日本語でわかる最新の海外医学論文|page:1007

認知症予防のポイント!MCIへのアプローチ

認知症は軽度認知障害(MCI)から始まり、徐々に認知機能が低下していくため、認知症を予防するためのひとつの方法として、MCIの段階でいかに対処していくかが重要であると考えられる。Summers氏らはMCI症例に対する神経心理学的アプローチに関する検討を行った。Neuropsychology誌2012年7月号(オンライン版2012年5月21日号)の報告。

ヒマラヤ登山死、商業化で低下傾向に

ヒマラヤ登山における死亡リスクは、登山経験が豊富だからといって低減せず、従来の非商業的で探索的な登山よりも、むしろ最近の商業登山のほうが死亡リスクを改善する傾向にあることが、米国Madigan Healthcare System(ワシントン州タコマ)のJohn L Westhoff氏らの調査で明らかとなった。登山は人気が高いがきわめて危険な活動であり、ほかのほとんどの娯楽的活動よりも死亡率が高い。ヒマラヤ登山の商業化の傾向に伴い、比較的経験の浅い登山者が、自力で登るには経験不足な山頂を職業的ガイドの指導の下で目指すことが多くなったが、登山による負傷率はこの数十年、下降傾向にあるという。BMJ誌2012年6月30日号(オンライン版2012年6月13日号)掲載の報告。

3つの新規経口抗凝固薬、術後血栓塞栓症の予防に有効だが出血傾向も

3つの新規経口抗凝固薬リバーロキサバン*1、ダビガトラン*2、アピキサバンは、従来の標準治療であるエノキサパリンに比べ、全般的に術後の静脈血栓塞栓症の予防効果が高いが出血リスクも上昇傾向にあることが、スペイン医薬品・医療機器機構(マドリッド市)のAntonio Gomez-Outes氏らの検討で明らかとなった。欧米では、これら3つの新規薬剤は、人工股関節/膝関節全置換術後の静脈血栓塞栓症の予防治療として承認されているが、主要な臨床試験が標準治療では通常行われない下肢の静脈造影所見で評価され、出血の定義が試験によって異なるなどの理由で、臨床アウトカムや相対的な効果、安全性は明確ではないという。また、3剤を直接比較した最新の試験は行われていない。BMJ誌2012年6月30日号(オンライン版2012年6月14日号)掲載の報告。

ひざの痛みの原因と治療に対する3つの誤解とは?

科研製薬株式会社と生化学工業株式会社が共同で運営している変形性ひざ関節症の疾患啓発サイト「ひざ科学研究所」(http://www.hizaken.com)は、「ひざの痛みと対処法に関するアンケート調査」の結果を発表した。アンケートの結果から、ひざの痛みの原因や治療に関してさまざまな誤解があることが明らかになった。

統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当?

近年、統合失調症患者では骨粗鬆症の罹患率が高いことが明らかになってきているが、著しい骨密度(BMD)の減少にいたる機序や臨床的意味はまだわかっていない。慶応義塾大学の岸本氏(Zucker Hillside Hospital留学中)らは統合失調症患者における骨粗鬆症と骨折リスク、さらに抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の骨代謝への影響について、最近の知見をもとにレビューを行った。Curr Opin Psychiatry誌オンライン版2012年6月30日付の報告。

病床規制の問題1:千葉県の病床配分と医療危機

亀田総合病院小松 秀樹 2012年7月11日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 ●はじめに 2012年3月30日の厚労省による病床規制継続宣言、千葉県による大量の病床配分と時を同じくして、千葉県最大の基幹病院である国保旭中央病院が、医師不足のため、救急受け入れ制限に追い込まれた。本稿では、病床規制と大量の病床配分が千葉県の医療に与える影響を考える。

