日本語でわかる最新の海外医学論文|page:846

子宮頸部上皮内腫瘍の切除、流産リスク増大/BMJ

 英国インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果、子宮頸部上皮内腫瘍における頸部切除が、妊孕性に悪影響を与えるとのエビデンスは示されなかったが、妊娠第2期の流産リスクの有意な増加と関係していたことが明らかにされた。著者は、さらなる検討を行い、この流産リスク増大のメカニズムを調べること、また妊孕性および妊娠早期のアウトカムへの治療の影響について、切除サイズや用いる治療法の層別化を行うべきであると提言した。BMJ誌オンライン版2014年10月28日号掲載の報告より。

BIOSCIENCE試験:成熟期に入った金属製薬物溶出性ステント、今後の注目点は超長期的な成績か(解説:中川 義久 氏)-275

BIOSCIENCE試験より、スイス、バイオトロニック社の「Orsiro」ステントを使用したPCIは、Xience Prime/Xpeditionステントと比較し、12ヵ月の安全性・有効性複合アウトカムは非劣性であることが、スイスのBern大学のPilgrim氏により、ESC Congress 2014のHot Lineセッションで発表されLancet誌に内容が掲載された。

抗炎症薬の抗うつ効果を検証

 これまでいくつかの試験で、抗炎症薬の抗うつ効果が報告されている。しかしながら、結果には一貫性がなく、使用を禁忌とする有害事象がある可能性もあった。デンマーク・オーフス大学のOle Kohler氏らは、抗炎症薬による治療の抗うつ効果と有害事象の系統的レビューを行った。その結果、抗炎症薬による治療(とくに選択的COX-2阻害薬セレコキシブ)は、有害事象を増大することなく抑うつ症状を低減することが示された。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年10月15日号の掲載報告。

アトピー患者へのオンラインケア、対面治療と効果同等

 アトピー性皮膚炎患者への新たな皮膚科診療モデルとして、インターネット、パソコン、デジタルカメラを用いたダイレクトアクセス・オンラインケアの臨床アウトカムは、対面治療と同程度の改善を示したことが、米国・コロラド大学のApril W. Armstrong氏らによる無作為化試験の結果、示された。

LDL-C上昇と大動脈弁疾患の遺伝学的関連/JAMA

 LDLコレステロール(LDL-C)上昇の遺伝学的素因は、大動脈弁石灰化や大動脈弁狭窄症の発症と関連することが、スウェーデン・ルンド大学のJ Gustav Smith氏らCHARGEコンソーシアムの研究グループの検討で明らかとなった。この知見は、LDL-Cと大動脈弁疾患の因果関係を示すエビデンスだという。これまでに血漿LDL-C値と大動脈弁狭窄症の関連が観察研究で示されているが、弁疾患患者に対する脂質低下療法の無作為化試験では、疾患進行の抑制効果は確認されていない。JAMA誌2014年11月5日号(オンライン版2014年10月26日号)掲載の報告。

エボラ、初期データ解析からの知見/NEJM

 2014年5月にシエラレオネで起きたエボラウイルス病(EVD)のアウトブレイクの初期データから、潜伏期間や死亡率は同時期の他の地域や過去の事例と類似しており、出血はまれで発熱や下痢などの消化管症状が多いとの特徴があることが、同国ケネマ国立病院とWHOの研究チームの調査で明らかとなった。10月25日現在、EVD例はギニア、シエラレオネ、リベリア、セネガル、ナイジェリア、マリの6ヵ国で1万100例を超えたが、収集された患者データは限られたものだという。NEJM誌オンライン版2014年10月29日号掲載の報告。

転移性前立腺がんに対する新規ホルモン療法の威力は?(解説:勝俣 範之 氏)-274

転移性前立腺がんに対する第一選択は、去勢療法(男性ホルモンであるアンドロゲンをブロックする方法:除睾術やホルモン療法などが行われる)である。転移性がんでは、当初は去勢療法が奏効するが、ほとんどが治療抵抗性となる。治療抵抗性となった場合には、これまでは化学療法しか選択肢がなかった。  エンザルタミドは、アンドロゲン受容体を阻害する作用を持つ新規ホルモン療法の1つと考えてよい。化学療法のような強い副作用がないため、患者さんにとっては福音であるといえる。

コーヒーは悪性黒色腫リスクを減らす?

