日本語でわかる最新の海外医学論文|page:555

JCS2019で日循公式ツイッターが全力発信 #19JCSでタグ付けを

 2019年3月29~31日にパシフィコ横浜にて開催される、第83回日本循環器学会学術集会(JCS2019)において、日本循環器学会 情報広報部会は、公式ツイッターアカウントを活用した情報発信を行うと発表した。  欧州心臓病学会(ESC)や米国心臓協会(AHA)などの海外の主要な学会では、SNS上でタイムリーな情報発信が行われ、多くの人が最新の医学知識に触れて、勉強・議論できる体制が整えられている。日本の学会における情報発信の先駆けとして、JCS2019にて行われる発表内容をツイッター上でオープンに発信していくのが今回の試みだ。

日本の頭部外傷の実態/脳神経外傷学会

 日本の頭部外傷診療の現状の把握を目的に、1998年より重症頭部外傷患者を対象とした疫学研究を開始。現在まで、日本頭部外傷データバンク(JNTDB)Projectとして1998、2004、2009、2015が行われ、Project2015(P2015)の結果がまとまり、第42回日本脳神経外傷学会にて、その結果が報告された。P2015の登録対象症例は2015年4月1日~2017年3月31日に、搬入時あるいは受傷後48時間以内にGlasgow Coma Scale(GCS)8以下、あるいは脳神経外科手術を施行した頭部外傷症例(0歳を含む全年齢)。Project2015の参加施設は32施設1,345例が登録された。

前立腺がん患者のQOL、性機能とADTの影響に配慮を/Lancet Oncol

 昨今の医療のトピックに「治す医療から支える医療へ」がある。英国・リーズ大学のAmy Downing氏らは集団ベース研究により、進行前立腺がん患者と限局性前立腺がん患者とで、健康関連QOLアウトカムは大きく異なってはいないが、アンドロゲン除去療法を受けた患者ではホルモン機能と疲労に関してかなりの問題を抱えていることを明らかにした。著者は、「性機能障害がよくみられるものの、ほとんどの男性は有益な介入や支援を提供されていない。

統合失調症または双極性障害患者における死亡率の傾向

 重度の精神疾患を有する患者の平均寿命は、一般人口と比較し、1~20年短縮するといわれているが、その多くは身体疾患によって命が失われている。重度の精神疾患に関する大部分の研究では、疾患ごと(たとえば統合失調症と双極性障害)に調査が行われており、母集団に対する死亡率の観点から疾患を比較してはいなかった。デンマーク・オールボー大学のLine Hosbond Lomholt氏らは、統合失調症患者と双極性障害患者の標準化死亡比(SMR)の比較を行った。International Journal of Bipolar Disorders誌2019年3月1日号の報告。

低リスク大動脈弁狭窄症に自己拡張型弁のTAVRは有効か/NEJM

 手術リスクが低い重症大動脈弁狭窄症患者に対して、自己拡張型supraannularバイオ人工弁による経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)の施行は通常手術施行に対して、24ヵ月時点の死亡または後遺障害を伴う脳卒中発生の複合エンドポイントについて非劣性であることが示された。米国・ベスイスラエル・ディーコネス医療センターのJeffrey J. Popma氏らによる無作為化試験の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月16日号で発表された。TAVRは、手術を受けた場合の死亡リスクが高い重症大動脈弁狭窄症患者の、手術に変わる治療法とされている。これまで、手術リスクの低い患者のTAVR施行については明らかにされていなかった。

ACS発症またはPCI施行のAF患者、アピキサバンは有益か/NEJM

 直近に急性冠症候群(ACS)を発症または経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けP2Y12阻害薬を投与される心房細動患者において、アピキサバン(商品名:エリキュース)を含む抗血栓療法(アスピリンは非併用)は、ビタミンK拮抗薬+アスピリン療法またはアスピリン単剤療法と比べて、出血および入院が減少し、虚血イベントの発生において有意差はみられないことが示された。米国・デューク大学のRenato D. Lopes氏らによる2×2要因デザイン法の国際多施設共同無作為化試験「AUGUSTUS試験」の結果で、NEJM誌オンライン版2019年3月17日号で発表された。ACS発症またはPCIを受けた心房細動患者に対し、適切とされる抗血栓療法は明確にはなっていない。

日本の再生医療を世界で勝たせるために/再生医療学会

 本年(2019年)3月に行われた第18回日本再生医療学会総会の中で、外科医でもある衆議院議員 厚生労働委員長の冨岡 勉氏は「再生医療を推進するために政治はどう取り組むべきか」と題して基調講演を行った。  世界時価総額ランキング上位20社中、1989年における日本企業は14社を占めた。しかし、2018年その数はゼロ。ほぼ米・中の争いである。研究の活性化指標である論文数の国別順位と国別論文シェアをみると、ゲノム編集、免疫療法、核酸医薬などがんゲノムに関連のテーマでわが国は上位にあるものの、その分野でも1位は米・中である。

