日本語でわかる最新の海外医学論文|page:962

小児の百日咳発症にみられたDTaPワクチン防御効果の漸減/JAMA

 米国・カリフォルニア州では2010年に、60歳以上で大規模な百日咳の流行が発生した。疾患負荷は、3種混合(DTaP)ワクチン接種率が高率であったにもかかわらず7~10歳の年齢層で顕著に大きく、ワクチンによる防御効果が漸減する可能性が示された。そこで米国疾病予防管理センター(CDC)のLara K. Misegades氏らは、百日咳発症とDTaPワクチンの5回目までの接種との関連についてケースコントロールによる評価を行った。JAMA誌2012年11月28日号掲載より。

静脈血栓塞栓症に対する4つの新規経口抗凝固薬vs.従来薬/BMJ

 ビタミンK拮抗薬と比較して、新規経口抗凝固薬は急性静脈血栓塞栓症の再発リスクは同程度であり、全死因死亡も同程度であるが、リバーロキサバン(商品名:イグザレルト)については出血リスクを減少することが、カナダ・マギル大学のBenjamin D Fox氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。BMJ誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月13日号)掲載より。

長時間作用型注射製剤は、統合失調症患者の入院減少と入院期間短縮に寄与

 大塚アメリカファーマシューティカル社のSteve Offord氏らは、長時間作用型注射製剤または経口の抗精神病薬による治療を開始した統合失調症患者について、入院と再発の状況を評価した。その結果、長時間作用型注射製剤による治療は入院回数、入院日数とも著明に減少させることを報告した。Journal of Medical Economics誌オンライン版2012年11月28日号の掲載報告。

成人一般健診は罹患率や死亡率を低下させない/BMJ

 一般健康診断は新たな病気の発見数を増加したが、全体的にみても心血管系やがんについてみても、罹患率や死亡率は低下していないことが、デンマーク・ノルディックコクランセンターのLasse T Krogsboll氏らによる、無作為化試験対象のコクラン・システマティックレビューとメタ解析の結果、報告された。一般健診は、罹患率や死亡率を抑制するのに効果的であるとみなされ、リスク因子が抑制されるという共通認識および観察結果に基づいて、世界各国でヘルスケアの基本として行われてきた。しかし、一方で罹患率と死亡率に関するベネフィットのエビデンスは不足していた。今回の解析でも、一般健診の重大有害転帰に関する影響については研究も報告もされておらずエビデンスは不明のままとなった。BMJ誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月20日号)掲載より。

がんによる疾病負担、全世界で重く:IARC調査/Lancet

 がんによる疾病負担は世界のどの地域でも重く、深刻なものであることが、国際がん研究機関(IARC、フランス・リヨン市)のIsabelle Soerjomataram氏らの調査で明らかとなった。2008年、世界で760万人ががんで死亡した。保健医療計画の立案には、致死的および非致死的ながんのアウトカムを考慮した国別の比較を要するが、これには障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY)が有用な指標になるという。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年10月16日号)掲載の報告。

脱毛症治療薬による男性機能への影響と利き手の関係

 壮年性脱毛症の治療薬に含まれる抗男性ホルモン物質フィナステリドの性機能への副作用について、利き手との関連を検討するパイロットスタディが、ルーマニア・St Pantelimon HospitalのIon G. Motofei氏らによって行われた。フィナステリドの性機能への影響を検討している研究は他にもあるが、本研究は、フィナステリドの薬理学的作用によるジヒドロテストステロン抑制反応について、大脳側性化/専門化の影響との関連で検討している点で、それらと異なる。

骨折後早期の造影CTが骨折治癒の過程を明らかとする可能性

 骨折後早期の造影CT(contrast enhanced CT、CECT)は、骨折治癒の総合的な研究に有用であるというマウスを用いたex vivo試験からの知見が、米国・ボストン大学のLauren N.M. Hayward氏らにより報告された。骨折治癒初期のX線やCTによる評価は、軟骨組織は不鮮明な所見しか得られず限定的である。

呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日本医科大学

 統合失調症患者とその家族は、スティグマに非常に苦しんできた。名称変更など偏見やスティグマを根絶するためのさまざまな努力にもかかわらず、いまだ医療従事者においてすら偏見にとらわれている者がいる。日本医科大学精神神経科の大森 中氏らは、臨床研修医の統合失調症患者に対する潜在的な態度と患者と接する上での影響、精神科での臨床トレーニング前後の態度と接し方の変化について評価した。BioMed Central Psychiatry誌オンライン版2012年11月22日号の掲載報告。

患者と保護者にワクチンの安全性を説明するために、医師が学んでいること

 医師は、ワクチンの安全性に関する懸念について患者・保護者と話し合うことにかなりの時間を費やす。米国・スタンフォード医科大学のClea Sarnquist氏らは、医師がそうしたコミュニケーションに関してどのようなことを学んでいるのか、および学びたいと思っているのかについて調査を行った。Journal of Public Health Management & Practice誌2013年1月号の掲載報告。

コーヒー摂取量が多い人はアディポネクチンも多い―日本人労働者を対象とした研究―

 コーヒーの摂取量はアディポネクチンと正の相関、レプチンと負の相関を示すことが、名古屋大学大学院 山下健太郎氏らの研究で明らかになった。また、アディポサイトカインは、コーヒー摂取量と脂質および高感度C反応性タンパク(hs-CRP)との関連に影響をもたらすが、コーヒー摂取量と肝機能マーカーとの関連には影響しないことが報告された。Nutrition & diabetes誌2012年4月2日付の報告。

アレムツズマブ、再発寛解型多発性硬化症の再発を抑制:CARE-MS I試験/Lancet

 活動性の早期再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の治療において、アレムツズマブ(alemtuzumab:国内未承認)はインターフェロンβ1aに比べ再発を有意に抑制するが、障害の集積の抑制効果には差がないことが、米国・クリーブランド・クリニックのJeffrey A Cohen氏らが行ったCARE-MS I試験で示された。ヒト化抗CD52モノクローナル抗体であるアレムツズマブは、血中のTリンパ球およびBリンパ球を枯渇させ、結果としてその再生を促すことで効力を発揮すると考えられる。未治療RRMSを対象とした第II相試験では、その疾患活動性の抑制効果が確認されている。Lancet誌2012年11月24日号(オンライン版2012年11月1日号)掲載の報告。

マンモ検診は、過剰診断を増やしただけ?/NEJM

 米国では1980年代からマンモグラフィによるスクリーニングが始まっており、その後の実施率増加とともに早期乳がん罹患率は大幅に増加したが、一方で進行期乳がん罹患率の減少は、ごくわずかであったことが報告された。また、マンモグラフィにより検出された早期乳がんの中には、その後臨床的症状を発症することがなかった、いわゆる過剰診断も多く、その数は過去30年間で130万人に上ると推定されたという。米国・Oregon Health and Science UniversityのArchie Bleyer氏らの調べで明らかになったもので、NEJM誌11月22日号で発表した。

認知症ケアでプライマリケア・リエゾンに求められる3つのポイント

 英国・ウスター大学のKay de Vries氏らは、認知症ケアでプライマリ・ケア・リエゾン(primary care liaison)に求められるコンピテンシーについて文献等レビューと協議などを行い、主として「カウンセリング」「スクリーニング」「健康教育・促進」の3領域が同定されたと報告した。Primary Health Care Research & Development誌オンライン版2010年11月6日号の掲載報告。

特発性VTE初発患者に対する再発予防のための低用量アスピリン投与/NEJM

 オーストラリア・Prince of Wales HospitalのTimothy A. Brighton氏らが、800人超について行ったプラセボ対照無作為化比較試験の結果、特発性静脈血栓塞栓症(VTE)の初発患者に対し、抗凝固療法後に低用量アスピリン療法を行っても、再発リスクがプラセボと比較して有意に低下しなかったことが報告された。一方で心血管イベント発生リスクについては、およそ3分の2低下し、研究グループは「正味の臨床的改善は示された」と結論した。特発性VTEを発症した人は、抗凝固療法終了後にVTE再発リスクが増大することが知られ、再発予防にアスピリンが有効である可能性があった。NEJM誌2012年11月22日号(オンライン版2012年11月4日号)掲載より。