者に対するbrigatinibとクリゾチニブを評価した臨床第III相ALTA-1L試験の最新情報を発表した。 試験結果では、2年以上の追跡後も、brigatinibが登録時に脳転移を有した未治療の患者に対する治験責任医師評価において、病状進行または死亡リスクを76%低下させることが示された(ハザード比[HR]:0.24、95%信頼区間[CI]: 0.12~0.45)。また、brigatinibは、全患者においても病状進行または死亡リスクを57%低下させることを示した(HR:0.43、95%CI::0.31~0.61)。
強直性脊椎炎に、選択的JAK1阻害薬upadacitinibが有効/Lancet 最終更新:2019/11/26 ジャーナル四天王 非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)への反応が不十分またはNSAIDが禁忌の強直性脊椎炎患者の治療において、upadacitinibはプラセボに比べ、疾患活動性、腰背部痛、身体機能、炎症の統合指標(ASAS40)を改善し、忍容性も良好であることが、オランダ・ライデン大学医療センターのDesiree van der Heijde氏らが行ったSELECT-AXIS 1試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年11月12日号に掲載された。体軸性脊椎関節炎は、炎症性の腰背部痛、脊椎可動性の制限、付着部炎、末梢関節/関節外症状を特徴とする慢性進行性のリウマチ性疾患であり、X線所見で仙腸関節炎の十分な証拠がある場合に、強直性脊椎炎と呼ばれる。JAKシグナル伝達経路は、強直性脊椎炎の治療標的となる可能性が示唆されている。upadacitinibは選択的JAK1阻害薬であり、乾癬性関節炎や潰瘍性大腸炎、クローン病、アトピー性皮膚炎などの免疫性炎症性疾患の治療薬としても開発が進められている。
サッカー選手は認知症になりやすい?(解説:岡村毅氏)-1142 最終更新:2019/11/26 CLEAR!ジャーナル四天王 サッカー選手はアルツハイマー型認知症になりやすいという論文だ。ああクリスマスか、と思ったがちょっと待て、まだ11月である。BMJのクリスマス号(英国ジョークのひねりの効いた論文が掲載される特別号)ではなく、真面目な論文であった。元プロサッカー選手と一般人口を比較すると、元サッカー選手は当然ながら健康なので死亡は少ないし、虚血性心疾患も少ない。しかし神経変性疾患は多く、アルツハイマー型認知症についてはおよそ5倍である。
血中トランス脂肪酸と認知症リスク~久山町研究 最終更新:2019/11/26 医療一般 トランス脂肪酸と認知症との関連はよくわかっていない。九州大学の本田 貴紀氏らは、トランス脂肪酸の客観的バイオマーカーである血清エライジン酸(trans 18:1 n-9)レベルと認知症やそのサブタイプとの関連をプロスペクティブに調査した。Neurology誌オンライン版2019年10月23日号の報告。 対象は、2002~03年にスクリーニング検査を受け、2012年11月までフォローアップ(期間中央値:10.3年、四分位範囲:7.2~10.4)を行った、認知症でない60歳以上の日本人高齢者1,628人。血清エライジン酸レベルは、ガスクロマトグラフィー質量分析法を用いて測定し、四分位に分類した。血清エライジン酸レベルとすべての原因による認知症、アルツハイマー病(AD)、血管性認知症のハザード比を推定するために、Cox比例ハザードモデルを用いた。
C型肝炎ウイルスの薬剤耐性変異、世界規模で検証 最終更新:2019/11/26 医療一般 直接作用型抗ウイルス治療薬(DAA)の登場により、C型肝炎の治療は大幅に改善された。しかしその治療奏効率は、C型肝炎ウイルス(HCV)の薬剤耐性変異により低下する可能性がある。現在、DAAにはNS3/4Aプロテアーゼ阻害薬、NS5A阻害薬、NS5Bポリメラーゼ阻害薬があり、それぞれグレカプレビル、ピブレンタスビル、ソホスブビルなどが臨床で使用されている。今回、それらに対する耐性変異について、世界的状況を中国・復旦大学のZhenqiu Liu氏らがメタ解析により検討した。その結果、114個の耐性変異を同定し、頻度や種類は日本、米国、ドイツ、タイ、英国で多いことを示した。Clinical Gastroenterology and Hepatology誌オンライン版2019年11月1日号掲載の報告。