新生児パルスオキシメトリー検査、先天性心疾患のスクリーニング法として有用

重度先天性心疾患の検出法として、新生児に対するパルスオキシメトリー法は高い特異度と中等度の感度を有し、普遍的なスクリーニング法の適格基準を満たすことが、英国ロンドン大学クイーン・メアリー校のShakila Thangaratinam氏らの検討で示された。先天性心疾患は他の先天性異常に比べ死亡率が高く、先天性異常による死亡の最大40%、乳児死亡の3~7.5%を占めるとされるが、手術によって予後は大きく改善するため早期発見が重要だという。新生児スクリーニングは早期発見の一助となる可能性があり、パルスオキシメトリー法が有望視されている。Lancet誌2012年6月30日号(オンライン版2012年5月2日号)掲載の報告。

HIV母子感染、抗レトロウイルス薬28週治療が有効:BAN試験

授乳に代わる安全な育児法がない環境においては、HIVに感染した母親あるいは未感染乳児に対する28週の抗レトロウイルス薬予防治療により、乳児へのHIV感染が減少することが、米国疾病対策予防センター(CDC)のDenise J Jamieson氏らの検討で示された。HIVの母子感染は世界的に減少傾向にあるが、医療資源が乏しい地域では解決すべき課題とされる。WHOは、医療資源が限られ、授乳に代わる安全な育児法がない環境では、授乳期間中は母親あるいは乳児のいずれかに対する抗レトロウイルス薬の予防投与を推奨している。Lancet誌2012年6月30日号(オンライン版2012年4月26日号)掲載の報告。

PETでみるアリピプラゾール薬理作用「なぜ、EPSが少ないのか」

第二世代抗精神病薬は第一世代抗精神病薬と比較して、錐体外路症状(EPS)を軽減し、抗精神作用を示す。この要因として、放射線医学総合研究所の高畑氏らは優先的な線条体外のドパミンD2受容体占有(辺縁系選択的)が影響しているのではないかと考え、本仮説を検証するため、第二世代抗精神病薬であるアリピプラゾールの薬理学的プロファイルについてPET検査を用い検証した。Psychopharmacology誌2012年7月号(オンライン版2012年1月12日号)の報告。

未破裂脳動脈瘤の自然歴が明らかに

未破裂脳動脈瘤の自然歴は動脈瘤の直径、部位、形状により異なることが、UCAS Japan(http://ucas-j.umin.ac.jp/index.html 事務局:東京大学医学部脳神経外科)研究から報告され、NEJM誌2012年6月28日号で発表された(筆頭著者はNTT東日本関東病院脳神経外科部長の森田明夫氏)。UCAS Japan研究は、本邦における未破裂脳動脈瘤のデータを広く収集し、これまで明らかとなっていなかった未破裂脳動脈瘤の自然歴および診療実態の調査を目的とする前向き研究で、日本全国脳神経外科学会認定施設を中心に、脳検診等で新たに脳動脈瘤が発見された治療例または未治療例すべての患者を登録・追跡している。

感染性心内膜炎患者への早期手術介入は全身塞栓症リスク低下に有効

感染性心内膜炎および大きな疣腫を有する患者に対し、早期手術は従来治療と比較して、有効に全身塞栓症リスクを低下し、全死因死亡および塞栓イベントの複合エンドポイントを有意に低下することが、前向き無作為化試験の結果、示された。韓国・蔚山大学校のDuk-Hyun Kang氏らによる報告で、NEJM誌2012年6月28日号で発表された。感染性心内膜炎患者に対する、全身塞栓症予防目的の外科的介入に関しては、その適応および介入時期についてなお議論の的となっている。研究グループは従来治療と早期手術の臨床転帰の比較を目的に試験を行った。

せん妄対策に「光療法」が有効!

入院患者においてしばしば問題となる「せん妄」。せん妄は、ほぼすべての診療科で遭遇する可能性のある精神症状である。一般的にせん妄の治療には、抗精神病薬が用いられるが、Yang氏らは抗精神病薬リスペリドン(RIS)投与に加えて補助療法として「光療法」を行い、せん妄治療への影響を検討した。Gen Hosp Psychiatry誌オンライン版2012年6月18日付の報告。