早期胃がんに対するデルタ吻合での完全腹腔鏡下幽門保存胃切除術の成績

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/07

 

 早期胃がんに対する小開腹創からの手縫い吻合による腹腔鏡補助下幽門保存胃切除術(LAPPG)については、実行可能性、安全性、術後のQOL向上がすでに確立されている。今回、がん研有明病院消化器外科の熊谷 厚志氏らは、体内デルタ吻合手技を用いた完全腹腔鏡下幽門保存胃切除術(TLPPG)を受けた胃中部の早期胃がん患者60例の短期手術成績を検討した。その結果、手縫い噴門幽門吻合によるLAPPGより手術時間が長い傾向はあったものの、体内デルタ吻合によるTLPPGは安全な術式であると報告した。Gastric Cancer誌オンライン版2014年1月31日号に掲載。

 著者らは、リンパ節郭清と胃の授動後、術中内視鏡下に腫瘍位置を確認し、その後、幽門輪から5cm(遠位切開線)とDemel線のすぐ近位(近位切開線)を切開した。切開後、リニアステープラーを用いてデルタ型体内噴門幽門吻合を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・術中合併症や開腹術への変更はなかった。
・平均手術時間は259分、平均出血量は28 mLであった。
・12例(20.0%)でClavien-Dindo 分類でグレードIIの術後合併症が発生した。最も多い合併症は胃内容うっ滞であった(6例、10.0%)。
・グレードIII以上の重篤な合併症の発生率は1.7%であった。1例のみ、術後の腹腔内出血に続き多臓器不全を起こしたため、再手術および集中治療を必要とした。

(ケアネット 金沢 浩子)