統合失調症患者は“骨折”しやすいって本当?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/07/13

 



近年、統合失調症患者では骨粗鬆症の罹患率が高いことが明らかになってきているが、著しい骨密度(BMD)の減少にいたる機序や臨床的意味はまだわかっていない。慶応義塾大学の岸本氏(Zucker Hillside Hospital留学中)らは統合失調症患者における骨粗鬆症と骨折リスク、さらに抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症の骨代謝への影響について、最近の知見をもとにレビューを行った。Curr Opin Psychiatry誌オンライン版2012年6月30日付の報告。

主な結果は以下のとおり。

・16報告中15件(15/16:93.8%)において、統合失調症患者は対照群と比較して、低BMDまたは骨粗鬆症の高い罹患率のうち、少なくともいずれかと相関していた。ただし、全体の一貫性はなかった。
・高い骨折リスクは、統合失調症と関係し(2/2)、抗精神病薬投与とも関係していた(3/4)。
・これらの要因として、運動不足、栄養不足、喫煙、アルコール摂取、ビタミンD不足が示唆された。
・抗精神病薬誘発性高プロラクチン血症とBMD低下との関係を調べた報告(9/15:60.0%)では、高プロラクチン血症の影響が少なからず認められた。
・本結果は、サンプルが少なく効果の小さなものが含まれており、またプロスペクティブ研究は2報だけであった。
・高プロラクチン血症や不健康な生活による影響はまだ明らかになっていないが、統合失調症患者ではBMD低下や骨折リスクとの関係が示唆されることから、予防や早期発見、早期介入が必要であると考えられる。

(ケアネット 鷹野 敦夫)

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