日本語でわかる最新の海外医学論文|page:554

NSCLC:ニボルマブ治療後のドセタキセル・ラムシルマブ併用の有効性

 免疫療法後の化学療法による有効性を評価した論文が、わが国で初めて報告された。  今回、埼玉医科大学国際医療センターの塩野 文子氏らによる後ろ向き研究では、非小細胞肺がん(NSCLC)患者における抗PD-1抗体ニボルマブの非奏効例に対し、ドセタキセルとラムシルマブを併用投与した場合、ニボルマブ投与なしのレジメンと比較して高い奏効率が得られた。Thoracic Cancer誌オンライン版2019年2月27日号に掲載。

急性アルコール摂取による負傷リスク、男女で差

 飲酒による負傷リスクについて、性別、飲酒頻度、負傷の原因(交通事故、暴力、転倒など)によって違いがあるかを、米国・Alcohol Research GroupのCheryl J. Cherpitel氏らが、分析を行った。Alcohol and Alcoholism誌オンライン版2019年3月11日号の報告。  イベント後6時間以内に救急部(ED)に搬送された負傷患者1万8,627例についてケース・クロスオーバー分析を行った。

症候性心房細動、即時的な洞調律復帰は必要か/NEJM

 発症後間もない(recent-onset)症候性心房細動で救急診療部を受診した患者では、待機的(wait-and-see)アプローチとしての遅延的カルディオバージョン(cardioversion)は、即時的カルディオバージョンに対し、4週時の洞調律復帰の達成が非劣性であることが、オランダ・マーストリヒト大学のNikki AHA Pluymaekers氏らが行ったRACE 7 ACWAS試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2019年3月18日号に掲載された。発症後間もない心房細動患者では、薬理学的または電気的カルディオバージョンにより、ただちに洞調律に復帰させるのが一般的である。しかし、心房細動は自然に終息することが多いため、即時的な洞調律復帰が必要かは知られていないという。

重症患者の薬物療法に間欠的空気圧迫法併用はVTE予防メリットなし(解説:中澤達氏)-1022

国際多施設共同無作為化比較試験(Pneumatic Compression for Preventing Venous Thromboembolism trial:PREVENT試験)で、静脈血栓塞栓症(VTE)の薬物予防法を受けている重症患者において、付加的な間欠的空気圧迫法を薬物予防法のみと比較したが、近位下肢深部静脈血栓症の発生は減少しなかった。急性期脳卒中患者(発症後3日以内、身体機能低下、身辺動作の自立度低下あり)を対象とするCLOTS 3試験(間欠的空気圧迫法によって、3.6%のリスク減少)とは異なる結果となった。

日本抗加齢医学会がウェブマガジン創刊

 一般社団法人 日本抗加齢医学会(理事長:堀江 重郎)は、「学術総会の発表内容」や「学会誌コンテンツ」、同学会の特徴である8つの専門領域分科会(日本抗加齢医学会の専門分科会:眼抗加齢医学研究会、抗加齢歯科医学研究会、見た目のアンチエイジング研究会、抗加齢ウィメンズヘルス研究会、抗加齢内分泌研究会、泌尿器抗加齢医学研究会、脳心血管抗加齢研究会、運動器抗加齢研究会)で話題となっているトピックスを広く発信することを目的に4月1日(月)にウェブマガジンを創刊した。

ivabradineのHFrEF患者への投与、日本人でも有用(J-SHIFT)/日本循環器学会

 慢性心不全では、高い心拍数が心血管系イベントの独立したリスク因子となる。既存薬による治療を行っても心拍数の高い患者において、HCN(Hyperpolarization-activated Cyclic Nucleotide-gated)チャネル阻害薬ivabradineの上乗せ投与の有用性・安全性が検証された。2019年3月29~31日に横浜で開催された、第83回日本循環器学会学術集会で、日本人HFrEF(左室駆出率が低下した心不全)患者を対象とした第III相J-SHIFT試験の結果を、九州大学大学院医学研究院循環器内科学 筒井 裕之氏が発表した。

