日本語でわかる最新の海外医学論文|page:363

新型コロナ外来患者へのbamlanivimab+etesevimab、第III相試験結果/NEJM

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症化リスクが高い外来患者において、bamlanivimab+etesevimab併用療法はプラセボと比較して、COVID-19関連入院および全死因死亡の発生率を低下し、SARS-CoV-2ウイルス量の減少を促進することが示された。米国・ハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院のMichael Dougan氏らが、同併用療法の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験「BLAZE-1試験」の結果を報告した。基礎疾患を有するCOVID-19患者は重症化リスクが高い。ワクチン由来では時間をかけて免疫がつくのに対し、中和モノクローナル抗体は即時に受動免疫をもたらし、疾患の進行や合併症を抑制できる可能性が期待されていた。NEJM誌オンライン版2021年7月14日号掲載の報告。

心血管疾患の1次予防、スタチンは有益性・有害性のバランス良好/BMJ

 心血管疾患の1次予防において、スタチンの有害事象リスクは心血管疾患の予防効果を上回るものではなく、有益性と有害性のバランスは概して良好であることが示唆された。一方で、安全性の懸念を考慮し治療開始前にスタチンの種類や投与量を調整することを支持するエビデンスは限定的だったという。英国・オックスフォード大学のTing Cai氏らが、ネットワークメタ解析によるシステマティックレビューの結果を報告した。現行のスタチンの種類および投与量に関する推奨事項は、異なるレジメンの多様な有害事象は考慮せず、脂質低下効果に基づくものとなっていることから、研究グループは心血管疾患の1次予防におけるスタチンと有害事象の関連性、種類や投与量別にどのような関連性があるのかを調べた。BMJ誌2021年7月14日号掲載の報告。

HBOCにおけるリスク低減乳房切除術、実施割合の高い女性は?/日本乳癌学会

 わが国では2020年4月、乳がんもしくは卵巣がんの既往歴のある遺伝性乳がん卵巣がん(HBOC)女性に対するリスク低減乳房切除術(RRM)とリスク低減卵巣卵管摘出術(RRSO)が保険適用された。今回、保険適用となる前のJOHBOCデータを用いて、HBOC女性のRRM実施状況を分析した結果について、国立病院機構四国がんセンターの大住 省三氏が第29回日本乳癌学会学術総会で報告した。子供がいる女性、乳房のサーベイランスを実施した女性、RRSOを実施した女性では、RRM実施割合が高かったという。

向精神薬が膀胱機能に及ぼす影響~メタ解析

 イタリア・パルマ大学のMargherita Trinchieri氏らは、向精神薬が膀胱機能に及ぼす影響を評価するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。Neurourology and Urodynamics誌オンライン版2021年5月18日号の報告。  向精神薬で治療された患者における治療誘発性尿路障害に関するランダム化比較試験を、PubMedおよびEmbaseより検索し、システマティックレビューを実施した。  主な結果は以下のとおり。 ・52件の研究が抽出された。 ・抗うつ薬治療では、畜尿症状ではなく、膀胱排尿症状の出現がより頻繁に認められた。 ・プール分析では、プラセボと比較し、排尿症状のオッズ比(OR)が高かった(OR:3.30、信頼区間[CI]:1.90~5.72、7,856例、p<0.001)。 ・排尿機能障害の割合は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)と比較し、三環系抗うつ薬、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)のほうが高かった。 ・抗精神病薬治療では、排尿、畜尿障害を含む不均一な尿障害との関連が認められた。 ・抗精神病薬治療中の認知症患者の尿失禁のORは、プラセボよりも高く(OR:4.09、CI:1.71~9.79、p=0.002)、抗精神病薬間での差は認められなかった。 ・排尿障害の割合は、定型抗精神病薬と非定型抗精神病薬との間に差は認められなかったが(OR:1.64、CI:0.79~3.39、p=0.19)、クエチアピンは、他の非定型抗精神病薬よりも排尿機能障害を起こす可能性が高かった(OR:2.14、CI:1.41~3.26、p>0.001)。

治療抵抗性片頭痛に対するフレマネズマブの有効性

 既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった慢性片頭痛または反復性片頭痛患者に対するフレマネズマブの月1回または四半期ごと投与の有効性を評価するため、チェコ・Vestra ClinicsのLadislav Pazdera氏らは、検討を行った。Cephalalgia誌オンライン版2021年5月14日号の報告。  既存の片頭痛予防の2~4つのクラスを用いた治療に奏効しなかった慢性片頭痛または反復性片頭痛患者をフレマネズマブ四半期ごと投与群、フレマネズマブ月1回投与群、プラセボ群にランダムに割り付けられ、12週間の二重盲検治療を実施したランダム化二重盲検プラセボ対照第IIIb相臨床試験であるFOCUS試験のデータを分析した。

