日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1081

新型インフルエンザA 型(H1N1)ワクチンを米国FDA に一変申請

サノフィ・アベンティスグループ(EURONEXT:SANおよびNYSE:SNY)のワクチン事業部門であるサノフィパスツールは7日、米国食品医薬品局(FDA)に、2009年新型インフルエンザA型(H1N1)単価ワクチンの承認事項の一部変更承認申請(以下「一変申請」という)を行ったことを発表した。

エベロリムス、VEGF標的治療薬が無効となった進行性腎がんの治療薬としてEUで承認

スイス・ノバルティス社は6日(現地時間)、欧州委員会(EC)より、エベロリムス(欧州/米国での製品名「Afinitor」)が、血管内皮増殖因子(VEGF)を標的とする分子標的薬による治療中あるいは治療後にがんが進行した進行性腎細胞がん(RCC)の患者に対する治療薬として承認されたと発表した。

がん抑制遺伝子がiPS細胞の形成を阻害―英国科学誌 Natureに発表―

アステラス製薬株式会社は10日、京都大学(生命科学系キャリアパス形成ユニット)の川村晃久特定助教 と 同社研究本部分子医学研究所の鈴木丈太郎主任研究員らは、米国ソーク研究所(Salk Institute for Biological Studies)のGene Expression Laboratory(Juan Carlos Izpisúa Belmonte(教授)およびGeoffrey M. Wahl(教授))のグループと共に、p53と呼ばれるがん抑制遺伝子がiPS細胞の形成を阻害していることを見出し、同日のNatureオンライン版に掲載されたと発表した。

白血病患者の造血幹細胞移植後の再発メカニズム

一部分だけが適合するファミリードナーからの提供で行う造血幹細胞移植は、再発のリスクが高い血液がんを有する患者にとって、有望な治療法である。ドナーT細胞輸注によって、移植後免疫再構成が促され、疾患をコントロールすることができるからである。ただ再発リスクも高く、またなぜ再発するのかメカニズムはとらえきれていない。イタリアSan Raffaele-Telethon病院遺伝子治療研究所のLuca Vago氏らは、再発メカニズムを解明すべく、移植後調査を行った。NEJM誌2009年7月30日号より。

肥満手術の術後30日間の転帰

胃を小さく切除する肥満手術(バリアチック手術:bariatric surgery)の、術後30日間の転帰に関する報告が、米国ワシントン大学のDavid R. Flum氏らLongitudinal Assessment of Bariatric Surgery(LABS)研究チームにより発表された。肥満手術は最近、元大関・小錦(現タレント・KONISHIKI)が受けたことで日本でも広く知られるようになっている。NEJM誌2009年7月30日号の掲載より。

全国1,200人の「心臓病」と「心臓病危険因子」に関する意識は?

ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社メディカルカンパニーは7日、8月10日の「健康ハートの日」に向け、全国の男女 1,200名(20~70歳代)を対象に行った、「心臓に関する意識」調査の結果を発表した。この調査は今年で4回目で、3年前と比べ、三大疾病の中での「心筋梗塞」への関心の伸び率が最も高いことがわかり、また、大きな病気にかかった時に一番心配なこととして「お金」と回答した人が約3割(29.8%)と最も高いことがわかったという。

開発中のBIBW 2992、EGFR感受性変異を有する非小細胞肺がん患者を対象に一次治療での第III相試験開始

ドイツ・ベーリンガーインゲルハイム社は3日、米国/サンフランシスコで実施された第13回世界肺がん学会で、開発中の抗がん剤BIBW 2992(海外での予定製品名:TOVOK)について、上皮成長因子受容体(EGFR)感受性変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象に、一次治療での第III相試験を開始すると発表した。BIBW 2992はEGFRとHER2(ヒト上皮受容体)の両チロシンキナーゼを不可逆的に阻害する初の経口投与製剤で、NSCLCの適応取得を目的として第III相試験を進めることになった初めての薬剤。

脊椎固定手術時のBMP製品使用の実態(使用率、合併症、入院費)

脊椎固定手術時のBMP製品(骨形成タンパク質:bone-morphogenetic proteins)の使用に関する調査結果が、ブリガム&ウィメンズ病院神経外科部門のKevin S. Cahill氏らによって発表された。JAMA誌2009年7月1日号より。これまで同データに関する全米調査などは行われていなかったという。

虚血性心疾患と血漿CRP濃度との関連

C反応性蛋白(CRP)の血漿中濃度は、虚血性心疾患のリスクと独立して関連している。しかしこのCRP値が、虚血性心疾患そのものと関連しているのか、あるいはまた単に疾患の根底にあるアテローム硬化症のマーカーなのかは不明である。ロンドン王立大学疫学公衆部門環境・健康センターのPaul Elliott氏ら研究グループは、CRP濃度、遺伝子座位と、虚血性心疾患リスクとの関連について調査を行った。JAMA誌2009年7月1日号より。

引用は、情報カスケードを喚起するために使われる可能性がある

論文引用には、学究的な活用とは別に、説得のためのツールという側面がある。いわゆる引用バイアス(引用によって説得力が生じる)は、臨床治験報告で見られ、治療の有効性を間違った確信に誘導する可能性があると指摘される。米国ブリガム&ウィメンズ病院神経学部門/子供病院情報科学プログラムのSteven A Greenberg氏は、論文間での引用パターンを調べ、どのように論説が権威付けされるのかを考察した。BMJ誌2009年7月25日号(オンライン版2009年7月21日号)より。

若い年代・貧困層では、虚血性心疾患死亡率の低下がフラットに

英国リバプール大学公衆衛生部門のMartin O’Flaherty氏らは、スコットランドにおける年齢特異的な虚血性心疾患死亡率の、最近の傾向および社会格差との関連を調査した。スコットランドではここ20年で、虚血性心疾患死亡率が半減したが、近年は肥満および若年成人の糖尿病が増大しており、今後の虚血性心疾患死亡率の増加が危惧される。O’Flaherty氏らは、心血管リスク因子は社会経済的に虐げられていることと密接な関連が見られることから、仮に若い年代の死亡率が悪化している場合は、貧困層にその傾向が認められるだろうと仮定し本研究を行った。BMJ誌2009年7月25日号(オンライン版2009年7月14日号)より。

ケタミンは、迅速気管挿管時の鎮静においてetomidateと代替可能

フェンサイクリジン系麻酔薬であるケタミン(商品名:ケタラール)は、重症患者に対する迅速気管挿管時の鎮静薬として安全に使用でき、etomidateの代替薬となりうることが、フランスParis 第13大学のPatricia Jabre氏らが実施した無作為化試験で明らかにされた。重症患者は緊急の挿管を要することが多いが、鎮静薬として頻用されるetomidateは用量依存的な11βヒドロキシラーゼ阻害により可逆的な副腎の機能不全を引き起こす可能性があり、院内合併症罹患率の上昇を招くおそれがあるという。Lancet誌2009年7月25日号(オンライン版2009年7月1日号)掲載の報告。