ソーシャルロボットによる高齢者の認知機能検査の信頼性と受容性

 近年、人間とコミュニケーションを交わし生活をサポートするソーシャルロボットの開発が進んでいる。ソーシャルロボットは医療業界ではどのような活躍が期待できるであろうか。信州大学のTakaeda Kana氏らは、高齢者の認知機能検査へのアクセスを改善するため、ロボットを使った音声による検査の信頼性と受容性を検討した。Geriatrics & Gerontology International誌オンライン版2019年3月18日号に掲載。  本研究ではソーシャルロボットを用いて、老人ホームとデイケア施設から募集された参加者に対して電話を通した認知機能スクリーニングツールであるTelephone Interview for Cognitive Status日本語版を実施した。

体形とうつ病発症リスクとの関連

 肥満はうつ病と関連しているといわれている。肥満の一般的な指標としてBMIが用いられるが、BMIは身長と体重を組み合わせた指標である。そのため、体の寸法やサイズのどの部分が最も関連しているかはよくわかっていない。米国・トゥルーマン州立大学のJeffrey R. Vittengl氏は、体形とうつ病との関連について検討を行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年3月5日号の報告。

CABG施行中の揮発性麻酔薬、臨床転帰を改善するか/NEJM

 待機的冠動脈バイパス移植術(CABG)中の麻酔では、揮発性麻酔薬による吸入麻酔は、静脈麻酔薬のみを用いる全静脈麻酔と比較して、1年時の死亡を抑制しないことが、イタリア・IRCCS San Raffaele Scentific InstituteのGiovanni Landoni氏らが実施したMYRIAD試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年3月28日号に掲載された。CABG施行中の麻酔は、一般に全静脈麻酔または揮発性麻酔薬による吸入麻酔と静脈麻酔薬の併用で導入される。揮発性麻酔薬は心保護作用を有し、CABG施行患者の臨床転帰を改善する可能性が示唆されている。

こんなにある子供の便秘サイン

 2018年3月18日、EAファーマ株式会社は、「大人が知らない『子供の慢性便秘症』の実態と世界標準へと歩み出した最新治療~便秘難民ゼロを目指して~」をテーマに、都内でプレスセミナーを開催した。  セミナーでは、子供が抱える「言うに言えない便秘の悩み」に大人がどう気付き、診療へ導くのか解説された。セミナーでは、十河 剛氏(済生会横浜市東部病院小児肝臓消化器科)を講師に迎え、小児の便秘症について詳しくレクチャーを行った。

マイボーム腺機能不全とドライアイの類似・相違点が明らかに

 マイボーム腺機能不全(MGD)はドライアイ(DE)と症状が類似しており、鑑別が難しい疾患とされる。日本でMGDの啓発に取り組むLIME(Lid and meibomian gland working group)研究会が、同一集団で両疾患を比較した初の住民ベース断面調査を実施。MGDとDEの類似性と相違性を明らかにした。同研究会代表世話人であり伊藤医院副院長の有田 玲子氏らによる報告は、American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2019年3月6日号で発表された。

病棟患者のせん妄、ICU患者との違い

 入院患者ではせん妄がよくみられるが、その疫学はほとんどわかっていない。今回、オーストラリア・オースチン病院のEmmanuel Canet氏らは、病棟患者におけるせん妄患者の人口統計、臨床像、管理、アウトカムがICU患者と異なるかどうかを検証した。その結果、病棟患者のせん妄は、ICU患者のせん妄とは大きく異なり、臨床像は低活動型が優勢で、認知症が先行し、退院時に回復の可能性は低いことが示された。Internal Medicine Journal誌オンライン版2019年3月19日号に掲載。

1990~2016年の世界のてんかん負荷調査の分析結果

 てんかんによる発作やその影響は、早期死亡や残存症状などの健康被害の原因となりうる。てんかんの負荷に関するデータは、健康管理計画やリソース配分において必要とされている。世界の疾病負荷(Global Burden of Disease:GBD)2016のてんかん共同研究者らは、てんかんによる健康被害を年齢、性別、年、場所別に定量化することを目的に、GBDのデータを用いて分析を行った。The Lancet. Neurology誌2019年4月号の報告。

低リスク大動脈弁狭窄症にバルーン拡張型弁のTAVRは有効か/NEJM

 手術死のリスクが低い重度の大動脈弁狭窄症患者の治療において、経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)は外科的大動脈弁置換術と比較して、1年時の死亡を含む複合エンドポイントが良好であることが、米国・Baylor Scott and White HealthのMichael J. Mack氏らが実施したPARTNER 3試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月16日号に掲載された。手術死のリスクが中等度~高度な患者では、これら2つの手技の主要アウトカムは同等とされるが、低リスク例におけるエビデンスは十分でないという。

