新生児パルスオキシメトリー検査、先天性心疾患のスクリーニング法として有用

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/07/12

 



重度先天性心疾患の検出法として、新生児に対するパルスオキシメトリー法は高い特異度と中等度の感度を有し、普遍的なスクリーニング法の適格基準を満たすことが、英国ロンドン大学クイーン・メアリー校のShakila Thangaratinam氏らの検討で示された。先天性心疾患は他の先天性異常に比べ死亡率が高く、先天性異常による死亡の最大40%、乳児死亡の3~7.5%を占めるとされるが、手術によって予後は大きく改善するため早期発見が重要だという。新生児スクリーニングは早期発見の一助となる可能性があり、パルスオキシメトリー法が有望視されている。Lancet誌2012年6月30日号(オンライン版2012年5月2日号)掲載の報告。

パルスオキシメトリーの有用性をメタ解析で評価




研究グループは、無症状の新生児における重度先天性心疾患のスクリーニング法としてのパルスオキシメトリー法の有用性を評価するために、系統的なレビューおよびメタ解析を行った。

Medline(1951~2011年)、Embase(1974~2011年)、Cochrane Library(2011年)、Scisearch(1974~2011年)を検索し、無症状新生児における重度先天性心疾患のスクリーニング法としてのパルスオキシメトリー法の正確度(accuracy)を評価した試験を抽出した。2名の研究者が別個に、事前に定義された適格基準(患者集団、検定法、アウトカム)を満たす試験を選定した。

個々の試験の感度、特異度およびそれぞれの95%信頼区間(CI)を算出した。階層的受信者動作特性(ROC)曲線を適用し、ランダム効果モデルを用いて全試験の感度、特異度の推定値を算定した。
感度76.5%、特異度99.9%、偽陽性率0.14%




13試験(新生児22万9,421人)が解析の対象となった。重度先天性心疾患の検出におけるパルスオキシメトリー法の全体の感度は76.5%(95%CI:67.7~83.5%)、特異度は99.9%(同:99.7~99.9)で、偽陽性率は0.14%(同:0.06~0.33)であった。

偽陽性率は、パルスオキシメトリー法を出生から24時間以内に施行した場合に比べ、24時間以降に施行したほうが低かった(0.05%[95%CI:0.02~0.12] vs 0.50%[同:0.29~0.86]、p=0.0017)。

著者は、「パルスオキシメトリー法は、重度先天性心疾患の検出法として高い特異度と中等度の感度を有し、普遍的なスクリーニング法の適格基準を満たす」と結論し、「この感度は、出生前診断などに基づく現行の戦略よりも高い。本試験の知見は、一般診療へのパルスオキシメトリー法導入の高度なエビデンスである」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)