日本語でわかる最新の海外医学論文|page:975

ロタウイルスワクチン接種、親の承認決定因子とは?

 カナダのロタウイルスワクチン接種率は、2008~2009年のサーベイ時点で20%未満であったという。カナダ・ケベック州国立公衆衛生研究所のDube E氏らは、ロタウイルスワクチン接種の親の承認に関する決定因子を調べた。主な決定因子は親の意向(intention)であり、個人的基準に基づく信用(personal normative beliefs)が影響を与えていることなどが明らかとなった。著者は「ヘルスプロモーションが、疾患やワクチンに関する親の知識や態度、信条に向けて行われるならば、ロタウイルスワクチン接種に対する受容性は高まるだろう」と提言した。Health Educ Res誌オンライン版2012年8月20日号の報告。

診察室を出よ

南相馬市立総合病院・神経内科  小鷹 昌明 2012年10月9日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 初めて経験した福島県浜通りの夏は、想像していたより暑かった。私の故郷の埼玉県嵐山町(熊谷市の近く)は、もっと暑かったであろうが、この南相馬の潮風は、身体にまとわりつくような湿り気を帯び、海辺の街のじっとり感というのも、独特な不快さがあった。結局、日本はどこに行っても蒸し暑いのではないかという気がした。

アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは?

 双極性障害は再発性の躁症状やうつ症状、混合エピソードなど複雑な症状を有する。双極性障害患者の急性期または長期治療においては、症状やエピソードの再発を抑制することが重要である。しかし、単剤での薬物治療のアウトカムは不十分である。そのため、単剤療法で効果が認められない患者や効果不十分な患者に対しては、気分安定薬と抗精神病薬を組み合わせて治療することも少なくない。併用による治療のメリットは大きいものの、副作用発現率上昇に対しては注意を払う必要がある。イタリアのAndrea de Bartolomeis氏らは双極性障害患者に対する急性期および長期の治療において、アリピプラゾールと気分安定薬の併用が有用であるかどうかに関する専門家の意見をまとめた。Expert Opin Pharmacother誌オンライン版2012年9月4日号の報告。

乳がん患者と医療スタッフとのコミュニケーションを円滑にするための冊子

 特定非営利法人キャンサーネットジャパン、日本イーライリリー株式会社、株式会社毎日放送、アメリカンホーム保険会社は4日、乳がんに関する基礎知識や、患者が病気を理解するために医師に質問すべきことなどをまとめた冊子『もっと知ってほしい乳がんのこと』を作成したことを発表した。冊子を活用してもらうことで、乳がん患者が納得のいく治療を受けられるようになることを目的としている。

「片頭痛の慢性化」と「うつ」の関係

 頭痛は精神的なストレスと密接に関係しており、うつ病と頭痛の関係についてさまざまな報告がなされている。アルバート・アインシュタイン医科大学(米国ニューヨーク州ブロンクス)のAshina氏らは、片頭痛の慢性化とうつ病との関係を検討した。J Headache Pain誌オンライン版2012年9月25日号の報告。

FFRCT+CT、CT単独よりも冠動脈疾患の診断精度を改善/JAMA

 心臓CT検査による血流予備量比(FFR)の測定+CT所見の診断能は、CT単独よりも、血行動態的に有意な冠動脈疾患(CAD)の診断精度および識別能を改善することが、米国・カリフォルニア大学デイヴィッド・ゲフィン医科大学院のJames K. Min氏らの検討の結果、報告された。心臓CTは非侵襲的な冠動脈狭窄検査だが、狭窄が虚血を生じるは判定しない。一方、FFRは冠動脈狭窄の生理学的指標だが侵襲的手技を要する。FFRCTは生理学的有意性を判定する斬新な方法であるが、これまでその診断能については十分に調べられていなかった。JAMA誌2012年9月26日号の掲載報告。

小児扁桃腺摘出術中のデキサメタゾン投与、術後の有意な出血イベントとは関連しない

 小児扁桃腺摘出術における術中のデキサメタゾン(商品名:デカドロンほか)投与は、過度の臨床的に有意な出血イベント(レベルII、III)とは関連しないことが明らかにされた。米国・ポーツマス海軍医療センターのThomas Q. Gallagher氏らによる、プラセボと比較した非劣性試験の結果で、事前に設定した5%閾値を超えなかった。ただし、自覚的な出血(レベルI)については5%閾値を超え、デキサメタゾンによる増大が除外できなかったと結論している。試験は、コルチコステロイドを投与された扁桃腺摘出術を受けた小児では、術後の悪心嘔吐が減少する頻度は高いが、術中または術後の出血リスクを増大する可能性が示唆されていたことを受けて行われた。JAMA誌2012年9月26日号掲載の報告。

ロタウイルスワクチン承認後、胃腸炎関連の救急コールサービスが減少

 ロタウイルスワクチン承認前後の地域救急コールサービスの変化を調べた結果、承認後は胃腸炎関連コールが減少し、そのピークが従来のロタウイルスシーズンよりも前倒しとなり、ノロウイルスとの関連を示すものに変化していたことが報告された。米国・ヴァンダービルト医科大学のWilliams DJ氏らがテネシー州で調べた結果で、「現在の地域の胃腸炎の病原体はノロウイルスであることが強調されるところとなった」と述べている。Pediatrics誌オンライン版2012年9月10日号の報告。

HIVインテグレース阻害薬ドルテグラビル 年内に欧米で新薬承認申請へ

 塩野義製薬株式会社は4日、同社とViiV Healthcare社が共同で立ち上げたジョイントベンチャーであるShionogi-ViiV Healthcare LLC(本社:米国デラウェア州)を通じて開発中の次世代インテグレース阻害薬ドルテグラビル(一般名、塩野義製薬 開発番号:S-349572)に関して、欧米にて新薬承認申請を行うために必要な臨床試験データが、計4つの第3相臨床試験から得られたと発表した。

