出生後早期の過体重、青年期肥満の原因となる可能性/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/07

 

 5~14歳の子供では、より幼年であるほど肥満の発症率が高い傾向がみられ、とくに幼稚園入園時に過体重の子供の肥満率が高いことが、米国・エモリー大学のSolveig A Cunningham氏らの調査で示された。米国では、BMIの上位5%内に含まれる6~11歳の小児の割合が、1963~65年の4.2%から1999~2000年には15.3%にまで上昇し、21世紀初頭の10年間でほぼプラトーに達したと推測されている。このように、小児肥満の有病率の上昇が指摘される一方で、その発症率については意外なほど知られていないという。NEJM誌2014年1月30日号掲載の報告。

前向きコホート研究に参加した幼稚園児を9年間追跡
 研究グループは、米国の小学生の肥満率について全国調査を行った。解析には、前向きコホート研究である“Early Childhood Longitudinal Study, Kindergarten Class of 1998~1999”に参加した1998年に幼稚園児であった7,738人のデータを用いた。

 1998~2007年の間に7回、体重と身長の測定が行われた。7,738人のうち、ベースライン時に非肥満であった6,807人(88%)について追跡調査を行った(5万396人年)。過体重および肥満の定義は、疾病管理予防センター(CDC)の標準閾値を用いた。

 9年間における肥満の年間発症率および累積発症率を算出し、罹患密度(incidence density、1人年あたりの発症数)について検討した。

5歳時過体重児の肥満発症率は標準体重児の4倍
 幼稚園入園時(平均年齢5.6歳)に、12.4%がすでに肥満であり、14.9%が過体重であった。小学校8年生(平均年齢14.1歳、日本の中学2年生に相当)時には20.8%が肥満、17.0%が過体重となった。

 低出生時体重児(<2,500g)と標準出生時体重児(2,500~3,999g)の幼稚園時の肥満有病率に有意な差は認めなかったが、高出生時体重児(≧4,000g)は低および標準出生時体重児に比べ全年齢における肥満有病率が高かった。高出生時体重児が14歳になるまでの肥満発症率は36%であった。

 肥満の年間発症率は、幼稚園時の5.4%に対し、5年~8年生時には1.7%まで低下した。過体重の5歳児が肥満となる確率は標準体重児の4倍(9年累積発症率:31.8 vs. 7.9%)であり、1,000人年当たりの発症率はそれぞれ91.5、17.2であった。

 ベースライン時に過体重の子供(14.9%)の約半数(45%)が、5歳から14歳になるまでに肥満を発症した。また、14歳までに肥満を発症した子供の87%はベースライン時BMIが上位50%内であり、75%がベースライン時BMI上位30%内であった。幼稚園時に過体重の子供のうち、8年生時に標準体重であったのは13%にすぎなかった。

 著者は、「5~14歳の子どもでは、より幼年であるほど肥満の発症率が高い傾向がみられた。また、幼稚園入園時に過体重の子どもで肥満になる確率が高かった」とまとめ、「出生後早期における過体重発生の関連因子に関する検討の重要性が示唆される。5歳までに過体重となった小児に焦点を当てた肥満予防対策が、青年期に肥満を発症する可能性の高い子供をターゲットとした治療につながると考えられる」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)