 これまでの研究報告から、コーヒーや紅茶の成分には抗腫瘍効果があることが示されている。また、疫学研究の中には、コーヒーおよび紅茶を摂取する女性は悪性黒色腫(メラノーマ)リスクが低いと報じているものもある。マサチューセッツ大学アマースト校のHaotian Wu氏らは、WHI(Women's Health Initiative)観察研究コホート(フォローアップ中央値 7.7年)に登録されている6万6,484人の閉経後女性を対象に、コーヒー・紅茶と悪性黒色腫リスクとの関連をプロスペクティブに検討した。その結果、長期的にコーヒーを飲む人の間で悪性黒色腫リスクが低いという観察結果は得られたが、著者らは「摂取の量やタイプによる一貫性が欠如していることから、本結果を過剰解釈することは適切ではない」との見解を示している。European journal of cancer prevention誌オンライン版2014年10月16日号に掲載報告。

16歳までの自傷経験者、18歳でうつが2~4倍/BMJ

 16歳の時点で自傷行為を行ったことのある人は、その後にメンタルヘルス面の問題やアルコールなどの物質の有害使用、および自傷行為のリスク増大と関連していることが明らかにされた。こうした関連は、とくに自殺念慮がある自傷行為経験者で強かったという。英国・ブリストル大学のBecky Mars氏らが、4,799例を対象とした追跡試験の結果、報告したもので、これまで青少年期の自傷行為と長期の臨床的・社会的アウトカムとの関連については明らかにされていなかった。BMJ誌オンライン版2014年10月21日号掲載の報告より。

肺結核への4ヵ月レジメンの効果/NEJM

 喀痰塗抹陽性・リファンピン(本邦ではリファンピシン)感受性の肺結核に対し、ガチフロキサシン(国内販売中止)を含む4ヵ月レジメンは、エタンブトール(商品名:エブトールほか)投与を含む6ヵ月標準レジメンとの比較において、非劣性は示されなかったことが報告された。英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のCorinne S. Merle氏らが、アフリカ5ヵ国で1,836例について行った非劣性無作為化非盲検比較試験で明らかにした。本検討は、結核の治療期間が短縮できれば、疾病コントロールの大きな改善につながることから行われたものであった。NEJM誌2014年10月23日号掲載の報告より。

次世代ステント「スキャフォールド」とは? その試金石ABSORB II試験の結果を踏まえて(解説:香坂 俊 氏)-273

ABSORB II 試験の結果が先月のLancet誌に発表になりました。この試験は従来からの 旧ステント 対 新ステント というタイプの臨床試験ではなく、まったく新しい「スキャフォールド」と呼ばれるデバイスの導入を巡るもので、多くの注目を集めています。

エボラ国際伝播、出国検疫強化がカギ/Lancet

 カナダ・トロント大学のIsaac I Bogoch氏らは、国際線航空機搭乗者を介したエボラウイルス伝播の可能性について、国際線フライトデータとエボラウイルス調査データを連動し評価を行った。その結果、現在アウトブレイクが伝えられる西アフリカのギニア、リベリア、シエラレオネの3ヵ国からは、毎月平均2.8人のエボラウイルス感染旅行者が出国している可能性を報告。同時に、それら3ヵ国に関連した出国時の検疫を強化することで、感染リスクの高い全旅行者の健康状態の評価が可能になるとして、国際的な支援の必要性を提言した。Lancet誌オンライン版2014年10月21日号掲載の報告より。

民営化後も医療格差は拡大せず/JAMA

 2000年代に営利病院(profit hospital)に転換した病院について調べた結果、利益率が改善していた一方で医療の質や死亡率、貧困層やマイノリティ患者へのケア提供の割合は変わっていなかったことが報告された。米国・ハーバード公衆衛生大学院のKaren E. Joynt氏らが237病院について、転換前2年と転換後2年の変化を、適合対照631病院と比べて評価した。米国ではここ10年で、営利病院へ転換する病院が増大したという。それらの病院が医療保険支払者や利益に注力し、患者をないがしろにし、医療の質に留意しなくなるのではないかという懸念が高まっていた。JAMA誌2014年10月22・29日号掲載の報告より。

小児てんかんの予後予測、診断初期で可能

 小児期てんかん発作の最終的なアウトカムは、治療を要することなくすべての発作が完全寛解することである。一方で、てんかんの臨床経過において、どのくらいの頻度で発作が起きるのか、またいかに早期に発作を予測するかは、家族が小児てんかんの特徴を理解すること、ならびに何を予期すべきかを把握する助けとして価値がある。米国・シカゴにあるアン&ロバート H. ルリー小児病院のBerg AT氏らは、小児期てんかんの最終的なアウトカムとしての完全寛解を予測しうるかどうかを検討する前向きコホート研究を行った。その結果、最初の診断から5年以内の情報(発症年齢や子供の学校での状況、てんかんのタイプなどを含む)により、完全寛解が得られるか否かを予測しうることを報告した。Brain誌オンライン版2014年10月22日号の掲載報告。

脳卒中患者への降圧治療、身体機能改善せず/Lancet

 高血圧を伴う脳卒中患者に対する降圧治療は、血圧の低下はもたらすものの、身体機能は改善しないことが、英国・ノッティンガム大学のPhilip M W Bath氏らが行ったENOS試験で示された。脳卒中発症後の高血圧は不良な予後と関連することが知られているが、発症後早期の降圧治療の必要性や、投与中の降圧薬継続の是非は明らかにされていないという。Lancet誌オンライン版2014年10月22日号掲載の報告。