認知症患者のうつ症状、介護者のうつ症状と関連

 認知症の行動・心理症状(BPSD)は、介護者にとって大きな重荷となる。BPSDは、うつ病、身体的攻撃性、妄想性障害などさまざまな患者行動を含むが、それらが介護者に対し特異な影響をもたらすかどうかは明らかではなかった。米国・マウントサイナイ医科大学のOrnstein K氏らは、(1)BPSDを階層化し、介護者のうつ症状にどのように影響するのかを評価すること、(2)BPSDクラスターが介護者のうつ症状に影響を与える経路を検証することを目的とする検討を行った。Am J Geriatr Psychiatryオンライン版2012年9月24日号の掲載報告。

糖尿病患者の冠動脈病変、どのステントが最も有効か?

 冠動脈病変を有する糖尿病患者に対する冠動脈ステント留置術では、現時点で使用可能なすべての薬剤溶出ステントがベアメタルステントよりも有効で、安全性も良好なことが、米国・ニューヨーク大学医学部のSripal Bangalore氏らの検討で示された。糖尿病は経皮的冠動脈インターベンション施行後の転帰を増悪させることが知られている。長期的な有効性や安全性につき、現時点で使用可能な4つの薬剤溶出ステント同士あるいはベアメタルステントとの比較試験が数多く行われているが、どのステントが最も優れるかは明らかでないという。BMJ誌2012年9月22日号(オンライン版2012年8月10日号)掲載の報告。

2型糖尿病患者に対する厳格な降圧、全死因死亡のリスクを低下させない

 新規診断2型糖尿病患者に対する厳格な降圧(<130/80mmHg)は、心血管疾患合併の有無にかかわらず全死因死亡のリスクを低下させず、低血圧は不良な予後のリスクを増大させることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのEszter Panna Vamos氏らの検討で確認された。欧米のガイドラインでは、心血管疾患のリスクが高い患者の血圧は<130/85mmHgに維持することが推奨されている。一方、糖尿病患者における正常血圧の維持が、心血管リスクにベネフィットをもたらすことを示す信頼性の高いエビデンスはなく、積極的な降圧の有害性を示唆する知見もあるという。BMJ誌2012年9月22日号(オンライン版8月30日号)掲載の報告。

SPECT画像診断による前頭部脳血流評価で、大うつ病高齢者のSSRI有効性を予測

 大分大学医学部精神神経医学講座の花田氏らは、大うつ病性障害(MDD)高齢者のSSRI効果を事前に予測可能か、SSRIに対する反応とSPECT画像診断の結果との関連を評価した。その結果、SSRIに非反応であったMMD高齢者では、主として内側前頭前皮質に低灌流がみられるなど、有意な関連が認められた。著者は「ベースラインでの前頭部の局所脳血流(rCBF)高値が、SSRIの治療効果が期待できる人であることを示す可能性はある」と結論している。Int J Geriatr Psychiatry誌オンライン版2012年9月25日号の掲載報告。

災害廃棄物を抱える自治体に朗報:慈恵医大、焼却飛灰からの放射性セシウム除去技術を開発

 東京慈恵会医科大学(研究代表者 並木禎尚氏;臨床医学研究所 講師)は9月24日、DOWAホールディングス株式会社と子会社のDOWAエコシステム株式会社および、DOWAエレクトロニクス株式会社との共同研究において、焼却飛灰から水溶性の放射性セシウムを除去する材料およびプロセス(以下「本技術」)を開発したと発表した。

認知症患者に対する抗精神病薬処方の現状は?

 認知症患者の治療では、問題行動や精神症状をコントロールするために抗精神病薬が処方されることもある。英国における認知症患者の死亡数に関する報告によると、抗精神病薬の処方と関連付けられた認知症患者の年間死亡数は約1,800名といわれている。英国のChild氏らは、認知症患者に対する抗精神病薬処方を制限することの意義について検討を行った。BMC Psychiatry誌オンライン版2012年9月25日号の報告。

非心臓手術後の院内死亡率は予想以上に高い:EuSOS試験

 欧州で非心臓手術を受けた患者の院内死亡率は4%と予想以上に高く、各国間に大きなばらつきがみられることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリーのRupert M Pearse氏らが行ったEuSOS試験(http://eusos.esicm.org/)で示された。毎年、世界で2億3,000万件以上の大手術が行われ、術後の最大の死因は合併症であり、これまでに国レベルで実施された数少ない調査では術後の死亡率は1.3~2.0%と報告されている。術後の転帰には施設間や医療システム間に異質性が存在するとのエビデンスが示されており、これは患者ケアに改善の余地があることを示唆するという(たとえば、合併症リスクが高い患者の集中治療室への入院の普及)。Lancet誌2012年9月22日号掲載の報告。

末梢静脈カテーテルの交換は臨床的な必要時に

 末梢静脈カテーテルの交換は、臨床的な必要性に応じてその都度行っても、従来のルーチンな交換に比べ静脈炎や感染症などの合併症の発生に差はないことが、オーストラリア・Griffith大学のClaire M Rickard氏らの検討で示された。末梢血管カテーテルは、毎年の世界的な使用量が数百万に及び、成人では一般に72~96時間ごとの交換が推奨されている。このようなルーチンの交換が医療費を増大させ、医療スタッフの作業量を増やし、患者には侵襲的な処置を繰り返し受けるよう求めることになるが、その有効性は十分には確立されていないという。Lancet誌2012年9月22日号掲載の報告。