感染性心内膜炎患者への早期手術介入は全身塞栓症リスク低下に有効

提供元:ケアネット

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公開日:2012/07/11

 



感染性心内膜炎および大きな疣腫を有する患者に対し、早期手術は従来治療と比較して、有効に全身塞栓症リスクを低下し、全死因死亡および塞栓イベントの複合エンドポイントを有意に低下することが、前向き無作為化試験の結果、示された。韓国・蔚山大学校のDuk-Hyun Kang氏らによる報告で、NEJM誌2012年6月28日号で発表された。感染性心内膜炎患者に対する、全身塞栓症予防目的の外科的介入に関しては、その適応および介入時期についてなお議論の的となっている。研究グループは従来治療と早期手術の臨床転帰の比較を目的に試験を行った。

76例を対象に前向き無作為化試験




Kang氏らは2006年9月~2011年3月の間に、韓国内2施設で登録された感染性心内膜炎で早期手術の候補者であった76例を対象に前向き無作為化試験を行った。被験者は、左心系の感染性心内膜炎で重度の弁疾患、大きな疣腫(>10mm)を有しており、平均年齢は47歳、男性が67%だった。

被験者は無作為に、早期手術群(37例)と従来治療群(39例)に割り付けられ追跡された。

主要エンドポイントは、無作為化後6週間以内の院内死亡と塞栓イベントの発生の複合とした。副次エンドポイントは、フォローアップ6ヵ月時点での全死因死亡、塞栓イベント、感染性心内膜炎の再発、うっ血性心不全発症による再入院などとした。

早期手術群は全例が、無作為化後48時間以内に弁手術を受けた。一方従来治療群で手術を受けたのは30例(77%)で、そのうち27例は初回入院中に、3例はフォローアップ中の施行だった。
全死因死亡および塞栓イベントの複合エンドポイントは有意に低下




結果、主要エンドポイントの発生は、早期手術群では1例(3%)だった。一方、従来治療群は9例(23%)で、早期手術群の従来治療群に対するハザード比は0.10(95%信頼区間:0.01~0.82、P=0.03)だった。

6ヵ月時点での全死因死亡は、早期手術群3%、従来治療群5%で、両群に有意な差は認められなかった(ハザード比:0.51、95%信頼区間:0.05~5.66、P=0.59)。

しかし6ヵ月時点での全死因死亡・塞栓イベント・感染性心内膜炎再発の複合は、早期手術群3%に対し従来治療群28%と有意な差が認められた(ハザード比:0.08、95%信頼区間:0.01~0.65、P=0.02)。

(武藤まき:医療ライター)