日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1117

【医師限定記事】訴訟リスクの増大が萎縮医療に!?飛行機や電車内での緊急呼び出しに応える医師は23%にとどまる

今は訴訟リスクの増大から萎縮医療がおきているといわれるが、医師限定コミュニティ「Dr'sVoice」で行ったアンケート「機内・車内で緊急の医師の呼び出し!先生は名乗り出ますか?」の結果によると、「仮に飛行機や新幹線などで救急患者に遭遇したとき、先生は名乗り出ますか」との問いに「名乗り出る」と回答した医師は23%にとどまった。

血液透析患者に対するロスバスタチン、心血管イベントの発症抑制効果なし

透析患者にロスバスタチン(商品名:クレストール)を投与しても心血管イベント発症の抑制効果はないことが、AURORA試験から報告された。LDL-Cは低下するも、主要複合エンドポイント(心血管系の原因による死亡、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)に有意な効果は認められなかったという。NEJM誌2009年4月2日号で発表されている。

ホームレスへの住居提供で、医療費など公的サービス費用が半減

 慢性的ホームレスの人(Chronically Homeless Persons)は、様々な問題を抱えており、医療サービス提供や刑務所への収容といったことに、多くの公的費用が費やされている。しかし、ホームレスに無料で住居を提供することで、そうした費用をおよそ半分に減らすことができるとする、研究結果が報告された。ワシントン大学のMary E. Larimer氏らの研究で明らかになったもので、JAMA誌2009年4月1日号で発表した。

医療安全指標SPSと院内死亡率

米国の病院の、医療安全基準指標の一つにSafe Practices Score(SPS)がある。これは、病院の未然に防ぐことが可能な医療ミス削減などを目的にした非営利団体「Leapfrog Group」が、医療の安全性を向上するために実行している対策事項について、病院自らの報告を元にスコア化したもの。これまで、同スコアと死亡率といったアウトカム間との関連は明らかになっていなかったが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校のLeslie P. Kernisan氏らによる調査結果では、院内患者死亡率との相関関係は見られなかったと報告された。JAMA誌2009年4月1日号掲載より。

かかりつけ医に、うつ病重症度判定の報酬インセンティブを導入したが……:イギリス

イギリスでは2006年4月以降、NHS(国民健康保険制度)のQOF(quality and outcomes framework)契約を結ぶかかりつけ医に対し、初診時全患者について、公認された3つの評価表(PHQ-9、HADS、BDI-II)のいずれかを用いて、うつ病重症度評価を行う報酬インセンティブを導入している。目的は、中等度~重度うつ病患者の過少治療(特に抗うつ薬投与)を改善することにある。サウサンプトン大学プライマリ・ケア部門のTony Kendrick氏らは、制度導入後のかかりつけ医の抗うつ薬の処方率と精神科専門医等への紹介率をカルテデータから調べ、狙い通り改善が図られているのか調査を行った。BMJ誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月19日号)掲載より。

患者と医師で分かれるうつ病重症度判定表に対する評価:イギリス

イギリスのNHS(国民健康保険制度)では1998年以降、QOF(医療の質とアウトカムの枠組み)が導入され、プライマリ・ケアを担うかかりつけ医の業績を、数値化した指標で評価している。この枠組みの中で2006年4月以降、初診時全患者について、公認された判定表を用いてうつ病重症度を評価するようインセンティブが与えられるようになった。目的は、中等度~重度うつ病患者の過少治療(特に抗うつ薬投与)を改善することにある。しかし、実際には臨床的な判断を優先し、必ずしも判定表の結果に即した治療は行われていない実態が指摘されている。この問題について、リバプール大学プライマリ・ケア部門のChristopher Dowrick氏らが、医師と患者を対象に調査を行った。BMJ誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月19日号)掲載より。

外傷性脳損傷後のてんかん発症リスクは10年以上持続する

外傷性の脳損傷後のてんかん発症リスクは、10年以上にわたり持続することが、デンマークAarhus大学病院神経内科のJakob Christensen氏らが実施したコホート研究で判明した。重症例やてんかんの家族歴があると、リスクはさらに増大していたが、その一方で著者は予防的介入の可能性も示唆している。外傷性脳損傷後は早期のてんかん発症リスクが高いとされるが、この高リスク期がどれくらい持続するかは不明であったという。Lancet誌2009年3月28日号(オンライン版2009年2月23日号)掲載の報告。

BMI最適値が判明、90万人の解析から

BMIは単独で死亡の強力な予測因子であり、死亡率は22.5~25.0kg/m2で最も低く、この範囲以上でも以下でも死亡率が上昇することが、Prospective Studies Collaboration(PSC)の研究グループが実施した共同解析で明らかとなった。BMIは肥満の優れた指標であり、虚血性心疾患、脳卒中、大腸癌、腎臓病、子宮内膜症、閉経後乳癌による死亡のリスク因子として確立されている。Lancet誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月18日号)掲載の報告。なお、PSCは心血管リスク因子と死亡の関連をプロスペクティブに検討している61の試験のメタ解析を目的とした研究グループであり、対象は世界で100万人に及ぶという。今回の研究を含めその成果はウェブサイト上に公開されている(http://www.ctsu.ox.ac.uk/projects/psc)。