国内初のCAR-T「キムリア」が承認/ノバルティス

 ノバルティス ファーマ株式会社は、2019年3月26日、「再発又は難治性のCD19陽性のB細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および再発又は難治性のCD19陽性のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)」を対象として、国内で初となるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)療法チサゲンレクルユーセル(商品名:キムリア)の製造販売承認を取得しました。  チサゲンレクルユーセルは、患者自身のT細胞を遺伝子導入により改変し、体内に戻すことで、CD19発現B細胞性の腫瘍(B-ALLとDLBCL)を認識して攻撃する新しいがん免疫細胞療法。チサゲンレクルユーセルによる治療は、継続的な投与を必要とせず、投与は一度のみとなる(単回投与)。

認知症高齢者における入院前後の抗コリン作用性負荷

 ドイツ・ライプニッツ予防研究疫学研究所のJonas Reinold氏らは、認知症高齢者における入院中の抗精神病薬と抗コリン作用薬の使用変化を評価し、抗精神病薬処方と抗コリン作用性負荷(ACB)の増加に関連する因子について検討を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年2月13日号の報告。  2012~14年にイタリア・ウディネ大学病院に入院した認知症患者のうち、退院時診断を受けた65歳以上の患者を対象に、レトロスペクティブコホート研究を実施した。

リファンピシン耐性結核に短期レジメンが有望/NEJM

 リファンピシン耐性結核の治療において、高用量モキシフロキサシンを含む9~11ヵ月の短期レジメンは、2011年のWHOガイドラインに準拠した長期レジメン(20ヵ月)に対し、有効性が非劣性で安全性はほぼ同等であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのAndrew J. Nunn氏らが実施したSTREAM試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月13日号に掲載された。

低侵襲血腫除去+血栓溶解、脳内出血の予後を改善するか/Lancet

 30mL以上の脳内出血の治療において、MISTIEと呼ばれる画像ガイド下経カテーテル血腫除去術後に血栓溶解療法を行うアプローチは、標準治療と比較して1年後の機能的アウトカムを改善しないことが、米国・ジョンズ・ホプキンス大学のDaniel F. Hanley氏らが行ったMISTIE III試験で示された。研究の成果は、Lancet誌2019年3月9日号に掲載された。テント上脳出血による急性脳卒中は、合併症や死亡のリスクが高い。本症への開頭術による血腫除去は有益でないことが、大規模な無作為化試験で示されている。

アパルタミド、前立腺がんで国内承認/ヤンセン

 ヤンセンファーマ株式会社は、2019年3月26日、前立腺がん治療薬アパルタミド(商品名:アーリーダ)について、「遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺癌」を効能・効果とする製造販売承認を取得したと発表。  遠隔転移を有しない去勢抵抗性前立腺がん患者を対象に、アンドロゲン除去療法(ADT)・アパルタミド併用群(アパルタミド群)とADT・プラセボ群(プラセボ群)を比較した第III相臨床SPARTAN試験では、アパルタミド群の無転移生存期間(MFS)中央値40.51ヵ月に対、プラセボ群では15.70ヵ月、とアパルタミド群で有意に改善した(HR:0.297、95%CI:0.244~0.362、p<0.0001)。

日本人の食事摂取基準2020年版、フレイルが追加/厚労省

 2019年3月22日、厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の報告書とりまとめを了承した。昨年4月より策定検討会にて議論が重ねられた今回の食事摂取基準は、2020年~2024年までの使用が予定されている。策定検討会の構成員には、日本糖尿病学会の理事を務める宇都宮 一典氏や日本腎臓学会理事長の柏原 直樹氏らが含まれている。

太田母斑のレーザー治療、ピコ秒アレキサンドライトが有用

 皮膚科のレーザー治療法では、技術の進展により種々のレーザー法が登場し、ナノ(1/10億)秒パルスのQスイッチレーザーに次いで、パルス幅の短いピコ(1/1兆)秒レーザーが臨床で用いられつつある。また、ピコ秒アレキサンドライトレーザー(PSAL)はさまざまな色素異常症に利用されているが、太田母斑についてQスイッチアレキサンドライトレーザー(QSAL)との直接比較データは限られている。

日本語版スマートフォン中毒尺度の有用性

 日本におけるスマートフォン使用は、他の多くの国と同様に若者の間で蔓延しており、時と場所を選ぶことなくオンラインやソーシャルメディアに費やす時間と関連している。ときわ病院の館農 勝氏らは、日本の大学生を対象に、日本語版のスマートフォン中毒尺度短縮版(Smartphone Addiction Scale-Short Version:SAS-SV)のテストを行った。Psychiatry Investigation誌2019年2月号の報告。  日本の大学生602例を対象に、アンケートを実施した。