重症心不全への左心補助人工心臓、完全磁気浮上型遠心流ポンプが有効/NEJM

 重症心不全患者への完全磁気浮上型遠心流の左心補助人工心臓(LVAD)植込み術は、軸流LVADに比べポンプ交換の頻度が低く、後遺障害を伴う脳卒中やデバイス交換・除去の再手術なしで生存する可能性が高いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のMandeep R. Mehra氏らが行ったMOMENTUM 3試験の最終報告で示された。本試験の中間解析では、遠心流ポンプLVADは軸流ポンプLVADよりもポンプ血栓症や後遺障害のない脳卒中の頻度が低いことが報告されていた。NEJM誌オンライン版2019年3月17日号掲載の報告。

心房細動の男性、脳卒中なしでも認知症に注意

 心房細動は脳卒中リスクを増大させ、認知障害や認知症のリスクを増大させる。しかし最近、脳卒中でない場合でもこの関連を示唆するエビデンスが出てきている。そこで、スウェーデン・ヨーテボリ大学のLina Ryden氏らは、コホートから脳卒中患者を除外しなかった場合とした場合の心房細動と認知症発症との関連を調査し、さらに性別や遺伝的因子についても検討した。Journal of Internal Medicine誌オンライン版2019年3月2日号に掲載。

統合失調症入院患者における心血管イベント

 レバノン大学のGhina Al-Seddik氏らは、統合失調症患者における心血管(CV)および脳血管イベントと死亡率を評価するため、フラミンガムリスクスコア(FRS)および動脈硬化性疾患(ASCVD)のスコアによる予測能について比較を行った。International Journal of Psychiatry in Clinical Practice誌オンライン版2019年2月10日号の報告。  対象は、2013年1月から入院中の統合失調症患者329例。CVイベントを検出するため患者のカルテをレビューした。

良性の卵巣腫瘍、保存的治療2年で自然消退2割、悪性化リスクは低い/Lancet Oncol

 付属器腫瘤は、産婦人科において最も頻繁に遭遇する疾患の1つといわれる。これまで長期追跡した大規模前向き研究はほとんどなかったが、ベルギー・ルーベン大学病院のWouter Froyman氏らが、国際共同前向きコホート研究「International Ovarian Tumor Analysis Phase 5:IOTA5」の中間解析を行い、超音波検査で最初に良性と診断された付属器腫瘤を保存的に治療しても悪性腫瘍や急性合併症の発生リスクは低いと報告した。

CIED留置後感染予防、生体吸収性抗菌薬溶出メッシュが有益/NEJM

 心臓植込み型電気デバイス(CIED)留置後の感染症を予防するための、CIEDを包む生体吸収性抗菌薬溶出メッシュの安全性と有効性を評価した、米国・クリーブランド・クリニックのKhaldoun G. Tarakji氏らによる無作為化比較臨床試験「Worldwide Randomized Antibiotic Envelope Infection Prevention Trial:WRAP-IT」の結果が示された。抗菌薬溶出メッシュの使用により、標準ケアによる感染予防戦略のみの実施と比較し、合併症の発生が増加することなく、重大なCIED感染症の発生が有意に低下したという。

卵の摂取量増加で、心血管疾患発症や死亡が増加?/JAMA

 米国成人において、食事性コレステロールまたは卵の摂取量増加は、用量反応的に心血管疾患(CVD)発症および全死因死亡リスクの上昇と有意に関連していることが確認された。米国・ノースウェスタン大学のVictor W. Zhong氏らが、Lifetime Risk Pooling Projectの6つのコホートデータを用いた解析結果を報告した。コレステロールは、ヒトの食事における一般的な栄養素で、卵は食事性コレステロールの重要な源であるが、食事性コレステロール/卵の摂取量がCVDおよび死亡と関連しているかどうかについては、なお議論が続いている。著者は今回の結果について、「食事ガイドラインの作成・改訂の際に考慮されるべきである」とまとめている。JAMA誌2019年3月19日号掲載の報告。