世界の小児期ワクチン接種率、直近10年は頭打ち/Lancet

 1980~2019年の世界の小児期ワクチン接種率の動向を分析した結果、2010年以降は頭打ち、もしくは後退の情勢が明らかになったという。米国・ワシントン大学のStephen S. Lim氏ら、世界の疾病負担研究(Global Burden of Diseases, Injuries, and Risk Factors Study[GBD])2020共同研究グループが、世界や地域、各国における小児期予防接種実施率についてシステマティックに分析し報告した。Lancet誌オンライン版2021年7月15日号掲載の報告。  研究グループは、1980~2019年の国、コホート、実施年、ワクチンの種類、ワクチン投与量の別に、5万5,326のルーチン小児期予防接種の実施データを集めて解析した。時空間ガウス過程回帰モデルを用いて、同期間の204の国と地域における、実施場所・年別の11ルーチン小児期予防接種の実施率を推算した。国が報告したデータは、在庫切れや供給停止の報告に基づき補正を行った。

「ワクチンで不妊、流産」に科学的根拠なし、婦人科系3学会が一般向けQ&A

 7月19日、婦人科系三学会(日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会)は合同で「女性のみなさまへ 新型コロナウイルスワクチン(mRNA ワクチン)Q & A」と題した資料を公開した。  3学会はこれまでも妊産婦や妊娠を希望する女性に対して、新型コロナワクチン接種にあたっての不安を解消するための声明を発表してきた1)2)。しかし、SNS上では「ワクチンを打つと不妊になる」「ワクチンによって月経不順になる」といったエビデンスを欠いた情報が現在も多く流布されており、そうした情報に触れることで不安を持ち、ワクチン接種を見合わせる女性が存在する。ワクチン忌避者の割合は若年女性が年配の男性の3倍程度多い、という調査結果も出ており3)、若年者、とくに女性を対象とした正しいワクチン接種の情報提供が急務となっている。

頭頸部扁平上皮がん1次治療、ニボルマブ+イピリムマブの第III相試験の結果(CheckMate-651)/BMS

 ブリストル マイヤーズ スクイブは、2021年7月16日、プラチナ療法に適格な再発または転移のある頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)患者の1次治療としてニボルマブ(製品名:オプジーボ)とイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)の併用療法をEXTREMEレジメン(セツキシマブ+シスプラチン/カルボプラチン+フルオロウラシルと)と比較した第III相CheckMate-651試験の最新情報を発表した。  オプジーボとヤーボイの併用療法は、のPD-L1陽性(CPS20以上)患者における全生存期間で明確かつ肯定的な改善傾向を示したが、主要評価項目は達成できなかった。

日本人高齢者の認知症発症とソーシャルサポートとの関連

 認知症患者数は、増加を続けており、日本においても2025年には700万人に達するといわれている。認知症の発症予防やマネジメントにおいて、個人レベルの支援に加え、コミュニティレベルのソーシャルサポートが注目されている。日本福祉大学の宮國 康弘氏らは、マルチレベルの生存分析を用いて、コミュニティレベルのソーシャルサポートと認知症発症との関連を調査した。BMJ Open誌2021年6月3日号の報告。  2003年に設立された日本老年学的評価研究のプロスペクティブコホート研究を用いて、コミュニティレベルのソーシャルサポートと認知症発症との関連を調査した。対象は、公的介護保険の給付を受けていない愛知県(7市町村)在住の65歳以上の高齢者1万5,313人(男性:7,381人、女性:7,932人)。認知症発症は、ベースラインから3,436日間にわたる公的介護保険データを用いて評価した。

PTEN欠損mCRPC、ipatasertib+アビラテロンでPFS延長/Lancet

 未治療で無症候性/軽度症候性の転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)へのipatasertib+アビラテロン併用投与は、アビラテロン単独投与に比べ、PTEN欠損を有する患者において無増悪生存(PFS)期間を有意に延長したことが示された。ただしITT集団における有意差は認められなかった。安全性プロファイルは既知のものだったという。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のChristopher Sweeney氏らが、1,100例超を対象に行った第III相多施設共同プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果を報告した。mCRPCでは、PI3K/AKTおよびアンドロゲン受容体経路の調節不全が認められ、PTEN欠損を有する腫瘍ではAKTシグナル伝達の過剰な活性が知られている。こうしたことから研究グループは、AKT阻害薬ipatasertib+アビラテロンによる二重の経路阻害はアビラテロン単独よりも効果が大きい可能性があるとして検討を行った。Lancet誌2021年7月10日号掲載の報告。

新薬GIP/GLP-1受容体ダブルアゴニストは糖尿病診療に新たなインパクトを与えるか?(解説:栗山哲氏)

