認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2013/11/29 認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか?そしてそれは価値ある治療目標なのか? 英国・ケンブリッジ大学のP. L. Rock氏らは、これらの疑問を解決するため、系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、うつ病において認知障害は中核症状であり、重大な治療目標であるとみなすべきであることが明らかになったことを報告した。Psychological Medicine誌オンライン版2013年10月29日号の掲載報告。 研究グループは、認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのかどうか、そしてそれは価値ある治療目標なのかという疑問を明らかにすることを目的に、レビューを行った。認知機能をキーワードに文献検索とメタ解析を行い、症候性および緩和された状態にあるうつ病患者における認知機能を、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用いて評価した。評価には、うつ病が寛解した患者および対照患者が比較群として組み込まれていたことで、うつ病の気分低下エピソード期間以外も認知障害は残存しているのかどうかを調べることが可能であった。 主な結果は以下のとおり。 ・メタ解析の結果、うつ病患者は対照群と比較して、実行機能、記憶、注意喚起において中等度の認知障害との有意な関連が認められた(Cohen's d効果サイズ範囲:-0.34~-0.65)。 ・うつ病症状が寛解した患者では、実行機能および注意喚起において有意な中等度の障害との関連が見つかったが(同:-0.52~-0.61)、記憶の障害との関連は軽度/中等度で有意ではなかった(同:-0.22~-0.54)。 ・この関連から、認知障害の発生は、うつ病の感情低下エピソードとは無関係に起こることが示唆された。 ・上記を踏まえて著者は、「気分低下と認知障害は、いずれも心理社会的機能の低下と関連している。したがって、認知障害の改善とうつ症状の緩和はいずれも、うつ病患者のアウトカム改善に重要な役割を果たすものである」との見解を主張した。 ・そして「今回の系統的レビューとメタ解析により、認知障害は気分低下に伴う二次的なものとみなすべきではなく、うつ病の中核症状であり、将来的に重大な治療ターゲットと考えられることが実証された」と結論している。 関連医療ニュース うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は? 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能 (ケアネット) 原著論文はこちら Rock PL et al. Psychol Med. 2013 Oct 29:1-12. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 経口選択的心筋ミオシン阻害薬aficamtenは症候性の閉塞性肥大型心筋症患者においてβ遮断薬よりも臨床的に有効である(解説:原田和昌氏)(2025/11/03) 60歳以上における全原因心肺系・心血管系疾患入院予防に対する2価RSVワクチンの効果(解説:寺田教彦氏)(2025/11/03) 認知症/MCI患者に対する抗コリン薬の使用率は?(2025/11/03) 機内における急病人の発生頻度は?~84の航空会社での大規模調査(2025/11/03) 花粉の飛散量が増えると自殺者が増える?(2025/11/03) 質の低い睡眠は脳の老化を早める(2025/11/03) 45〜49歳の成人において局所限局期大腸がんの罹患率が上昇(2025/11/03) シフト勤務は腎結石のリスク増加と関連(2025/11/03) 歯みがきで命を守る?手術2週間前の口腔ケアが肺炎予防に効果(2025/11/03)