日本語でわかる最新の海外医学論文|page:844

エタネルセプト+MTX、漸減療法が有効/NEJM

 最最大投与量のエタネルセプト(商品名:エンブレル)+メトトレキサート(MTX)併用治療により寛解が得られた早期関節リウマチ(RA)患者について、同併用療法を減量継続投与したほうが、投与を中断したりMTX単独に切り替えたりするよりも、寛解維持が長期化するなど良好な結果に結び付くことが明らかにされた。ただしX線所見上での疾患進行に有意差はみられなかった。英国・リーズ大学のPaul Emery氏らがヨーロッパとアジア57施設で行った第III相無作為化試験の結果、明らかにされた。NEJM誌2014年11月6日号掲載の報告より。

RA系阻害薬服用高齢者、ST合剤併用で突然死リスク1.38倍/BMJ

 ACE阻害薬またはARBのRA系阻害薬服用中の高齢患者では、経口ST合剤(トリメトプリム+スルファメトキサゾール)は突然死のリスクを増大することが、カナダ・トロント大学のMichael Fralick氏らによる住民ベースのコホート内症例対照研究の結果、明らかにされた。著者らは、同リスクの増大は、ST合剤により誘発された高カリウム血症によるものと推測され、高カリウム血症リスクの重大性を認識していなかったことに起因する可能性を指摘した。所見を踏まえて著者は「ACE阻害薬やARB服用中の患者が抗菌薬投与を必要とする際、担当医師は、トリメトプリムを含有しない抗菌薬を選択するか、トリメトプリムベースの治療を続けるにしても用量や投与期間を制限するとともに血清カリウム値のモニタリングを密に行うべきである」と提言している。BMJ誌オンライン版2014年10月30日号掲載の報告より。

レビー小体病を画像診断で層別解析

 パーキンソン病(PD)、認知症を伴うパーキンソン病(PDD)、レビー小体型認知症(DLB)は、レビー小体病(LBD)と総称される。神経症状を欠く一次性レビー小体病(pure psychiatric presentation:PPP)は、明らかなパーキンソン症候がなく、長年にわたり認知障害が続くという精神症状において、第四のサブタイプといえるかもしれない。石川県・粟津神経サナトリウムの小林 克治氏らは、60例のmeta-iodobenzylguanidine(MIBG)心筋シンチグラフィー検査の解析を行い、層別解析結果を報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。

かゆみは腫瘍マーカーとなりうるのか?

 そう痒(かゆみ)は、オカルトがん(occult cancer)のマーカーとなりうることを、デンマーク・オーフス大学病院のJohannesdottir S.A.氏らがデンマークの全国コホート研究の結果、報告した。がん患者は、かゆみを訴える頻度が高いが、かゆみが診断のついていないがんのマーカーとなるかについて大規模研究による検討はされていなかった。

リツキシマブ維持療法、ANCA関連血管炎に有効/NEJM

 抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎の治療において、リツキシマブ(商品名:リツキサン)はアザチオプリン(同:アザニン、イムラン)に比べ良好な寛解維持をもたらすことが、フランス・コシャン病院のL. Guillevin氏らが行ったMAINRITSAN試験で示された。主なANCA関連血管炎として、多発血管炎性肉芽腫症(以前はウェゲナー肉芽腫症と呼ばれた)、顕微鏡的多発血管炎、腎限局型ANCA関連血管炎があり、患者の多くはシクロホスファミドとグルココルチコイドの併用療法により寛解に至るが、アザチオプリンやメトトレキサートによる維持療法を行った場合でも、依然として再燃率が高い。リツキシマブ維持療法の有効性は示唆されているが、いまだ十分な検討は行われていない。NEJM誌2014年11月6日号掲載の報告。

ICSS試験:頸動脈ステント留置術と頸動脈内膜切除術の長期的転帰は同等(解説:中川原 譲二 氏)-278

 症候性頸動脈狭窄症の治療において、頸動脈ステント留置術(CAS)と頸動脈内膜切除術(CEA)の長期的転帰は同等であることが、英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのLeo H Bonati氏らInternational Carotid Stenting Study(ICSS)の研究グループによる検討で明らかとなり、Lancet誌オンライン版2014年10月14日号で報告された。

うつ病+認知障害への有効な治療介入は

 うつ病と認知障害を有する高齢者に対しては、抗うつ薬の効果は限定的である。また、心理社会的介入の効果はこれまで十分に検討されていなかった。このような患者に対し、問題適応療法(problem adaptation therapy:PATH)が、認知障害支持療法(ST-CI)よりも、病状の低減に有効であることが、米国・ウェイル・コーネル・メディカル大学のDimitris N. Kiosses氏らによる無作為化試験の結果、報告された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年11月5日号の掲載報告。

非閉塞性CADでも1年MI・死亡リスク高い/JAMA

 非閉塞性冠動脈疾患(CAD)患者は、明らかな病変を認めない不顕性CAD群と比べて、1年心筋梗塞(MI)リスクや全死因死亡リスクが有意に高く、そのリスクは病変血管数が多いほど増大することが判明した。米国・デンバー退役軍人医療センターのThomas M. Maddox氏らが、過去5年に待機的冠動脈造影検査を受けた3万7,674例について後ろ向き分析を行い報告した。非閉塞性CAD患者は、同検査を受けた10~25%で認められると報告されているが、これまでその有害アウトカムに対するリスクについてはほとんどわかっていなかった。著者は、「今回の所見は非閉塞性CADの臨床的重大性を示すものであり、同患者のアウトカム改善介入についてさらなる検討の実施を裏づけるものであった」とまとめている。JAMA誌2014年11月5日号掲載の報告。

RA系阻害薬使用中の高齢者への抗菌薬ST合剤使用で突然死!(解説:浦 信行 氏)-277

RA系阻害薬は、RA系を阻害することによるアルドステロン低下が高K血症を引き起こすことはよく知られた事実であり、致死性の不整脈を惹起することを念頭に置いた使用が望まれる。ST合剤(トリメトプリム。スルファメトキサゾール合剤)はわが国ではバクタ、バクトラミン、セプテリンの商品名で市販されており、それなりに汎用されている薬剤である。このたび、カナダのFralick氏らは、RA系阻害薬使用中の高齢者への、抗菌薬であるST合剤の使用が突然死のリスクを上げることをBMJ誌に報告した。

抗てんかん薬、ペットのてんかんにも有効か

 イヌの特発性てんかん(IE)の治療には、さまざまな抗てんかん薬(AED)が使用されているが、それらの臨床的有効性に関する情報は限定的なものであった。英国ロンドン大学ロイヤル・ベタリナリー・カレッジのMarios Charalambous氏らは、従来エビデンスの評価を行うことを目的に、イヌのてんかん治療について系統的レビューを行った。BMC Veterinary Research誌2014年10月号の掲載報告。