本論文は、2型糖尿病治療薬として開発された新規薬剤GIP/GLP-1のダブルアゴニストtirzepatideを臨床評価したものである。同剤は、グルコース依存性インスリン刺激性ポリペプチド(GIP)に類似した39個のアミノ酸残基に長鎖脂肪酸を結合させた週1回注射製剤である。本剤の特徴は、グルカゴン様ペプチド(GLP-1)とGIPの両受容体を刺激するダブルアゴニスト製剤として開発されたことである(GIP受容体の単独作動薬はない)。GLP-1受容体作動薬のエビデンスは、多くの臨床研究でその有用性が肯定されている。すなわち、LEADER、SUSTAIN-6、REWINDなどでは心血管イベント(MACE)の改善効果が、さらにLEADER、SUSTAIN-6、AWARD-7などで2型糖尿病腎症の腎エンドポイントにも改善効果が報告されている。

モデルナ製ワクチン後の急性期副反応に備えた、予診票の確認ポイント/自衛隊中央病院

 自衛隊東京大規模接種センターにおける「COVID-19 ワクチンモデルナ筋注」接種者約20万人のデータについて、急性期副反応の詳細を速報としてまとめたデータを自衛隊中央病院がホームページ上で公開した。本解析では急性期副反応を「同センター内で接種後経過観察中(最大30分間)に、何らかの身体的異常を自覚し、同センター内救護所を受診したもの」と定義し、得られた経験・知見を可能な限り医療従事者と共有することで、今後のCOVID-19ワクチン接種の対応向上に資することが目的としている。 <解析の対象と方法> ・2021年5月24日~6月15日に行われたワクチン接種者20万8,154人を対象(すべて1回目接種)。 ・ワクチン接種者の基礎的臨床情報は、厚生労働省より配布される「新型コロナワクチン 予診票」を用いて収集・解析。 ・急性期副反応発症者については全件調査を行い、非発症者についてはランダムサンプリングによる調査を行った。非発症者の母集団平均値の95%信頼区間の許容誤差が2%以下になるよう、サンプルサイズを設定した(n=3,000)。 ・急性期副反応に関する詳細は、当センター救護所で使用した医療記録を用いて収集・解析を行った。アナフィラキシーの診断は、ブライトン分類に基づき2名の医師(内科医および救急医)により判定した。

実臨床におけるナルメフェンの使用状況~フランスでのコホート研究

 フランス・パリ・サクレー大学のHenri-Jean Aubin氏らは、アルコール依存症患者におけるナルメフェンの実際の使用状況およびアルコールによる健康状態への影響を評価した。Alcohol and Alcoholism誌オンライン版2021年5月10日号の報告。  次の2つの補完的研究を用いて評価を行った。USE-PACT研究は、アルコール依存症のマネジメントにおけるナルメフェンの実際の有効性を評価したプロスペクティブコホート研究であり、1年間の総アルコール消費量(TAC)と大量飲酒日数(HDD)の評価を行った。USE-AM研究は、フランスの代表的なレセプトデータベースを用いたコホート研究であり、プロスペクティブ研究における母集団の外的妥当性の評価に用いた。

中国の肥満成人は推定8,500万人/Lancet

 中国では1980年代初頭以降、成人の平均BMI値と肥満の有病率が着実に上昇しているが、直近10年について平均BMI値上昇は減速していることが示された。中国・疾病管理予防センター(CDC)のLimin Wang氏らが、最近の動向を全国的、地域別または特定人口集団別に知り得るために、2004~18年に行われた6つの全国規模の健康サーベイのデータを分析し発表した。一方で性別、地域別、社会経済的状況別にみると異なる傾向が認められ、著者は、「中国の一般集団の肥満について、さらなる増加を防ぐため、よりターゲットを絞ったアプローチの必要性が浮き彫りになった」とまとめている。Lancet誌2021年7月3日号掲載の報告。  研究グループは、中国の成人における平均BMI値と肥満の有病率の長期的および最近の傾向を、さまざまな全国的な非感染性疾患予防プログラムが開始された2010年前後の変化に重点を置き評価した。性別、年齢別、都市部と農村部別、社会経済的状況別で傾向は異なるのかどうかを評価し、2004年と比較した2018年の肥満者数を推算した。

新型コロナ抗原迅速検査、無症状病原体保有者の特定に有用か/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のイムノクロマト法による抗原迅速検査(LFT)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の無症状病原体保有者、とくに他者へ感染させる可能性が高い、高ウイルス量の無症状病原体保有者の特定に有用である可能性が示された。英国・リバプール大学のMarta Garcia-Finana氏らが、リバプール住民を対象にInnova LFTとRT-qPCR法を比較した大規模パイロット試験の結果を報告した。BMJ誌2021年7月6日号掲載の報告。  研究グループは、症候性の人の検査精度の評価報告は充実しているが、無症候性の人への使用に関するデータは入手が限られていることから、リバプールのCOVID-19検査センターで、コミュニティLFTパイロット試験を実施。2020年11月6日~29日に48ヵ所の検査センターを訪れた一般成人集団(18歳以上の無症状ボランティア)5,869例を対象に、LFTとRT-qPCR法の性能を評価する観察コホート試験を行った。

