日本語でわかる最新の海外医学論文|page:322

TN乳がん1次治療におけるペムブロリズマブ+化学療法、アジア人解析結果(KEYNOTE-355)/日本臨床腫瘍学会

 未治療の手術不能または転移を有するPD-L1 CPS 10以上のトリプルネガティブ(TN)乳がん患者において、ペムブロリズマブ+化学療法はプラセボ+化学療法と比較して、全生存(OS)期間を有意に改善したことが、ESMO 2021で発表されている。同試験のアジア人サブグループの解析結果を、がん研有明病院の高野 利実氏が、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。なお本邦では、PFSを有意に改善した同試験の中間解析結果を基に、2021年8月に承認されている。

統合失調症の再発に影響を及ぼす要因

 統合失調症は再発率が高い疾患である。再発は、患者だけでなくその家族にとっても大きな影響を及ぼすが、生物心理社会学的および精神医学的要因を見直すことで、改善する可能性がある。統合失調症の再発に影響を及ぼす潜在的なリスク因子を明らかにすることは、医師、患者およびその家族の意識を向上させるために役立つと考えられる。医師は、患者を診察し、マネジメントや教育を行い、再発を抑制することが求められる。インドネシア・エアランガ大学のMargarita M. Maramis氏らは、統合失調症患者の再発発生に影響を及ぼす生物心理社会学的および精神医学的要因について、分析を行った。International Journal of Social Psychiatry誌オンライン版2021年12月28日号の報告。  インドネシア・東ジャワの3施設Soetomo Academic Hospital Surabaya(33.2%)、Menur Hospital Surabaya(32.7%)、Radjiman Wediodiningrat Mental Hospital Lawang(34.1%)より統合失調症患者226例を対象とし、横断的観察分析研究を実施した。生物心理社会学的および精神医学的要因を含む33因子のデータを収集し、二変量および多変量ロジスティック回帰分析を行った。

オミクロン株に対するコロナ治療薬の効果を比較検証/NEJM

 オミクロン株が世界中で猛威を振るう中、新型コロナウイルスの新たな治療薬の開発が進んでいる。国立感染症研究所の高下 恵美氏ら研究グループが、7種類の抗体薬と3種類の抗ウイルス薬について、in vitroでのオミクロン株に対する効果について検証した。本研究の結果は、NEJM誌オンライン版2022年1月26日号のCORRESPONDENCEに掲載。  今回、研究対象となった薬剤は、臨床試験中、FDA(米国食品医薬品局)で承認済み、日本で承認済みのものが含まれる。検証の結果、抗体薬のetesevimab・bamlanivimab併用とカシリビマブ・イムデビマブ併用(商品名:ロナプリーブ)のオミクロン株に対する中和活性は、著しく低いことがわかった。

早期TN乳がん、術前PEM+化学療法と術後PEMでEFS改善/NEJM

 早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に対し、術前補助療法でペムブロリズマブ+化学療法→術後補助療法でペムブロリズマブによる治療は、術前補助療法での化学療法のみと比較して、無イベント生存期間(EFS)を有意に延長することが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のPeter Schmid氏らが21ヵ国181施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「KEYNOTE-522試験」で示された。すでに本試験の最初の解析において、術前補助化学療法にペムブロリズマブを追加することで、根治的手術実施時に病理学的完全奏効(pCR)(乳房内に浸潤がんがなく、リンパ節転移陰性と定義)を得られた患者の割合が有意に増加することが報告されていた。NEJM誌2022年2月10日号掲載の報告。  研究グループは、未治療の早期TNBC患者(AJCC/TNM分類でT1c N1-2またはT2-4 N0-2、ECOG PS 0/1)を、ペムブロリズマブ+化学療法群とプラセボ+化学療法群に2対1の割合で無作為に割り付けた。  ペムブロリズマブ+化学療法群では、術前補助療法としてペムブロリズマブ(200mg、3週ごと)+パクリタキセル(80mg/m2、週1回)+カルボプラチン(AUC 1.5、週1回またはAUC 5、3週ごと)を4サイクル投与後、ペムブロリズマブ+シクロホスファミド(600mg/m2)+ドキソルビシン(60mg/m2)またはエピルビシン(90mg/m2)を3週ごとに4サイクル投与し、術後補助療法としてペムブロリズマブを3週ごとに9サイクル投与した。プラセボ+化学療法群では、術前補助療法でプラセボ+化学療法(同上)、術後補助療法でプラセボを投与した。