心血管イベント抑制を確認、ACLY遺伝子変異/NEJM

 ATPクエン酸塩リアーゼ阻害薬やHMGCR阻害薬(スタチン)と似たような作用を持つ遺伝子変異が確認された。同様の作用メカニズムで血漿LDLコレステロール値を下げると考えられ、心血管疾患のリスクに対しても同様の影響を示すという。英国・ケンブリッジ大学のBrian A. Ference氏らが、メンデルランダム化解析により明らかにした。ATPクエン酸塩リアーゼは、スタチンがターゲットとする3-ヒドロキシ-3-メチルグルタリル補酵素A還元酵素(HMGCR)のコレステロール生合成経路の上流に存在する酵素であるが、ATPクエン酸塩リアーゼの遺伝子阻害が有害転帰と関係するのかは不明であった。また、LDLコレステロール値の1単位低下当たりの影響がHMGCRの遺伝子阻害と同様であるのかも明らかになっていなかった。NEJM誌2019年3月14日号掲載の報告。

ナトリウムとカリウムの適切な1日摂取量は/BMJ

 世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、1日の栄養摂取量として、ナトリウムは2.0g未満に制限を、カリウムは3.5g以上摂取を推奨している。今回、カナダ・マックマスター大学のMartin O'Donnell氏らが行った調査(PURE試験)では、これら2つの目標を同時に満たす者はきわめてまれで、死亡/心血管イベントのリスクが最も低いのは、ナトリウム摂取量が3~5g/日でカリウム高摂取量(≧2.1g/日)の集団であることが明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2019年3月13日号に掲載された。ナトリウムについては相反する知見が報告されているが、多くでは摂取量と死亡にJ字型の関連が示されている。これに対し、カリウムは一般に摂取量が増えるに従って死亡が直線的に低下することが報告されている。一方、ナトリウム/カリウム比と臨床アウトカムとの関連を示唆する観察研究の報告もある

食べ物と認知症(解説:岡村毅氏)-1021

これを食べると認知症にならない、というものはあるのだろうか?「危険な食べ物」などの読み物は世の中にあふれているが、科学とは別物だ。私自身も楽しく読んだり見たりするので、批判はしないが…それに支配されて生活している人がいるのは困った現象だ。「やれ○○がいいとか悪いとか言いながら好き放題食べている日本人の何と多いことか…」さて本研究はおよそ四半世紀という長い観察期間をとって、食べ物と認知症の発症の関係をみたものであった。臨床家は皆同意すると思うが、有意な関連はみられなかった。食べ物についてはAHEIという指標で包括的に見ている(個別ではない)点が限界(limitation)といえるが、ほかに現実的なやり方はないであろう。とはいえ、健康的な食生活はほかの多くの疾患を予防するので、健康的な食生活が望ましいことは変わりないので早とちりなきよう。

診療科別、サービス残業の実情

 ケアネットでは2019年3月、会員医師約1,000人を対象に「医師の働き方改革」に関するアンケートを実施した。前編では、医師たちの時間外労働の現状と規制への賛成・反対意見について結果を報告している。今回は、支払いのない時間外勤務“サービス残業”の実態について、アンケート結果を発表する。  “サービス残業”だと感じている時間数について尋ねたところ、“なし”と答えた医師は21.2%。50%以上の医師が毎週少なくとも6時間以上のサービス残業はあると感じており、19.5%は週20時間以上がサービス残業になっていると回答した。

骨粗鬆症の再骨折リスクを抑える新たな一手

 50歳以上では、骨粗鬆症により、女性の3人に1人、男性の5人に1人が脆弱性骨折を起こすといわれ、さらに、一度骨折した患者の再骨折リスクは大きく上昇する。高齢者の骨折は、患者・家族にとってだけでなく、社会にとっても大きな負担となるが、治療率は20%程度と決して高くない。  2019年3月14日、国内初のヒト化抗スクレロスチンモノクローナル抗体製剤である骨粗鬆症治療薬ロモソズマブ(商品名:イベニティ)が発売されたことを機に、アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社がセミナーを開催した。そこで、松本 俊夫氏(徳島大学 藤井節郎記念医科学センター 顧問)、宮内 章光氏(医療法人 宮内内科クリニック 理事長)、浜谷 越郎氏(同社 研究開発本部 シニアメディカルアドバイザー)の3名が「骨粗鬆症治療における課題と治療成績向上に向けて」をテーマに講演を行った。