軽度~中等度コロナ治療薬「ロナプリーブ」を特例承認/厚労省

 厚生労働省は7月19日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として、「ロナプリーブ点滴静注セット300」「同1332」(一般名:カシリビマブ[遺伝子組換え]/イムデビマブ[遺伝子組換え])の国内における製造販売を承認した。COVID-19患者を対象とした海外臨床第III相試験(REGN-COV 2067)の成績と、日本人における安全性・忍容性、薬物動態の評価を目的とした国内第I相臨床試験の成績に基づき、国内開発権および独占的販売権を取得した中外製薬が特例承認の適用を求め、申請していた。国内における新型コロナ治療薬としては、レムデシビル、デキサメタゾン、バリシチニブに続き、4例目となり、軽度~中等度のCOVID-19治療薬では初となる。

NSCLCの4種のドライバー変異を判定するリアルタイムPCRが国内承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2021年6月25日、複数の抗悪性腫瘍薬のコンパニオン診断薬として「AmoyDx 肺癌マルチ遺伝子 PCR パネル」の国内製造販売承認を取得したと発表。  同製品は、非小細胞肺がんの4種のドライバー遺伝子(EGFR、ALK、ROS1、BRAF)を網羅するリアルタイムPCR法を原理としたコンパニオン診断薬である。  EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、ROS1融合遺伝子、BRAF V600E変異を1回の測定で同時に検出し、9種の抗悪性腫瘍薬の適応判定の補助が可能。  リアルタイムPCR法を用いた複数遺伝子を網羅するコンパニオン診断薬が承認されたのは本邦初であり、その感度の高さや短いターンアラウンドタイム(TAT)、手軽さなどにより、早期治療戦略の立案やNSCLC患者への治療機会拡大に貢献することが期待されている。

脳卒中を発症する人としない人、過去10年間の軌跡

 脳卒中の兆候は10年前から表れているかもしれない。オランダ・Erasmus MC University Medical CenterのAlis Heshmatollah氏らが、脳卒中を起こした患者における発症前10年間の認知機能と日常生活動作(ADL)の軌跡、および脳卒中のない人の対応する軌跡を調査した。その結果、脳卒中を起こした患者は、そうでない人と比較して、過去10年間で認知機能とADLの急激な低下が見られた。Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry誌2021年7月6日号に掲載。

コロナ感染者の脈拍をウェアラブルデバイスで追跡、その結果は?

 新型コロナに感染すると、その後も自律神経の機能障害から心筋損傷までさまざまな後遺症に悩まされる。長期にわたる新型コロナ症状は発症後最大6ヵ月間認められるとも言われるが、これまでのところ定量化はされていない。  今回、米国・Scripps Research Translational InstituteのJennifer M Radin氏らはこの問題解決のために、ウェアラブルデバイスのデータを利用し感染後の症状回復に関する調査を実施した。近年では日頃からスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスを使い、心拍数などのデータ測定を行う人が増えているため、(感染前の)健康な状態から感染の過程、ベースラインに戻るまでの個人の生理学的および行動的指標を継続的に追跡することができる。この調査の結果、一過性の徐脈は、症状の発症から約9〜15日後に認められ、新型コロナ感染による初期症状と初期の安静時心拍数(RHR)の変化が、このウイルスからの回復時間に関連している可能性があることを示唆した。JAMA Network Open誌2021年7月7日号リサーチレターでの報告。

統合失調症患者における持続性注射剤使用と刑事事件遭遇との関連

 統合失調症患者では、アドヒアランスが不良な場合が多い。このことが、再発リスク、健康状態の悪化、入院、治療費の高騰、暴力的および非暴力的な犯罪の発生率上昇に影響を及ぼす。米国・ケント州立大学のMadhav P. Bhatta氏らは、統合失調症または統合失調感情障害患者における持続性注射剤(LAI)抗精神病薬の使用と刑事事件遭遇との関連について、調査を行った。Journal of Health Economics and Outcomes Research誌2021年5月19日号の報告。  2010年1月1日~2016年6月15日にオハイオ州アクロンの地域精神保健センターで統合失調症または統合失調感情障害のために治療を受けた18歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブフォローアップ研究を実施した。LAI抗精神病薬開始前後6ヵ月、1年、2年での刑事事件遭遇率を評価した。過去に逮捕歴を有する患者を対象に、サブ解析を実施した。