妊産婦の新型コロナ感染、産科合併症と関連/JAMA

 妊娠中および出産後の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染は、妊産婦死亡または重篤な産科合併症の複合アウトカムのリスク増加と関連していることが、米国・ユタ大学のTorri D. Metz氏ら国立小児保健・人間発達研究所(Eunice Kennedy Shriver NICHD)のMFMU(Maternal-Fetal Medicine Units)ネットワークによる「GRAVID(Gestational Research Assessments of COVID-19)研究」で明らかとなった。これまで、妊娠中または出産後のSARS-CoV-2感染が重篤な産科合併症のリスクを特異的に増加させるかどうかはわかっていなかった。JAMA誌オンライン版2022年2月7日号掲載の報告。  研究グループは、GRAVID研究に参加している米国の17施設において、2020年3月1日~12月31日の期間に出産した妊産婦1万4,104例について後ろ向きに解析した(最終追跡調査2021年2月11日)。  妊娠中または産後6週間以内にPCR検査または抗原検査が陽性であった患者をSARS-CoV-2感染者とし、同期間の無作為に選んだ日に出産しSARS-CoV-2検査が陽性でない非感染者と比較した。SARS-CoV-2感染者は、COVID-19の重症度でさらに層別化した。  主要評価項目は、妊産婦死亡、または妊娠高血圧症候群、産褥出血、SARS-CoV-2以外の感染症に関連する重篤な疾患の複合、主要な副次評価項目は帝王切開による出産であった。

双極性障害患者の睡眠評価~主観的および客観的アプローチの比較

 双極性障害患者では、睡眠障害が頻繁に認められる。そのため、双極性障害患者の睡眠を正確に評価することは重要である。双極性障害患者の睡眠を評価するうえで、睡眠日誌や質問票などの主観的な睡眠評価ツールが用いられることが多いが、これらのツールがアクチグラフなどの客観的なツールと同程度の精度があるかはよくわかっていない。藤田医科大学の藤田 明里氏らは、双極性障害患者の睡眠を評価するための主観的および客観的ツールについての比較を行った。Journal of Psychiatric Research誌オンライン版2021年12月13日号の報告。

化学療法+ニボルマブ+ベバシズマブによるNSCLC1次治療の全生存期間(TASUKI-52)/日本臨床腫瘍学会

 非扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)に対するニボルマブとプラチナダブレットおよびベバシズマブ併用の1次治療を評価する国際無作為化二重盲検第III相TASUKI-52試験の全生存期間(OS)の成績が、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表された。同併用群はOSについても改善を示した。 ・対象:未治療のStage IIIB/IVの非扁平上皮NSCLC患者(PD-L1発現問わず) ・試験群:ニボルマブ(360mg)+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ(3週間ごと6サイクル)→ニボルマブ+ベバシズマブ(ニボルマブ群) ・対照群:プラセボ+カルボプラチン+パクリタキセル+ベバシズマブ→プラセボ+ベバシズマブ(プラセボ群)  ニボルマブ/プラセボ+ベバシズマブは、疾患進行または許容できない毒性発現まで継続 ・評価項目: [主要評価項目]独立放射線審査委員会(IRRC)評価の無増悪生存期間(PFS) [副次評価項目]全生存期間(OS)、全奏効率(ORR)、安全性

「災害としてのCOVID-19と血栓症Webセミナー」ホームページで公開中/日本静脈学会

 新型コロナウイルス感染症はほかの感染症と比較して血栓リスクが高いことは知られている。今回、日本静脈学会はこのコロナ第6波を受け、コロナ×血栓症に関する内容を多くの医療者に発信したいと、昨年11月10日(水)と12月7日(火)にクローズド開催した『災害としてのCOVID-19と血栓症Webセミナー』の編集動画を本ホームページへ公開した。  本学会は「日頃COVID-19治療に従事している医療従事者の皆さんのVTE対応への指標の一つとなるよう」思いを込めてセミナーを企画しており、本講演会については医師のみならず誰でも視聴可能だ。

60歳以上への交互接種vs.同種接種、感染率・重症化率は/JAMA

 日本と同様に国民の多くがファイザー社およびモデルナ社製のCOVID-19ワクチンによる1回目および2回目接種(初回シリーズ)を受けているシンガポールで、60歳以上を対象に3回目接種での交互接種と同種接種後の感染・重症者の発生状況が調査された。シンガポール国立大学のSharon Hui Xuan Tan氏らによる、JAMA誌オンライン版2022年2月11日号リサーチレターでの報告。  シンガポールでは人口の8割以上がCOVID-19ワクチンを2回接種していたにもかかわらず、2021年9月に社会的距離と検疫についての措置が緩和され、感染者が急増した。これを受けて政府は、6ヵ月以上前に2回目接種を終えた60歳以上の成人に追加接種を受けるよう呼びかけ、30P2Y

再発卵巣がん、トラメチニブでPFS有意に延長/Lancet

 米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのDavid M. Gershenson氏らは、再発低悪性度漿液性卵巣がん患者を対象とした多施設共同非盲検無作為化第II/III相試験「GOG 281/LOGS試験」において、MEK阻害薬トラメチニブが標準治療と比較して無増悪生存(PFS)期間を有意に延長し、新たな治療選択肢となる可能性があることを示した。卵巣または腹膜の低悪性度漿液性がんはMAPKシグナル伝達経路の異常が特徴であり、高悪性度漿液性がんに比べ化学療法に対する感受性が低い。これまでの研究で、MEK阻害薬は有効性が期待される治療戦略であることが示唆されていた。Lancet誌2022年2月5日号掲載の報告。

新型コロナ感染の高齢者、32%が後遺症を発症/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染した65歳以上の高齢者は、急性期後に診療を要する持続的または新規の後遺症のリスクが高いことが、米国・Optum LabsのKen Cohen氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、示された。後遺症は、呼吸不全、認知症、ウイルス感染後疲労を除くと、高齢者のウイルス性下気道疾患の後遺症と類似していたが、SARS-CoV-2感染後は、重要な後遺症が多岐にわたって発生することが明らかになったという。著者は、「後遺症のリスクは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)で入院した人で高いことが明らかで、いくつかの後遺症のリスクは男性、黒人、75歳以上で高かった。今回のデータは、高齢者におけるSARS-CoV-2感染急性期後の後遺症を定義し、これらの患者の適切な評価と管理に役立つと考えられる」とまとめている。BMJ誌2022年2月9日号掲載の報告。

HER2+乳がん2次治療へのT-DXd vs.T-DM1、アジア人サブグループ解析結果(DESTINY-Breast03)/日本臨床腫瘍学会

 DESTINY-Breast03試験の中間解析結果がESMO2021で発表され、トラスツズマブとタキサンによる治療歴のあるHER2陽性の切除不能または転移を有する乳がん(mBC)患者に対し、トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)がトラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)と比較し無増悪生存期間(PFS)を有意に延長した。同試験のアジア人サブグループ解析結果を、韓国・Seoul National University HospitalのSeock-Ah Im氏が、第19回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2022)で発表した。

PD-L1高発現NSCLC1次治療に対するアテゾリズマブ+ベバシズマブの効果(WJOG@Be)/ J Immunother Cancer

  非小細胞肺がん(NSCLC)において、免疫チェックポイントと血管新生阻害薬の併用の可能性が議論されている。PD-L1阻害薬アテゾリズマブと血管新生阻害薬ベバシズマブの併用は第III相IMpower150試験で検討されているが、化学療法がベースの検討であり、アテゾリズマブ+ベバシズマブのみの有用性評価ではない。  そのような中、NSCLCに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブの評価が、九州がんセンターの瀬戸貴司氏らによる第II相単群WJOG@Be試験で検討されている。同試験結果がJournal for immunotherapy of cancer誌で発表され、未治療のPD-L1高発現NCSLCに対するアテゾリズマブ+ベバシズマブの可能性が示唆されている。

統合失調症に対するベンゾジアゼピン併用の影響

 統合失調症患者に対するベンゾジアゼピンの使用について、未使用、短期使用、長期使用の場合の疾患経過に対する影響を、トルコ・Usak UniversityのOkan Ekinci氏らが、検討を行った。International Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2022年1月17日号の報告。  2015年1月~2019年1月に精神科病院に入院した統合失調症患者を対象にレトロスペクティブ研究を実施した。患者の臨床経過の特徴について、最初の入院から観察期間終了(24ヵ月)までレトロスペクティブに追跡した。

日本人重症脳梗塞、血管内治療+薬物療法は薬物療法単独より有益/NEJM

 日本で行われた試験で、主幹動脈閉塞を伴う梗塞が大きい患者に対する血管内治療と薬物療法の併用は薬物療法のみに比べ、90日アウトカムが良好であり、修正Rankinスケールスコア0~3の患者の割合が約2.4倍に上ることが示された。頭蓋内出血の発生率は、血管内治療併用群で高率だった。兵庫医科大学の吉村 紳一氏らが、国内203例の患者を対象に行った無作為化比較試験の結果を報告した。急性虚血性脳卒中に対する血管内治療は、梗塞が大きい場合は一般的に回避されるが、これまで薬物療法単独と比較した血管内治療の効果について、十分な検討は行われていなかった。NEJM誌オンライン版2022年2月9日号掲載の報告。

コロナワクチン有効性、4ヵ月超で明らかに低下/Lancet

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンを2回接種後、日数経過によりワクチン有効性は低下し、その低下速度はワクチンの種類によって異なることが示された。スウェーデン・Umea大学のPeter Nordstrom氏らが、84万人超のワクチン接種者と、同数のマッチングコントロールについて後ろ向き全住民コホート試験を行い明らかにした。ChAdOx1 nCoV-19(Oxford-AstraZeneca製)、mRNA-1273(Moderna製)、BNT162b2(Pfizer-BioNTech製)の2回接種後、症状の程度を問わない新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染に対するワクチン有効性は、BNT162b2は4~6ヵ月で47%に減少、7ヵ月後には有意な有効性が認められなかったが、mRNA-1273では6ヵ月以降も59%を維持していた。入院や死亡などを伴う重症COVID-19に対する予防効果は、いずれかのワクチンとも2回接種後、比較的長期にわたり維持されてはいたが、4ヵ月以降は64%と明らかな低下が認められ、著者は「今回の結果は、エビデンスに基づく3回目のブースター接種に関する根拠を強化するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2022年2月4日号掲載の報告。

ニボルマブ+カボザンチニブ、腎細胞がん1次治療の2年間追跡で持続的な生存ベネフィットを示す(CheckMate-9ER)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブとExelixis社は、2022年2月14日、第III相CheckMate -9ER試験の2年間の追跡調査の解析結果を発表した。同解析では、進行腎細胞がん(RCC)のファーストライン治療において、ニボルマブとカボザンチニブの併用療法が、スニチニブと比較して、持続的な生存および奏効ベネフィット、並びに健康関連の生活の質(HRQOL)の改善を示した。  これらの最新のデータは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)2022年泌尿器がんシンポジウムのポスタープレゼンテーションで発表される。

ペイシェントハラスメントが5年で20%も増!?どんな対策してる?

 身勝手な患者による極悪非道な事件が昨年12月から2件も立て続けに発生したことを受け、CareNet.comでは各施設での患者からの迷惑行為(ペイシェントハラスメント1))対応策についてアンケート調査を実施した。本サイトでは2017年にも同様のアンケートを実施しており、両者の結果を照らし合わせると、なんとこの5年間でペイシェントハラスメントを受けた医師が20%も増加していることがわかった。また、2017年時点でペイシェントハラスメント対応マニュアルやガイドラインを設けている施設は30%超だったが、現在はどうなのだろうか。

中年期女性の血管運動神経症状に関連する不眠症に対するスボレキサントの効果

 神経ペプチドオレキシンは、覚醒促進、温度調節、閉経後に増加、女性に対しエストロゲン療法により正常化することから、血管運動神経症状(VMS)関連の不眠症治療においてオレキシン拮抗作用が重要な役割を果たしていることが示唆されている。米国・ハーバード大学のShadab A. Rahman氏らは、夜間のVMSに関連する慢性不眠症に対するデュアルオレキシン受容体拮抗薬スボレキサントの有効性について評価を行った。Sleep誌オンライン版2022年1月11日号の報告。

特発性拡張型心筋症、家族の有病率30%・罹患リスク19%/JAMA

 特発性拡張型心筋症(DCM)は家族内での発症がみられるため、リスクのある家族構成員を早期に発見することで、末期の病態に至る前に治療開始の機会をもたらす可能性があるが、米国ではDCMの家族内の有病率などの詳細なデータは知られていないという。米国・タフツ大学のGordon S. Huggins氏らは、今回、米国のDCMコンソーシアム参加施設で調査(DCM Precision Medicine Study)を行い、DCM患者の家族の約30%がDCMに罹患しており、家族が80歳までにDCMに罹患するリスクは19%と推定した。研究の詳細は、JAMA誌2022年2月1日号で報告された。